「テイクアウト販売や事前注文のシステムを導入してみたいが、やり方がわからない」
「無駄な人件費を削減したいけど、何からしたらいいんだろう」
「お客様のニーズを効率よく把握したいと思っているが、上手くいっていない」
このようにお考えの飲食店経営者の方はいらっしゃいませんか。
そのお悩み、ITツールを使えば解決できるかもしれません。
この記事では、飲食店の方がIT導入補助金を利用して導入できるITツールの例や、それらのITツールを導入するメリットをご紹介します。
目次
飲食店・飲食サービス業の現状
経済産業省の経済解析室が発表した2022年のフード・ビジネス・インデックス(Food Business Index、以下FBIと表記)は、指数値92.2(2015年=100)、前年比1.9%と3年ぶりの上昇となりました。
FBIとは、生活に身近な飲食料品に関連する「食料品工業」、「食料品流通業」、「飲食店,飲食サービス業」の活動状況を把握できるよう試算した経済指標です。
FBIを構成する内訳3業種のうち「食料品工業」が前年比-0.9%と3年連続、「食料品流通業」は同-2.1%と4年連続の低下となっている中、「飲食店,飲食サービス業」は前年比14.2%と急上昇しました。
「飲食関連産業の動向(FBI 2022年);『飲食店,飲食サービス業』の回復により、3年ぶりの上昇となった2022年のフード・ビジネス」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20230714_1.html)より引用、一部編集
この数年はコロナ禍の影響を強く受け厳しい状況を余儀なくされていた飲食店・飲食サービス業は、まだまだコロナ前の水準には遠いものの、回復の傾向であると言えます。
飲食店・飲食サービス業の課題
徐々に回復傾向にある飲食店・飲食サービス業界ですが、当法人がご支援させていただく中で伺う話として、業界全体、また事業者様単位でも、様々な課題があることが分かります。
慢性的な人手不足
飲食業界の課題としてまず挙げられるのが、「慢性的な人手不足」です。
当法人でも飲食店経営者の方などから「人材が足りていない」という悩みを伺うことが少なくありません。
飲食業界で人手不足の状態が長く続いている原因は、一概には言えませんが、「待遇面が求職者の希望に合わず、なかなか採用に至らない」「体力を要する仕事で負担が大きいため、離職率が高い」「コロナ禍で退職した人員が戻ってきていない」といった要因が挙げられます。
他業種においても、特に中小企業・小規模事業者の方々からは、人手不足を課題として挙げられることが多いものですが、サービス提供に人手を要する飲食業界においては特に、事業拡大への大きな課題になっていることを感じます。
「従業員が不足しており上手く店を回せないため売上が立たない」→「収入が伸び悩んでおり、従業員の賃金を中々上げることができない」→「結果、就業希望者がますます少なくなる」
という悪循環になってしまわないよう、
「どのようにして、限られた人員で業務をこなせるよう、業務を効率化するか」
「どんなサービス提供方法によって、販売機会を拡大するか」その結果、
「賃金を上げるなど、どれだけ待遇面を改善し、人材の定着を図れるか」
といったことが、人手不足に絡むより具体的な課題になっています。
必要経費等の値上げ
世界的な物価高も、飲食店を悩ませている要因の一つです。
昨年から続いているロシアによるウクライナ侵攻の影響で、食品類はもちろん、エネルギー価格なども高騰しており飲食業界に打撃を与えています。
「経費削減できる部分は無いか細かく見直す」「新商品を開発するなど新たな方法で売上を増やし、値上がりした分の経費を補填する」といった方法で、様々にこの状況を乗り切る取り組みをされていることを、事業者の方からお聞きします。
外食・中食・内食での競争激化
コロナによる食生活の変容で、外食需要が中食にシフトし、新たにデリバリーを開始する飲食店が増加しました。一方、スーパーやコンビニエンスストアなど小売業者においても、拡大する中食需要の取り込みに注力する企業が増え、業種を超えた競争が激しさを増しています。
個人店や小規模企業も多い飲食業界に比べ、比較的大手・中堅規模の企業が多い小売業界との境目のない競争は、規模の力やマーケティング力、組織的な商品開発力との戦いでもあります。
他店にはない自店ならではの付加価値をどのように生み出すか、顧客のニーズをいかに適切に把握するかなど、これまで以上の競争力強化が必要になっています。
課題の解決方法の一例
ここまでで、飲食業界が抱えている課題をお伝えしてきました。
それではこれらの課題に対して、具体的にどのような取り組みが可能しょうか。
当法人が補助金等のサポートをさせていただいたく中で、伺った取り組みの一例をご紹介します。
テイクアウトサービスの導入・拡大
まず挙げられるのが、テイクアウトサービスの導入・拡大です。
コロナ禍で一気に拡大した中食需要を取り込むため、テイクアウト用のメニューを開発する事業者様も増えました。ワークスタイルやライフスタイルの変化から、このニーズは今後も続く見込みであるため、これを機に新たな販路拡大の波に乗りたい、と考える事業者の方も多いことと思います。
また、これまでもメニューの一部をテイクアウト可能にしていた飲食店においても、メニュー数の拡大や、来店客以外からの新規注文獲得に取り組む例が増えています。
積極的な集客活動
お店の安定した経営には、リピーターの確保と並行して、継続的な新規顧客の獲得が必要になります。
そのためにはまず、より多くの潜在客からの認知獲得が必要です。
従来は口コミや紹介、グルメサイトへの掲載などで集客をされていた飲食店の方でも、新たに自社ウェブサイトを立ち上げたり、SNSやGoogleビジネスプロフィール(地図上の店舗情報掲載スペース)を活用されることが増えました。
こうしたツールを利用してお店の魅力や空き情報をアピールし、効率よく来店に繋げることが、売上の増加や固定客の獲得に寄与する取り組みといえます。
業務効率化による労働生産性向上
人手不足や必要経費の値上げに対処していくためには、業務を効率化し、労働生産性を向上させることも重要です。
おいしいメニューの開発や調理、顧客満足度を高めるためのコミュニケーションなど、飲食店にとって重要で、人を省くことができない部分に注力するため、それ以外の業務の見直しに様々な取り組みが行われています。
ITツール導入でできること
色々な課題と対策があることが分かりましたが、それに対し、どんなITツールが導入できて、どんなメリットがあるでしょうか。
ITツールを使い業務のデジタル化を推進することで、
「新たなサービスや商品の提供が可能になる」
「それまで人的コストを割いていた部分を削減し、その時間を別の業務に充当することができる」
「データの収集がしやすくなるため、顧客のニーズを適切に把握できるようになる」
といった効果が期待できます。
従来人手のかかる部分の多い業種だからこそ、ITツールの利用が、業務の効率化に寄与できる余地も大きいのではないでしょうか。
導入するITツールの例
「ITツールを導入するメリットはわかったけど、じゃあITツールって実際どんなものが当てはまるんだろう」と感じる方もいらっしゃるかと思います。
ここからは、具体的なITツールの説明をしていきます。
セルフオーダーシステム
セルフオーダーシステムとはその名のとおり、お客様が自身で注文を行うシステムのことです。
「店舗のスタッフが客席まで行き、注文を伺う」というオペレーションを省略できるため、接客フローの省力化や、注文ミスの削減といった労働生産性の向上が期待できます。
注文方法としては店舗の端末を使用する場合もあれば、お客様の携帯電話やタブレットから注文ができるものなどもあります。
IT導入補助金で導入できるオーダーエントリー/セルフオーダーシステムとはPOSレジ
POSレジとは、お客様と金銭の授受が発生した時点で商品の販売情報を収集、管理する機能を備えたレジのことを言います。
在庫管理や売上分析、顧客管理や売上報告書の作成などが可能であり、業務の効率化につながるだけでなく、分析結果からメニューやサービスの改善・向上に取り組むことも可能です。
インボイス対応のレジ購入に使える【IT導入補助金】対象レジ、申請方法など解説会計ソフト
マネーフォワードやfreeeといった会計ソフトも、労働生産性の向上に効果的です。
デジタル端末やECの導入はあっても、会計業務を手作業や紙管理で行っている事業者様は少なくありません。
会計ソフトウェアの利用により、単に記録がデジタル化するだけでなく、帳簿やレポートの自動作成、会計事務所との連携などが行えるようになり、経理業務・売上分析の効率化を見込めます。
また、簿記や会計の知識がなくても、家計簿のような形で入力ができることから、専門の経理担当がいない小規模事業者の方にもおすすめです。
会計ソフトによっては、POSレジやECサイトとのデータ連携機能もあり、実店舗とECサイトでの売上状況管理を一元化したり、迅速化することが可能です。
また会計システムの導入は、インボイス制度対応にも役立ちます。
「会計業務の効率化とインボイス管理を一緒に進めたい」
という方には、おすすめのツールであると言えます。
【経理・会計】IT導入補助金で導入できる「会計ソフト」とはITツールの導入にIT導入補助金の利用をおすすめする理由
「ITツールの導入が生産性向上に効果的なことはわかったけど、費用面が心配」といった方もいらっしゃると思います。
そのような方に是非ご利用いただきたいのが、IT導入補助金です。
ここからは、IT導入補助金の概要と利用するメリットを紹介していきます。
そもそもIT導入補助金とは
「そもそもIT導入補助金って何?」と感じた方もいらっしゃるかと思います。
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者の方が、生産性向上を図るにあたっての課題やニーズに合ったITツール(ソフトウェア、サービス)を導入する際の、経費の一部に補助が受けられる制度です。
申請枠・類型は、どのようなITツールを導入するかによって、「通常枠」と「インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)」「セキュリティ対策推進枠」が設定されています。
今回の記事でご紹介したツール等を導入したい場合は、インボイス枠(インボイス対応類型)に対応しています。
IT導入補助金の詳細については、こちらも併せてご確認ください
ECサイト制作予算が3倍に増える?【IT導入補助金2023】のポイントそれでは、IT導入補助金を利用する具体的なメリットを見ていきましょう。
少ない自己負担でツールの導入が可能
補助額・補助率・対象経費(対象ツール)は申請枠・類型や、ツールが対応している業務プロセスの数によって異なりますが、インボイス対応類型の場合、補助額は最大350万円、補助率は約2/3になっています。
申請が採択され補助金が交付されれば、自己負担額をおさえた投資が可能ですので、事業の拡大や業務の効率化に取り組まれる事業者の方には、ぜひ活用いただきたい補助金です。
申請作業はIT導入支援事業者がサポートするので安心
IT導入補助金の大きな特徴の一つが、「IT導入支援事業者と申請作業を行う」という点です。
IT導入支援事業者とは、中小企業・小規模事業者等がIT導入補助金を申請・受給する際に、事業を共同で行うパートナーとして諸業務をサポートする事業者のことで、ITツールのベンダー・サービス事業者であることが一般的です。
IT導入補助金は他の補助金とは異なり、必ずIT導入支援事業者と申請作業をする必要があり、補助金申請者単独で行うことはできません。
逆に言うと、どのようなツールを選択するか等を随時相談したり、申請作業のフォローを受けたりしながら手続きを進めることができます。
「補助金の申請なんて今までしたことが無いので、何からしたら良いのかわからない」
「パソコン作業等に不慣れなので、自分一人でやり遂げられるか不安」
という方には心強い仕組みと言えそうですね。
注意点としては、申請対象となるITツールは、事前にIT導入補助金事務局に登録され、IT導入支援事業者が提供するツール(ソフトウェア、サービス等)のみとなっている点です。
そのため、パートナーとなるITベンダー・サービス事業者やツールの選定にあたっては、IT導入補助金事務局への登録があるかを、事前に確認することが大切です。
なお、G1行政書士法人ではIT導入支援事業者の紹介も行っています。
「いつも利用しているITサービス事業者がIT導入支援事業者に登録していない」
「新規で依頼したいと考えているが、どのIT導入支援事業者に頼めば良いかわからない」
という方は、是非当法人にご相談ください。
他の補助金より手続きがシンプル
「補助金の申請は手続きがややこしいイメージがある」
という方もいらっしゃるかもしれません。
IT導入補助金では、必要な書類も少なく、基本的にオンライン入力で申請が完結するようになっており、入力すべき内容も非常にシンプルに設計されています。
日々の業務で忙しいという方にも、挑戦しやすい補助金となっています。
IT導入補助金を利用して業務の効率化、労働生産性の向上に成功した事業者様が多数いらっしゃいますので、「どんな規模の、どんなお店が申請しているのかな」と気になった方は、当法人の採択事例集もぜひご覧ください。
まとめ
今回は、飲食店の方がIT導入補助金を利用してITツールを取り入れるメリットを紹介しました。
日々様々な課題に取り組まれる飲食業の事業者様にも役立つITツールが、IT導入補助金の対象になっています。
業務のデジタル化を効率的に進めたいという方は、是非IT導入補助金のご利用を検討してみてください。
当法人では、飲食業の方はもちろん、多岐にわたる業種のお客様の申請サポートに携わらせていただいており、累計採択実績4,451件、IT導入補助金2023の採択率は91.6%となっています。
また、事業実績報告や事業実施効果報告、各種手続きについても多数の経験があり、採択後のアフターフォローも可能です。
IT導入補助金の申請を希望される事業者の方や、ITベンダー・サービス事業者の方は、当法人までお気軽にご相談ください。