現在、事業者向けに様々な補助金制度が存在していますが、補助金を利用するには、まずは申請内容の審査を通過する必要があります。
審査と言われると、日常の身近なところでクレジットカードやローン等の審査を思い浮かべて、ちょっと不安に感じてしまう方もいるのではないでしょうか。
実は、補助金の審査とクレジットカードやローン等の審査では、異なる観点が用いられています。
今回はそれぞれの審査の主要な要素を解説していきますので、補助金利用の参考にしてみてください。
目次
共通の前提条件
まずは共通点として、利用する資格がある、必要書類をちゃんと揃えて提出している、などの大前提を満たす必要があります。
補助金
補助金ごとに、定められている利用資格は異なりますが、主な条件は以下のような要素です。
- 事業規模や業種、地域など、補助対象者としての要件を満たしているか
- 補助金の対象事業、経費であるか
詳細は各補助金の公募要領などで事前に把握、確認しておきましょう。
クレジットカードやローン等
クレジットカードやローン等も、利用するクレジットカード会社や金融機関、信販会社によって、または利用するサービス内容によって違いはありますが、基本的には以下のような要素です。
- 年齢などの本人属性は利用資格を満たしているか
- 利用できる使途や目的、内容であるか
前提条件としては、補助金よりハードルが低い印象ですね。
資格以外の主要な審査要素
それでは次に、資格以外の主要な審査要素を見ていきましょう。
基本的には独自の基準でスコアリングを行って可否を判断しており、詳細の審査基準が公開される事はないですが、結果に大きく影響を及ぼす主な審査要素は以下のような観点となっています。
補助金
補助金の目的に沿った取り組みであるか
補助金の審査で主要な審査要素のひとつ目は、申請内容が補助金の目的に沿った取り組みであるか、という点があげられます。
補助金は、国や自治体の政策目標や、事業者等が直面する制度変更に対する課題解決などを推進するために、その費用の一部を国や自治体が補助する制度です。
そのため、申請した事業や経費は、国や自治体が推進する政策目的に沿った取り組みであるかという点が、非常に重要となります。
自社の現状分析や市場動向などから、必要性や実現可能性のある取り組み、計画であるか
主要な審査要素の二つ目は、自社の現状分析や市場動向などを根拠として、必要性や実現可能性のある取り組み・計画であるかという点です。
イメージしやすいところでは、融資を受ける際に作成する事業計画や経営計画に近しい内容となります。
補助金は融資と違って、返済が必要な資金ではありませんが、投資に対する回収計画は重要です。
見込みのある投資として、国や自治体から資金の補助を受けられるよう、しっかり現状分析と根拠を揃えて、実現可能性のある計画を立てましょう。
クレジットカードやローン等
信用情報機関に登録されている情報に問題がないか
クレジットカードやローン等の審査で主要な審査要素のひとつ目は、信用情報機関に登録されている情報です。
信用情報機関については 後ほど説明しますが、クレジットカード会社や金融機関、信販会社、リース会社、近年は携帯電話会社なども会員になっている機関で、各会員企業は自社の取引情報の登録が義務となり、他会員企業の登録した情報を参照する事ができるという仕組みになっています。
要するに、今回申し込んだ先の企業だけではなく、他会員企業との取引を含めた全ての借入総額(利用残高)やクレジットカード枠、支払履歴、延滞履歴、事故情報などが審査に使用されている、という事です。
クレジットカードやローン等は返済が必要な、いわゆる「借入」に近く、法人の取引だとしても、代表者などの個人が連帯保証に入る事を求められるケースが多いため、その場合は、連帯保証人の信用情報機関の登録情報も審査で使用されます。
クレジットカードやローン等で審査が通らない場合は、信用情報機関の登録情報が原因になっている事が非常に多いため、ここが補助金の審査には無い、大きく違う要素であると言えます。
申込会社との過去の取引で問題が起きていないか
主要な審査要素の二つ目は、申し込んだ企業との過去の取引で問題が起きていないかという点です。
前述した信用情報機関の登録情報は、内容によって5年間~7年間は参照する事ができますが、それを経過すると情報は抹消されます。
そのため、信用情報機関を参照しても、抹消された他会員企業の登録情報は参照できなくなりますが、申し込んだ企業が、自社内に残っている過去情報は見ることができますので、過去の支払履歴、延滞履歴、事故情報なども審査で使用されています。
どこまで昔のどのような情報を残しているか、審査要素としてどの程度重要視するかは企業ごとに異なりますが、過去に支払いトラブルを起こした事のある企業への新たな申込は、よりハードルが高くなってくると考えられます。
売上、利益や年収、収入が見合っているか
主要な審査要素の三つ目は、利用する金額と、売上や利益、年収や収入が見合っているかという観点です。
前述の通り、クレジットカードやローン等はいわゆる借入に近いため、審査に通るためには、その支払いができる見通しが必要です。
特に個人に審査が入るケースでは、年収や収入をベースに、信用情報機関の登録情報から現在の借入総額(利用残高)、毎月の支払履歴なども考慮したうえで、今回新たに利用する金額を支払う事ができるのかを審査されます。
信用情報機関とは
補助金の審査と、クレジットカードやローン等の審査で一番大きく違う要素である、信用情報機関について簡単に解説していきます。
日本には、3つの信用情報機関があり、それぞれ主な会員企業が違います。
株式会社日本信用情報機構(JICC)
貸金業法では、貸金業を営む者は返済能力の調査を行うに際し、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用しなければならない、と定められており、株式会社日本信用情報機構(JICC)は、貸金業法の指定信用情報機関です。
主な会員企業は、消費者金融、信販会社、クレジットカード会社、金融機関、リース会社、携帯電話会社などです。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
株式会社シー・アイ・シー(CIC)は、株式会社日本信用情報機構(JICC)と同様に貸金業法の指定信用情報機関であるとともに、割賦販売法の指定信用情報機関にも指定されています。
割賦販売法においても、調査を行うときは、指定信用情報機関が保有する特定信用情報を使用しなければならない、と定められています。
主な会員企業は、信販会社、クレジットカード会社、リース会社、携帯電話会社、百貨店や小売店などです。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、一般社団法人全国銀行協会が運営している信用情報機関となり、主な会員企業は、その名の通り銀行系の金融機関および銀行系のクレジットカード会社などです。
信用情報機関の会員と情報連携
取引形態により、使用しなければならない信用情報機関が法律で定められている事は前述のとおりですが、1つの信用情報機関だけの会員であったり、幅広い業務を営んでいる企業は複数の信用情報機関の会員であったりと、どの信用情報機関を使用しているかは企業によって様々です。
個別にどの信用情報機関を使用しているか(情報が登録されるか)は、契約時の規約や約款などの個人情報の利用目的の条項などに記載されていますので、そこから確認する事ができます。
また、3つの信用情報機関の間には、特定の情報を連携する仕組みがありますので、会員になっていない信用情報機関の登録情報も一部は参照する事が可能になっています。
まとめ
補助金の審査とクレジットカードやローン等の審査の違いを簡単にご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
それぞれの審査で重要な要素を言い換えると、補助金は「現在~未来の計画」、クレジットカードやローン等は「過去~現在の実績」がより重要で、視点が異なるという事がおわかりいただけたかと思います。
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