「労働生産性の向上を図りたいが、何からすればいいかわからない」
「無駄な人件費を削減したいが、うまくいっていない」
「限られた人数で業務を回すには、どうしたら良いんだろう」
このようにお考えの製造業の方はいらっしゃいませんか。
そのお悩み、ITツールを使えば解決できるかもしれません。
この記事では、製造業の方がIT導入補助金を利用して導入できるITツールの例や、それらのITツールを導入するメリットをご紹介します。
目次
製造業の課題
IT導入補助金の詳細を説明する前に、まずは製造業が抱える問題を見ていきましょう。
製造業と一口に言ってもその種類は食品関連、化学関連、建築関連と実に様々ですが、ここでは当法人が補助金申請をサポートさせていただく中で、業界全体、また事業者様単位で共通して伺うことの多い課題をご紹介いたします。
人手不足
製造業の課題としてまず挙げられるのが、「深刻な人手不足」です。
他業種においても、特に中小企業・小規模事業者の方々からは、人手不足は課題として挙げられることが多いものですが、製造業においては特に影響が大きく、事業拡大への足枷になっていることを感じます。
製造業で人手不足の状態が慢性化している原因は一概には言えませんが、「工場が地価の安い地方にあるため、そもそもの人口が少なく求職者が集まりづらい」「待遇面が求職者の希望に合わず、採用活動が難航してしまう」「体力を要する仕事で負担が大きく、短期離職者が多い」といった要因が挙げられます。
このような人手不足に関する問題については、
「限られた人員で仕事をこなせるよう、どれだけ業務を効率化できるか」
「賃金を上げ、休暇などの福利厚生面を充実させ、人材の定着を図れるか」
といったことが解決の鍵であると言えます。
技術継承が進んでいない
次に挙げられる課題が「技術継承が進んでいない」という点です。
製造業という職種柄、商品を製造するにあたり各事業所ならではのスキルやノウハウを有しているものですが、上述の人手不足も影響し現在製造業全体でこの技術を十分に受け継げていないという悩みを抱えています。
このような問題に対しては
- 就業時間内に指導の時間を確保できるよう、普段の業務フローを見直す
- 技術をマニュアルで残し、いつでもチェックできるようにする
といった取り組みをされていることを事業者様からお聞きします。
デジタル化の遅れ
デジタル化が進んでいないという点も製造業が抱えている課題の一つです。
デジタル化が遅れているという悩みは他業界の方からも伺うことが多いですが、製造業においては「従来のシステムの一新が難しい」などの理由で取り組みが前進していないケースが散見されます。
このような場合においては、「自社の課題を解決できそうな、身近なITツールから導入を始める」といった対応で、徐々にデジタル化を推進される事業者様が多いです。
ITツール導入でできること
ではこれらの課題に対し、ITツールを導入するとどのような対策が可能になるのでしょうか。
ITツールを使い業務をデジタル化することで、
- それまで人的工数を割いていた部分を削減し、人手不足解消に繋げることができる
- 労働生産性を向上させた結果生まれた時間を、別の業務や課題解決のための施策立案・実行に充当することができ、事業の持続可能性を高めることが可能になる
といった効果が期待できます。
従来、人の手がかかる作業の多い業種だからこそ、ITツールの利用が業務の効率化に貢献する余地は大きいと言えそうです。
導入するITツールの例
ここまでで、ITツールを導入する利点をご紹介しました。
それでは次に、製造業で導入できるITツールの具体的な例を見ていきましょう。
CADシステム
まず挙げられるのがCADシステムです。
CADは「Computer Aided Design」の略で、CADシステムとは設計図面の作成をコンピューター上で行えるソフトのことを言います。
これまで手書きで対応していた図面の作成をデジタル化できるようになるため、保存や修正、変更の簡易化やデータの流用による工数削減が可能となります。
また他にも
- プレゼン支援機能を活用することで視覚的に訴求した発表が可能になり、新サービスのPRに活かすことができ、新たな販路開拓を見込める
- 積算見積機能があり、必要な部品や材料を見積書や発注書・明細書などへ自動反映できるため、受発注における工数削減に役立てることができる
といった効果を期待できます。
CADシステムについては別記事にも詳細の記載がありますので、ぜひ併せてご覧ください。
【建築業・製造業等】IT導入補助金で導入できる「CADソフト」とはRPAツール
RPAツールとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略で、ソフトウェア・ロボットまたはロボットを使用して、本来人間が行うルーティーンを自動化することができるツールのことを言います。
RPAは、手順が画一化されている業務やデータ処理の自動化に特に適しており、画面上での操作やデータ入力、情報の取得などを自動で行うことができます。
製造業においては、在庫管理や受発注、請求書や報告書の作成といったバックオフィス業務の自動化に適しており、製造作業以外の労働時間の短縮や生産性向上が期待できます。
品質管理・製造工程管理・生産管理システム
品質管理、製造工程管理、生産管理は製造業において欠かすことのできない工数ですが、アナログで対応すると時間がかかるだけではなく、人的ミスが多数発生する場合が少なくありません。
しかし、ITツールにはこれらの業務をデジタル化することができるものもあり、以下のような効果が期待できます。
<品質管理>
- マニュアルや作業工程が可視化されることで、全従業員が同じクオリティで仕事ができるようになる
- 品質に関する情報が一元的に管理できるため、不具合が発生した際の原因追及を容易に行うことができる
<製造工程管理>
- 製造におけるタスクや期限の管理が簡素化され、また現場の動き等も誰でも好きな時に確認できるため労働生産性向上に繋がる
<生産管理システム>
- 電子化により適切な在庫管理ができるようになり、無駄なコストの削減になる
- 生産ラインの状況を即時把握できるようになり、業務フローの改善に役立つ
CO2 排出量管理ツール
CO2 排出量が管理できるツールも、近年注目を集めています。
2020年に政府は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」いわゆるカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました(環境省「脱炭素ポータル」より)。
これにより各企業にもCO2排出量削減が求められるようになり、特に製造業においては他の業界と比べても排出量が多いことから、削減に向けてどう取り組むかに関心が集まっています。
そこで利用をおすすめしたいのが、CO2 排出量管理ツールです。
このCO2 排出量管理ツールの導入によって
- CO2 排出量のクラウド管理や、レポートの作成機能を活用して脱炭素経営に向けた施策立案、実行が容易になるとともに、環境に配慮した企業であることを対外的にアピールできる
- 排出量が可視化されることで製造過程における無駄な作業やエネルギーを削減しやすくなるため、生産性向上に役立つ
といった効果を見込むことができます。
食品表示システム
食品表示システムとは、その名のとおり食品に関する様々な情報(品質保持期間、栄養成分表示、アレルギー表示等)の表示ができるツールのことです。
機能はシステム・ソフトによって多岐にわたりますが、多くのソフトが「食品表示法やその他の関連法規に準拠した上での食品の種類や成分、アレルギー表示の自動作成」が可能であるため、「食品表示を作りたいけど、やり方がわからない」「法律がややこしいので適切な表示を作成できるか不安」といった事業者様におすすめのシステムです。
動画マニュアル作成ソフト
動画媒体でのマニュアル作成ができるソフトも生産性向上におすすめです。
文章や口頭のみでは説明が難しい作業を動画として残すことができるため、技術継承に役立てることができます。
また、これまで対面で行っていた研修も動画で代替できるようになり、それまで指導に充てていた時間を別の業務に使うことが可能になるため、業務効率化が見込めます。
ITツールの導入にIT導入補助金の利用をおすすめする理由
ここまでで、労働生産性向上にITツールの導入が効果的であることをご説明しました。
しかし、「ITツールを利用するメリットはわかったけど、多大な費用と時間がかかりそうで心配」と感じる方もいらっしゃると思います。
そのような方にご活用いただきたいのが、IT導入補助金になります。
ここからは、IT導入補助金の概要とご利用をおすすめする理由を解説します。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者の方が生産性向上を図るに際して、現状の課題を解決するためのITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用の一部に補助を受けることができる制度です。
導入するITツールによって申請枠・類型が異なり、2024年度のIT導入補助金2024においては
- 通常枠
- インボイス枠(電子取引類型・インボイス対応類型)
- 複数社連携IT導入枠
- セキュリティ対策推進枠
が設けられています。
少ない自己負担でツールの導入が可能
当法人がIT導入補助金の使用をおすすめする大きな理由として「ITツール導入における費用を抑えることができる」というものがあります。
補助額・補助率・対象経費(対象ツール)はどの申請枠・類型で応募するかによって異なりますが、全体で補助額は最大450万円、補助率は1/2~4/5となっています。
これは例えば補助率が2/3の類型で申請した場合、ITツール導入における自己資金が1/3になるということであり、本来ITツールの投資に充てる必要があった予算を大幅に抑えることが可能となります。
申請が採択され補助金が交付されれば、自己負担額の軽減とIT投資の両方が実現可能となりますので、「予算は限られているが、労働生産性を向上させたい」という事業者の方にぜひご活用いただきたい制度となっています。
申請作業はIT導入支援事業者がサポートするので安心
IT導入補助金に応募する事業者は、IT導入支援事業者と共同で申請を行います。
IT導入支援事業者とは、事前にIT導入補助金事務局の審査を経て登録され、IT導入補助金の申請者(中小企業・小規模事業者)に対してITツールを販売する事業者のことを指します。
このIT導入支援事業者は、販売後も申請者が導入したITツールの運用についての相談やサポート、並びにIT導入補助金の申請や実績報告等、事務局に提出する各種申請・手続きの支援を行います。
IT導入補助金は申請者が単独で申請することはできず、必ずIT導入支援事業者と連携して申請作業を行わなければなりません。
しかし、逆に言えばどのITツールを選択するべきか等を相談したり、申請作業で困った際も随時サポートを受けながら手続きを進めることができるため、「補助金の申請をするのは初めてなので、きちんと対応できるか心配」とお悩みの事業者様にも心強い仕組みと言えます。
ただし、申請することができるITツールはあらかじめIT導入補助金事務局に登録されている、IT導入支援事業者が取り扱っているITツール(ソフトウェア、サービス等)のみとなっている点に注意が必要です。
そのため、ITベンダー・サービス事業者や導入するITツールの選定にあたっては、IT導入補助金事務局に登録があるかを、事前に確認することが重要です。
なお、G1行政書士法人ではIT導入支援事業者のご紹介も承っております。
「いつもお世話になっているITサービス事業者がIT導入支援事業者に登録していない」「利用したいITツールがあるが、どのIT導入支援事業者に依頼すれば良いかわからない」
という方は、是非当法人までご相談ください。
他の補助金より手続きがシンプル
「補助金の申請って、手続きが大変そう」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、IT導入補助金は他の補助金に比べると準備が必要な書類も少なく、基本的にオンライン入力で諸手続きが完了する仕組みになっています。
また、入力が必要な内容も簡潔に設計されているため、日々の業務で忙しいという事業者様にも挑戦していただきやすい補助金となっています。
IT導入補助金を利用して業務の効率化、労働生産性の向上を達成した事業者様が数多くいらっしゃいますので、「どんな規模の、どんな事業者が申請しているのかな」と気になった方は、当法人の採択事例集もぜひご覧ください。
まとめ
今回は製造業の方に向けて、IT導入補助金を利用して導入できるITツールの例や、それらのITツールを導入するメリット、およびIT導入補助金の利用をおすすめする理由をお伝えしました。
「ITツールを導入して生産性向上を目指したい!」という製造業の方は、ぜひIT導入補助金のご利用をご検討ください。
当法人では、製造業の方はもちろん、様々な業種の方に向けて申請のサポートを行っており、累計採択実績は4,451件、2023年採択率は91.6%を達成しています。
各種申請前の注意点や手続き説明から、交付申請時の申請内容の作成支援はもちろん、採択後の実績報告や効果報告、各種手続きについても多数の経験から蓄積したノウハウを有していますので、アフターサポートも充実しています。
IT導入補助金の申請を希望される事業者の方や、ITベンダー・サービス事業者の方は、ぜひ当法人までお問い合わせください。