デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)では、「スマートレジ類型」と「POSレジ類型」を新設して、中小企業のスマートレジやPOSレジの導入・改修を支援することが公表されています。
本記事公開時点では「スマートレジ類型」「POSレジ類型」ともに正式な公募要領は公開されていませんが、2026年10月29日に両類型に関する資料が公表されましたので、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)でなぜ今新たな類型が新設されるのか、スマートレジ類型・POSレジ類型の概要、対象要件やスケジュールなどを解説します。
● なぜ新たな類型が新設されるのか
● スマートレジ類型、POSレジ類型の概要
● 申請対象事業者の要件
● スケジュール、申請手続き
なぜ今のタイミングで新たな類型が新設?
まずは、なぜ今のタイミングでデジタル化・AI導入補助金化(旧IT導入補助金)の新たな類型が新設されることになったのか、その背景から解説していきます。
きっかけとなる背景は、2026年9月15日に閣議決定された「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」です。
こちらは以前から話題にあがっていた「消費税の軽減税率(8%)対象である飲食料品の税率を1%に引下げる」という内容を含んでおり、税率引下げの対象期間は2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間です。
税率引下げは法案の成立が前提となりますが、今回はこれまでになかった税率1%であるとともに、2年後には元の税率に戻す必要がある点も重なって、施行された場合は、レジを使用する事業者へ負担を強いる可能性も含む内容になっています。
これまでのデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)では、インボイス対応類型で「スマートレジ加点」がありましたが、国としては準備期間が短いことも踏まえて本格的に支援の必要があると判断して、直接的にスマートレジ・POSレジの導入および改修を支援する補助金制度を設定したと考えられます。
スマートレジ類型とPOSレジ類型の概要
現在公表されているスマートレジ類型とPOSレジ類型の概要は以下の通りで、企業規模によってわかれています。
<中小企業・小規模事業者>
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スマートレジ類型 |
POSレジ類型 |
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対象経費 |
ソフトウェア |
ソフトウェア |
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補助上限額 |
1機能:50万円 |
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補助率 |
ソフトウェア:50万円以下部分3/4 (小規模事業者4/5)、 50万円~350万円部分2/3 |
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補助対象 |
事務局に登録されたIT導入支援事業者から、登録されたITツールを導入することが必要 |
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<中堅企業>
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スマートレジ類型 |
POSレジ類型 |
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対象経費 |
申請対象外 |
POSレジシステム/受発注システム/請求書管理システムの改修費用 |
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補助上限額 |
2,500万円 |
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補助率 |
1/3 |
中小企業・小規模事業者は、既存のインボイス対応類型の延長となっており、対象経費がスマートレジ・POSレジ関連のみに限定された内容になっています。
また、補助上限額に影響する機能も「会計」「受発注」「決済」の機能がいくつ該当するツールかという判断基準のため、こちらもインボイス対応類型と同様となっています。
中堅企業については、POSレジ類型のみ申請可能となり、対象経費は改修費用のみです。
申請対象事業者の要件
スマートレジ類型またはPOSレジ類型の申請が可能な事業者は以下の要件となっています。
<中小企業・小規模事業者>
● 公募要領に規定されている中小企業・小規模事業者等であること
● みなし大企業に該当しないこと
● IT導入支援事業者として登録されていないこと
● 申請者自身のPOSレジ等の改修を行う改修事業者でないこと
● スマートレジ類型またはPOSレジ類型で交付申請を行っていないこと
● スマートレジ類型:デジタル化・AI導入補助金化2026で「スマートレジ」に該当するITツールの交付申請を行っていないこと
● POSレジ類型:デジタル化・AI導入補助金2026で「スマートレジ」「POSレジ」に該当するITツールの交付申請を行っていないこと
<中堅企業>
中小企業・小規模事業者に該当しない事業者で、以下の要件をすべて満たす事業者は中堅企業としての交付申請が可能となります。
● 飲食料品を取り扱っている小売業者であること
● 常時使用する従業員が2,000人以下であること
● 直近の財務諸表上、自己資本比率が40%未満であること
● みなし大企業に該当しないこと
● IT導入支援事業者として登録されていないこと
● 申請者自身のPOSレジ等の改修を行う改修事業者でないこと
● デジタル化・AI導入補助金2026で「スマートレジ」「POSレジ」に該当するITツールの交付申請を行っていないこと
スマートレジ類型・POSレジ類型は、同一法人による複数回の申請はできず、両類型の併願も不可とされており、公募要領で定められている「みなし同一法人」の規定も適用されるため、ここの判断は注意が必要です。
また、既存申請枠では最低1回は納税していることが必要(=納税証明書の提出が必要)でしたが、スマートレジ類型・POSレジ類型は、新規開業事業者(申請時点で初回の納税申告・確定申告を終えていない事業者)も対象と定義されているため、これまでデジタル化・AI導入補助金の申請対象外だった設立・開業間もない事業者も申請が可能とされています。
スケジュール・申請手続き
スマートレジ類型・POSレジ類型は、既存の申請枠とは大きく違い「事前着手」が可能となります。
前述した、2027年4月1日からの税率引下げという短い準備期間での対応を支援する目的があり、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の通常の流れである「交付申請→1か月ほど審査→交付決定後に着手可能」だとその目的に合わなくなってしまうため、先にITツール導入の着手が可能という事前着手制になっています。
※ただし、事前着手が可能=補助金の交付が保証されているわけではありません。
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導入期間 |
2026年9月15日~2027年3月頃までに導入したツール(発注日/契約日が9月15日以降) |
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申請期間 |
2027年1月中旬~2027年3月頃まで |
例えば、9月15日に発注したツールを後から(2027年1月中旬以降)申請することで補助金の対象になるというスケジュールになっています。
また、手続き面も既存申請枠とは大きく異なっています。
■交付申請と実績報告を1度の手続きで申請
既存申請枠では交付申請と実績報告は別々の申請手続きですが、スマートレジ類型・POSレジ類型は「交付申請兼実績報告」となっているため、基本的にはITツール導入後に該当の申請手続きをまとめて行う想定になっていると考えられます。
■申請者単独で申請手続きを行う
既存申請枠は、IT導入支援事業者が招待→申請者手続き→IT導入支援事業者手続き→申請者が提出、という連携した申請手続きですが、スマートレジ類型・POSレジ類型は申請者単独で申請手続きを実施となっています。
ただし、申請者はGビズIDプライムが必要な点は変わらないようです。
既存申請枠の申請手続き・フローとは大きく異なっていますので、混同しないよう注意が必要です。
まとめ
本記事では、現時点の情報を基に、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)のスマートレジ類型・POSレジ類型が新設される背景や両類型の概要、対象要件やスケジュールなどを解説しました。
税率引下げは法案成立が前提となりますが、非常に限られた準備期間となっていますので、レジの入れ替えや改修が必要な事業者の方がデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を活用する一助になれば幸いです。
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