人工知能、すなわちAI技術は昨今様々な職種や業務で活用されていますが、IT導入補助金においてもAIが搭載されたツールが補助対象となる場合があることをご存じでしょうか。
この記事では、具体的にどのような業務でAIが活用されているのか、またIT導入補助金の対象となるツールにはどのようなものがあるのか、ご紹介していきたいと思います。
※本記事では、読者の方々がIT導入補助金の対象になるITツールを探しやすくなるよう、具体的なサービス/ソフトウェア名を例示していますが、対象ツールであることの確認は本記事作成時点です。また、全ての対象ツールを網羅するものではなく、特定の製品を推奨するものでもありません。
目次
様々な業種に共通する業務で使われるAI
まずは、業種を問わず共通で存在する業務プロセス内で利用されている例を見てみましょう。
AI×チャット対応
お客様からの問い合わせをチャットで受け付けている事業者様は少なくありませんが、これらに対しての返信を人力で対応しようとすると、「営業時間外の対応ができない」「すぐに返信できない場合があり、お客様を待たせてしまう」「人的コストが過多になる」といった問題が発生する可能性があります。
そこで、チャット対応ができ(「チャットボット」などと呼ばれることが多いです)、かつAI機能を有するITツールを活用することで、
- 営業時間外でも問い合わせに対応できる
- お客様を待たせることなく返事ができる
- チャット対応に充てていた人件費を削減できる
といったことが可能になるため、生産性や顧客満足度の向上を見込むことができます。
IT導入補助金2024の対象として登録されているツールの例:「チャットプラス」、「チャットボットシステム」
AI×シフト作成
シフト作成においては従業員の希望休や公休数、勤務時間など考慮するべき事項が多いですが、人力でこれらを把握した上でシフトを作るのは膨大な時間がかかるだけではなく、ミスが発生する可能性もあります。
そこでこのシフト作成の工程にAI機能を搭載するITツールを利用することで、従業員のシフト収集や作成を自動で行えるようになるため、シフト作成時間や休暇の反映漏れなどの人的ミスを大幅に削減することが可能になります。
IT導入補助金の対象として登録されているツールの例:「HRBEST」、「勤務シフト作成お助けマン」、「miramos」
AI×SFA(営業支援)
SFAとは「Sales Force Automation」の略で、いわゆる「営業支援システム」のことを言います。
SFAにより顧客情報や案件などを一元管理することができますが、SFAの中でもAI機能を持つものを利用することで、さらに以下のような効果を見込むことが可能です。
- 様々なデータを収集できるため、これまでどのようなケースで契約が成立したか等を容易に分析でき、成約率の向上に繋がる
- 取引先との通話内容や商談履歴、メールといった営業活動における履歴を要約できるため業務効率化が期待できる
なお、IT導入補助金で利用できるSFAは、AIを搭載しているか否かを問わず「営業活動の状況が把握でき、企業全体の営業力強化につなげることを目的とした IT ツールが対象であり、単なる営業活動の情報を保有・表示するだけの機能では対象外」とされていますので、注意するようにしましょう。
IT導入補助金2024の対象として登録されているツールの例:「Mazrica Sales」、「Salesforce」、「GENIEE SFA/CRM」
【CRM・SFA】IT導入補助金で導入できる「Salesforce」とはAI×配送計画
配送計画とは、文字どおり物を運ぶ際に立てる計画のことで、この計画策定をアシストするツールにおいても、AIが搭載されたものがあります。
このようなシステムを活用することで、効率的な配送・巡回経路や計画を自動で作成できるようになるため、それまで配送計画の立案に要していた時間の削減や労働生産性向上に役立てることが可能になります。
IT導入補助金2024の対象として登録されているツールの例:「AI-Stream Quick Plan」、「ワイズ・システムズ」
AI×動画作成
社員向け研修などで動画を活用する企業も増えていますが、動画作成ツールにおいてもAI機能が組み込まれたものがあります。
必要な文字や画像を差し込むだけで自動で動画が生成されるため、今まで動画の作成をしたことがないという事業者様も簡単に動画を作ることができます。
IT導入補助金2024の対象として登録されているツールの例:「番組生成PC版」、「HeyGen」、「VideoBRAIN」
特定の業種に多い業務で使われるAI
続いて、主に特定の業種に存在する業務プロセス内で利用されている例を見てみましょう。
AI×警備
介護業や保育園または小売業など、警備が必要になる業種は数多くありますが、従来人力で対応していたこの警備業務においても、AIの力を借りることが可能です。
防犯カメラとAI機能を有するツールを連携させることで、システム上で24時間モニタリングを行うことが可能になります。また異常があった場合はリアルタイムで通報が届く仕様となっているため、現場の安全度を向上させることができます。
IT導入補助金2024の対象として登録されているツールの例:AI警備システム「アジラ」
AI×コーディング
コーディングとは「プログラミング言語を用いてソースコードを作成すること」を言います。
このコーディングをAI機能を持つツールで行うことで、人手やナレッジが不足している事業者でも、ソフトウェアやシステムを開発するためのコードの生成を自動で行えるようになるため、ヒューマンエラーの防止や業務効率化に繋げることができます。
IT導入補助金2024の対象として登録されているツールの例:「AI Works」
AI×行動解析
製造業や建設業など、人力での作業が発生する職種においては、限られた人員や時間でどのように業務工程を改善していくかがポイントになります。
AI機能を備えた行動解析ツールを使用することで、作業が正しくこなせているか、求められている基準どおりの動きができているか等をシステム上で分析、及び問題点を抽出できるため、作業工程を効率的に改善することが可能になります。
IT導入補助金2024の対象として登録されているツールの例:行動解析AI「AI XAC」、「作業者解析AI」
AI×訪問看護・介護スケジュール作成
訪問看護・介護のスケジュール作成ができるツールにおいても、AI機能が備わっているものがあります。
一般的に訪問看護や介護においては「どの利用者のもとにいつ誰が伺うのか」等を把握する必要があり管理が煩雑化しがちです。
そこでこの業務工程にAIを活用することで、スケジュールの自動作成や対応スタッフの自動割当て等を行えるため、労働生産性の向上を期待できます。
IT導入補助金2024の対象として登録されているツールの例:「CareMaker」、「在宅医療スケジュールプラットフォームZEST」
AI×レセプト業務
レセプト業務とは、医療機関や介護施設などの事業者が、健康保険、国民健康保険、介護保険などの保険者に診療報酬の請求を行うことを言いますが、回収した報酬が事業者の収入等に直接的に関わってくることなどから、この作業においては慎重さや正確さが重要になってきます。
そこでこのレセプト業務をAIを用いたツールで対応することで、算定の時間を大幅に削減できるだけではなく、計上漏れなども防ぐことができるため、省力化や作業精度の向上に資することが可能です。
IT導入補助金2024の対象として登録されているツールの例: 「MEBAISアシストfor医療事務」
まとめ
今回は、AI技術がどのような業務で活用されているのか、また実際にIT導入補助金の対象となるツールにはどのようなものがあるのか、ご紹介しました。
人手不足や過剰な業務量など、事業者様ごとに抱える課題は様々かと思いますが、労働生産性を向上させたいとお考えの方はぜひAI機能を搭載したITツールや、IT導入補助金のご利用をご検討ください。
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