IT導入補助金のIT導入支援事業者(ITベンダー)と申請者をサポート

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【IT導入補助金2023】通常枠とデジタル化基盤導入枠との違いとは?

【IT導入補助金2023】通常枠とデジタル化基盤導入枠との違いとは?

IT導入補助金2023の申請枠・類型には、通常枠(A・B類型)、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)、セキュリティ対策推進枠など、いくつかの申請枠・類型があります。

この中で、最も多くの事業者に利用されている枠は、「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」、次いで「通常枠(A・B類型)」です。

多くの方にとって最も関心が高いのは、補助額・補助率だと思いますが、それ以外の様々な点において、「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」と「通常枠(A・B類型)」には違いがあります。

そこで今回は、通常枠(A・B類型)とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の違いを紹介していきたいと思います。

※IT導入支援事業者の方には、「意外と知らないIT導入補助金【申請枠】の使い方(ベンダー向け)」もおすすめです。

通常枠かデジタル化基盤導入枠かは「機能」で決まる

通常枠(A・B類型)とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)のどちらを使うかは、ずばり申請したいITツールの機能で決まります。

通常枠では、様々な業務において労働生産性の向上に資する幅広いITツールが対象となる一方、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)では、対象となるITツールがより限定的で、会計、受発注、決済、EC機能を有するITツールが対象になっています。

通常枠・デジタル化基盤導入枠の様々な違い

事業目的の違い  

通常枠は、業務効率化や売上アップを推進して労働生産性の向上を図ることを目的としています。

一方、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)も生産性向上を目的の一つとしていますが、それと同時に、特にインボイス制度対応を見据えて、企業間取引のデジタル化を進めることを狙いとしています。

事業目的に沿った申請であることは、採択の大前提になりますので、まずはこちらを踏まえた上で、それ以外の細かな違いについても理解をすすめていきましょう。

補助対象となるITツールの違い    

通常枠は、下記に挙げる様々な業務プロセスにおいて、生産性向上・効率化させるITツールの導入に使うことができます。

  1. 顧客対応・販売支援
  2. 決済・債権債務・資金回収
  3. 供給・在庫・物流
  4. 会計・財務・経営
  5. 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
  6. 業種固有プロセス(製造業、卸売業、小売業等々、業種ごとに固有のプロセスに対する機能が対象で、ITツールの登録要領には、該当する機能例も具体的に挙げられています)
  7. 汎用・自動化・分析ツール(業種・業務が限定されないが生産性向上への寄与 が認められる業務プロセスに付随しない専用のソフトウェア)

対してデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)では、「会計・受発注・決済・ECのいずれかの機能を持つソフトウェア」が対象になっています。

会計・受発注・決済については、通常枠でも対象になっていますが、ECが対象なのはデジタル化基盤導入類型のみで、それが特徴の一つでもあります。

補助対象となる経費の違い            

それぞれの枠の補助対象となる経費は下記のとおりです。

  • 通常枠:ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、導入関連費
  • デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、ハードウェア関連費、導入関連費

通常枠は上述のとおり、「類型ごとのプロセス要件を満たすもので、労働生産性の向上に資するITツール」であれば様々なITツールが補助対象となりますが、ハードウェアの購入を申請することは出来ません。

一方、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)では通常枠において対象外となっているハードウェア(PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機)やPOSレジ、モバイルPOSレジ、券売機の購入費も補助対象となります。

会計ソフトとそれを利用するための専用パソコン、POSレジとそれを使うタブレット端末など、ソフトウェアの導入に際してハードウェアが必要になる場合、心強い仕組みですね。

※ハードウェアに関しては、申請するソフトウェアの利用に必要なものを、ソフトウェアと一緒に導入する場合においてのみ申請可能となりますので、注意が必要です(ハードウェアのみの申請は出来ません)。

補助額・補助率の違い     

通常枠とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の補助額・補助率は以下のようになっています。

  • 通常枠(A類型):5万円~150万円未満、補助率1/2以内
  • 通常枠(B類型):150万円~450万円以下、補助率1/2以内
  • デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):下限なし~350万円、補助率約2/3(補助額50万円までの部分は3/4、それを超える部分は2/3)

デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は生産性向上に加え、インボイス制度への対応に照準を合わせた企業間取引のデジタル化の促進も事業目的となっているため、通常枠(A・B類型)よりも補助率が高くなっています。

経費の2/3(50万円以下部分については3/4)が補助されるという点は、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の魅力の一つと言えるでしょう。

申請時に必要な情報の違い            

通常枠、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)ともにウェブ上での手続きとなりますが、申請にあたり必要な情報が異なります。

通常枠は、事業者に関する基本情報や財務情報などに加え、

  • 自社の強みや弱み
  • ITツール投資/活用の状況
  • 補助金の導入でどのような効果を期待しているか
  • ITツール導入後、データ連携をどのように実現・強化していくか
  • 労働生産性向上に関する三年間の計画数値(売上、原価、粗利益、従業員数、年間の平均労働時間、給与支給総額)

など、申請時に回答が必要な設問数が多くなっています。

一方、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)では、設問数自体が少なく、多くが選択式であるため、よりシンプルな構成といえます。

通常枠の注意点:B類型は数値目標必達が条件!      

通常枠をご利用いただく際に気を付けていただきたいのが、「B類型は賃金引上げが必須になる」ということです。

通常枠A類型やデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)における賃金引上げは、審査における「加点項目」の一つですが、B類型では達成が「必須」で、要件として設定されている基準以上になるよう、賃金を引上げなければなりません。

B類型はA類型より補助額が高く、魅力的ではありますが、計画通りに賃金引上げを達成できない場合は補助金の返還義務を負うことになりますので、注意しましょう。

IT導入補助金を利用する流れ

通常枠とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の主な違いについてはご理解いただけたと思いますので、ここからは申請の流れについてご説明いたします。

なお、交付申請から補助金交付後までの大まかな流れについては、通常枠とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)に大きな違いはありません。

IT導入支援事業者との打ち合わせ(ITツール、申請要件、スケジュールなど)

まずは導入したいITツールとその提供業者(IT導入支援事業者)を選び、自社でどう活用していくのか、申請要件には一致しているか、申請スケジュールなどについて把握しましょう。

書類・各種オンラインアカウント取得

公募要領には、提出が必要な書類や、事前に取得しておくべき外部オンラインサービスのアカウントについて記載があります。取得に時間を要するものもあるため、余裕をもって準備しましょう。

申請マイページ開設・記載事項の把握

IT導入補助金の申請は、ウェブ上で行うようになっています。IT導入支援事業者から「申請マイページ」の開設招待を受け、回答が必要な設問について把握し、必要に応じて情報を収集しましょう。

申請マイページ入力・提出

申請者とIT導入支援事業者で入力を進め、期限日時までに提出しましょう。

申請者が行うべき入力・提出を、他者が代行することは認められません。必ずご自身で内容を理解し、正しく入力・提出を行いましょう。

交付申請後

交付申請後の大まかな流れは以下のようになっており、こちらも通常枠、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で違いはありません。

  1. 交付申請
  2. 審査
  3. 交付決定通知(採択)
  4. 事業実施(契約・支払い・ITツール導入)
  5. 事業実績報告
  6. 補助金額確定、交付
  7. 事業実施効果報告

ここで注意点として、3.交付決定通知(採択)の前に、ITツールを購入するなど4.事業実施を着手してしまった場合は、補助を受ける事ができなくなってしまいますので、交付決定するまでは契約等を着手しないようにしましょう。

※IT導入補助金の申請準備から交付後の流れについてはこちらで詳しく説明しておりますので、併せてご覧ください。

IT導入補助金の申請方法とは?申請準備から交付後の流れまでを分かりやすく解説!

3.まとめ

今回は、IT導入補助金の通常枠とデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)との違いについて紹介しました。

どちらを選択するのかは主にITツールの「機能」で決まりますが、それ以外にも、補助対象経費、補助額・補助率、申請時に必要な情報の量・内容、事業目標の立て方や報告のしかたにおいて、様々な違いがあります。

いずれを選択する場合も、これらの違いを事前によく理解し、要件に沿って申請を行う必要があります。

IT導入補助金の事務局に登録されたITツール提供業者(IT導入支援事業者)の方々とよく相談のうえ、手続きを進めましょう。

IT導入支援事業者がまだ決まっていない、どの事業者を選んでよいか分からないという方は、ぜひお気軽に、G1行政書士法人にご相談ください。

2017年のIT導入補助金開始以来、様々な事業者様の申請をサポートさせていただいたノウハウを活かして、きめ細やかにサポートさせていただきます。