ITベンダー・サービス事業者(から見るIT導入補助金
IT導入補助金は、様々なITシステムやサービスの導入に補助金が使える事から、顧客側からすると、費用負担に対して補助金を活用できる大きなメリットがあります。
そのため、顧客としても、通常よりも安く利用できたり、トライアル的に導入しやすいなど、サービスの導入意欲が高まりやすい側面があります。
ですが、IT導入補助金を活用して顧客に提案をする場合、すぐにIT導入補助金を使えるわけではありません。
IT導入補助金を活用する場合は、まず、IT導入補助金事務局に「IT導入支援事業者」として登録される必要があります。
考え方としては、国としても補助金が使えるサービスに対して一定の品質を保つ必要があり、よくわからないIT事業者に、補助金をむやみに出す事はできないという考え方が見てとれます。
また、別の記事でもご紹介していますが、IT導入補助金は、IT導入支援事業者が申請をサポートするフローになるため、事前登録の枠組みが必要であるとも考えられます。
この手続きは多少面倒と感じるかもしれませんが、自社のサービスに補助金を使える事にもなりますので、必要な事とご理解いただき取り組みを実施していただければと思います。
本サイトでは、わかりやすく理解いただくために、言葉の言い回しなどの表現を変更して表記しています。
IT導入支援事業者の役割
①自社提供サービス(ITツール)導入における商談、見積もり等の問い合わせ対応
自社提供サービス(ITツール登録が必要)に対して、商談・打ち合わせ・見積もり、問い合わせなどに対応し、申請を考えている顧客に対して自社提供サービスによるパフォーマンス・生産性向上の提案を実施します。
②申請の共同作成及びIT導入支援事業者による申請サポート
申請を実施する際に、顧客へのサポート(交付申請フォロー、必要情報の取りまとめ等)を行って、事務局へ申請する手続きの最終確認までサポートを行います。
また、導入する自社提供サービス(ITツール)が顧客のパフォーマンス・生産性向上にどのように関わるのかの理解を得ておきます。
③採択後に提供するサービス(ITツール)の契約、導入、代金の受領
採択後に、顧客と、提供するサービスの契約を実施し、導入、支払いを受け、円滑に事業の推進をサポートします。
④実績報告の共同作成とIT導入支援事業者による実績報告の申請サポート
提供サービス(ITツール)導入後、サービスを導入した事を「事業実績報告」として、事務局に報告します。
その際に、事業実績報告における顧客へのサポート(事務局指定の書類作成、請求書、導入に際しての証憑(支払明細)、その他必要書類(通帳口座のコピー)の取りまとめ等)を行い、顧客が実績報告を円滑に進められるようにIT導入支援事業者がサポートを行います。
⑤提供サービスに対するアフターフォロー、アフターサービスを実施
提供サービス(ITツール)の導入後も、顧客に対してアフターフォローとして迅速に対応します。
⑥効果報告の共同作成とIT導入支援事業者による効果報告の申請サポート
また、提供サービス導入後の事業の進捗・経過を、「事業実施効果報告」として事務局に報告します。
その際に事業実施効果報告における顧客へのサポート(必要情報の収集・集計等の取りまとめ等)を行い、顧客が円滑に効果報告を実施出来るようにIT導入支援事業者がサポートを行います。
いろいろと記載していますが、整理すると、
- 顧客への提案
- 審査の際の申請をサポート
- 採択後の提供サービスの導入・支払いを受ける
- サービスを提供した証明をする「実績報告」の申請をサポート
- 経過の報告として「効果報告」の申請をサポート
を最低限実施する事が必要となります。
IT導入補助金の ITツールIT導入支援事業者の登録要件
補助金を活用できる事は非常にメリットがありますが、どんなIT事業者でも登録できるわけではありません。
登録できるポイントを整理すると、
①日本で登録された法人である
※個人事業主の事業者様は、単独では登録が出来ません。
②過去に経済産業省管轄の補助金交付の停止等を受けていない
③事務局が定める要件のITツールを提供できる
④それに類するサービスの提供・販売の実績がある
⑤補助金交付後も継続的(1年以上)に顧客に対して十分なサポートができる体制がある
⑥事務局に対して必要な情報を報告できる
が挙げられます。
特筆する点としては、個人事業主のIT事業者様がIT導入支援事業者へ登録できるかどうかについてですが、残念ながら制度上、単独登録が不可となっています。
ただ、法人様であれば、事業年度が1年以上あり、提供サービスの導入実績があれば、登録が可能となっています。
登録にあたっては、IT導入補助金事務局の外部にあたる、各分野の専門家で構成された審査委員会にて審査が行われます。
IT導入支援事業者の登録の流れ
①仮登録
IT導入補助金のポータルサイトより、仮アカウントを発行するためのメールアドレスを入力して、仮登録を実施します。
②アカウント付与
事務局からのメールにて、IT導入支援事業者の登録申請をするためのアカウントを受け取ります。
③登録申請(要件確認、宣誓事項等)
メールにて、記載されているURLより、ID、パスワードを作成し、必要内容に応じて入力、チェックなど登録を進めていきます。
主な登録・申請内容としては、
・要件確認
・基本情報、企業実績、財務状況
・サポート体制
・情報セキュリティ対応状況
・宣誓事項
・履歴事項全部証明書写し(発行から3ヶ月以内のもの)
・税務署の発行する法人税の納税証明書(その1もしくはその2)
・会社案内(パンフレットなどのデータ)
・製品紹介パンフレットデータ(代表的なサービス)
が挙げられます。
基本的な事は、すぐに入力できるため、
- 決算書情報(過去2期分※事業年度が2年以内の場合は準備できる範囲)
- 履歴事項全部証明書(発行3ヵ月以内)
※履歴事項全部証明書は申請の際にデータの添付が必要です。 - 税務署の発行する法人税の納税証明書(その1もしくはその2)
- 会社案内(パンフレットなどのデータ)
- 製品紹介パンフレットデータ(代表的なサービス)
を準備して登録を実施します。
なお、入力するスピードにもよりますが、登録・申請には約1時間前後で完了します。
④採否公表
IT導入支援事業者への登録・申請後約1週間をメドに事務局から採否の連絡がきます。
申請が立て込んでいる場合は1週間以上かかる場合もあります。
また、登録に際にして事務局から追加の確認もありますので、メールや、発行されたアカウントで進捗をこまめに確認しておく事をおすすめします。
IT導入支援事業者申請登録スケジュール
IT導入支援事業者はいつでも登録が出来るわけではないため、登録期間内に申請する必要があります。
IT導入支援事業者登録申請 | スケジュール |
登録申請 | 2024年2月16日(金)~終了時期は公式サイトにて後日案内予定 |
採択結果 | 随時(平均1週間程) |
まとめ
以上にて、IT導入支援事業者の登録・申請を完了し、見事IT導入支援事業者へ採択されれば、IT導入補助金を活用するための第1段階をクリアした事になります。
ただ、これでIT導入補助金を活用できるわけではありません。
次のステップとして補助金を使いたい提供サービスの「ITツール登録」が必要になります。
詳しくは、「ITツールの登録」にて紹介していますが、ITツールの登録が完了すれば、IT導入補助金を活用して顧客へ提案する事が可能となります。
ただし、ITツールもIT導入補助金の制度を理解して登録しないと、IT導入補助金の採択を受けられない場合があるため、よく理解した上で登録される事をおすすめしています。