「業務効率が悪いが、どう改善したら良いかわからない」
「不要な業務工数や人件費を減らし、労働生産性を高めていくためには何をすべきなんだろう」
このようにお困りの宿泊業の方はいらっしゃいませんか。
そのお悩み、IT導入補助金を活用してITツールを取り入れることで、解決できるかもしれません。
この記事では、宿泊業の方がIT導入補助金を利用することでどういったITツールの導入が可能なのか、またIT導入補助金を活用するメリット等をご紹介していきたいと思います。
目次
宿泊業の課題
IT導入補助金の概要をお伝えする前に、まずは宿泊業が抱えている課題を見ていきましょう。
ここでは当法人が補助金申請のサポートをさせていただく中で、業界全体、また事業者様単位でよくお聞きする課題をご紹介いたします。
人手不足
宿泊業の課題としてまず挙がるのが、人手不足です。
人材が足りていないというお悩みは様々な業界の方から伺うことが多いですが、宿泊業も例に漏れません。
宿泊業で十分な人手の確保が進んでいない理由を一概に述べることはできませんが、
・支給する賃金が、求職者の希望に副わない
・長時間労働や夜勤があり、負担が大きい
・土日祝日など世間の一般的な休日に休みを取りづらく、ワークライフバランスの両立が難しい
などの要因が挙げられます。
そのため、
・限られたスタッフで業務を回していくために、どのように効率化を図るか
・給与を引き上げるなど、従業員の待遇を向上させ、人材の流出を防げるか
といったことが、人手不足解消の糸口となっています。
利益率の低さ
宿泊業の課題として次に挙げられるのが、利益率の低さです。
宿泊業は地代や設備投資費用、人件費などの固定費がかさむことが多く、他の業界や業種と比較すると必然的に利益率が低くなる傾向にあります。
限られた条件の中でも収益を確保し、そして事業を継続していくために、「経費を削れる部分は無いか、細かく分析をする」「新サービスの提供を開始するなど、新たな手段で売上を増やし、経費の補填や利益の向上を図る」といった方法でこの問題と向き合っていることを、事業者の方からお聞きします。
インバウンド客の増加
インバウンド需要にどのように応えていくかという点も、宿泊業の課題です。
日本政府観光局が発表した「訪日外客数(2024年7月推計値)」によると、コロナ禍で激減した外国人旅行者数は2023年には約2,238万人とコロナ流行前(2019年:約2,825万人)に近い数値にまで回復しています。
また、2024年の外国人観光客数は5月時点で約1,322万人となっており、今後も増加傾向にあると予想されます。
インバウンド客が増えることで大きな経済効果を見込めるというメリットがある一方、
「多言語対応など、外国人観光客を受け入れるための準備が整っておらず、予約機会を逃してしまったり、顧客満足度の低下を招いてしまうことがある」
といった宿泊業経営者の方のお声も耳にすることがあります。
グローバル化を進め、インバウンド客に向けた販路拡大や十分なおもてなしの提供を図っていくために
・外国籍の従業員を雇用する
・ITツールを活用して、様々な業務の多言語対応を推進する
といった対応を取られていると、事業者の方からお伺いします
デジタル化の遅れ
デジタル化が遅れているという点も、宿泊業の悩みの種の一つです。
・宿泊業ならではの綿密な接客を行うためのホスピタリティの精神と、デジタル技術による自動化との親和性が低いと思われる傾向があり、アナログからの脱却が難しい
・リソースが不足しており、なかなかデジタル化まで手が回らない
などの背景があり、業界全体としてデジタライゼーションが進んでいないというご意見をよく伺います。
この問題に関しては、「業務効率と顧客満足度の向上を両立できるようなITツールを導入してみる」「予算等無理のない範囲のシステムやソフトの利用から始める」「自治体の補助金や給付金を使用する」といった対策をされている事業者を耳にします。
ITツール導入でできること
それでは、このような問題に対し、ITツールを導入することでどのような効果が見込めるでしょうか。
ITツールを取り入れ、業務をデジタル化することで、
・それまで人手を割いていた工数を省けるようになり、人件費削減や人材不足解消に繋げられる
・オペレーションを効率化することで、顧客満足度の向上を図れる
・業務能率推進により生まれた時間を、新サービス開発のための方策立案に充てられるようになる
といった成果を期待することができます。
職種柄依然として人力での対応が求められる業務も多い宿泊業ですが、だからこそITツールをうまく活用し、生産性とカスタマーサティスファクション双方の向上を目指す意義は大きいと言えそうです。
導入するITツールの例
「ITツールを導入する利点は理解できたので、宿泊業の場合だと実際にどのようなITツールが活用されるのか知りたい」と感じた方もいらっしゃるかと思います。
ここからは、宿泊業で運用され得るITツールの具体例をご紹介いたします。
ホテル管理システム
ホテル管理システムはPMS(Property Management Systemの略)とも呼ばれ、名前のとおりホテルに関する様々な情報を一元的に管理することができます。
予約状況や顧客データをまとめて把握できるため、情報共有が円滑になりダブルブッキングなどの人的ミスを防げるほか、売上の管理なども容易になるため、顧客の動向を正確に把握することで新しい施策の立案などに役立てることも可能です。
また、メーカーによっては自社サイトのカレンダー画面などから直接予約受付を行えるものもあり、これにより仲介サイトなどを通さずに予約を受けることが可能になるため、手数料の削減に繋げることができます。
ホテル管理システムについては当サイトの別記事にも詳細がありますので、ぜひ併せてご確認ください。
IT導入補助金が使える宿泊管理システム・ホテルシステム(PMS)とは (g1info.jp)
セルフチェックインシステム
セルフチェックインシステムとは、宿泊客が自身でチェックインを済ませられるシステムのことを言います。
スタッフが受付で予約の確認を行い、必要な手続きに対応するという従来の接客オペレーションが不要になり、24時間対応が可能になることから、人件費や人的工数を大幅に削減できます。
また、鍵やカードキーの渡し間違いや、精算時の会計ミスなどの防止にも役立つほか、外国語表記もできるシステムを使えば、インバウンド客の対応もスムーズに行うことが可能です。
操作も簡単なものが多く、顧客側に対しても「少ない待ち時間で円滑にチェックインができる」というメリットをもたらすことができます。
研修管理システム
宿泊業では現場での実務から接客の方法まで、様々な研修が行われることが多いですが、研修管理システムではこういった研修に関するデータの一元的な管理が可能です。
実施する研修の展開や出欠確認などをシステム上で行えるため、従業員数が多い場合でも無駄なく研修が実施できることから、人事担当者の負担を削減できます。
また、メーカーによっては多言語での表示や翻訳に対応しているシステムもあり、外国人労働者を雇用している事業者様も安心して研修を行うことが可能です。
多言語コミュニケーションツール
様々な国の言語で顧客にサービスが提供できる多言語コミュニケーションツールも、労働生産性向上に寄与します。
これらのシステムでは、館内の案内や顧客とのやり取りなどを電子上で行うことができます。
主に施設で用意されたQRコードなどを読み込む形で利用が可能であり、使う際は宿泊客自身が好きな言語を選択できるため、外国人の方でも安心かつ快適に滞在を楽しんでいただけるのはもちろんのこと、接客オペレーションの簡略化を図ることも可能です。
またツールによっては館内の食べ物や飲み物のオーダーや、マッサージの予約などができるものもあり、サービスの利便性が向上するため、客単価の上昇も見込めます。
チャットボット
チャットボットは、顧客からの問い合わせに自動で応答することができるシステムです。
予約内容の確認やチェックイン・アウトの時間、ホテル周辺の観光地に関する情報など、お客様から質問されることが多い事項にシステム側が答えてくれるため、人力で対応する手間が省け人的工数の削減に繋がります。
多言語対応が可能なものであれば海外のお客様の問い合わせにも容易に返答できるため、社内のグローバル化推進にも寄与します。
また24時間365日、いつでも好きな時に問い合わせが行えることから顧客にとってもプラスになるため、サービス向上に役立ちます。
チャットボットやチャットシステムについては、是非当サイトの以下のページもご覧ください。
IT導入補助金で導入できる「チャットボット/チャットシステム」とは | G1-info (g1info.jp)
ITツールの導入にIT導入補助金の利用をおすすめする理由
ここまでで、ITツールを取り入れることが労働生産性向上に有用である旨をご理解いただけたかと思います。
しかし、「ITツールが便利なのはわかったけど、リソース面で導入する余裕が無い」「どのツールを自社で使うべきなのかわからない」といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このようにお考えの方におすすめしたいのが、IT導入補助金です。
ここからは、IT導入補助金の概要と、当該補助金の活用を推奨する理由をご紹介していきます。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者の方が労働生産性を向上させるにあたって、業務効率化やデジタル化を促進するためのITツール(ソフトウェアやサービス等)の導入を支援するために設けられた制度です。
申請枠や類型は、どのようなITツールを取り入れたいかによって異なりますが、2024年度のIT導入補助金2024においては
- 通常枠
- インボイス枠(電子取引類型・インボイス対応類型)
- 複数社連携IT導入枠
- セキュリティ対策推進枠
のように複数の申請枠・類型が用意されていました。
自己負担を抑えたIT投資が可能
当法人がIT導入補助金のご利用をおすすめする理由の一つに、「ITツールを導入する際の自己負担額を抑えることができる」というものがあります。
前述のとおりIT導入補助金にはいくつかの申請枠や類型があり、補助額や補助率、対象経費はどの枠や類型で申請するかによって異なりますが、IT導入補助金2024では、全体で最大補助額は450万円、補助率は1/2~4/5となっています。
補助金が交付されることで、少ない自己負担額でITツールを導入することが可能ですので、「リソースは限られているが、ITツールを活用して労働生産性を向上させたい」という事業者の方にもぜひご利用いただきたい制度となっています。
申請作業はIT導入支援事業者がサポートするので安心
他の補助金とIT導入補助金の相違点として、「IT導入支援事業者と共に申請作業を行う」というものがあります。
IT導入支援事業者とは、IT導入補助金に応募する中小企業・小規模事業者、すなわち申請者に対して、ITツールの導入や販売、運用方法に関しての打ち合わせから、実際の申請作業及び採択が決定した後の手続きまで、様々な支援を行う事業者のことを言います。
IT導入補助金に申し込む際は必ずIT導入支援事業者と共同で申請作業を行わなければならず、申請者が単独で応募することは認められません。
しかし、逆に言うと自社にどのようなITツールを導入するべきかなどを相談したり、申請作業のフォローを適宜受けたりしながら手続きを行うことが可能ですので、
「補助金申請を初めてするので、どのような手順で進めれば良いのか見当がつかない」
「パソコン作業等に慣れていないため心配」
という方にもご利用いただけきやすい仕組みとなっています。
ここでご注意いただきたいのは、「IT導入補助金で申請対象となるのは、あらかじめIT導入補助金事務局に登録されているIT導入支援事業者が提供するITツール(ソフトウェア、サービス等)のみ」という点です。
ですので、ITベンダー・サービス事業者、ならびにITツールを選ぶ際は、IT導入補助金事務局に登録されているかを事前に確認する必要があります。
なお、G1行政書士法人ではIT導入支援事業者のご紹介も可能です。
「どのIT導入支援事業者に依頼すべきかわからない」という方は、当法人までお気軽にご相談ください。
他の補助金より手続きがシンプル
「補助金の申請って、手続きが大変そう」というイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、IT導入補助金は申請のために準備が必要な書類も少なく、申請作業自体も基本的にオンライン入力で完了するようになっています。
さらに入力事項も非常にシンプルな設計となっているため、「日々の業務に追われていて忙しい」という事業者様にもチャレンジしていただきやすい補助金であると言えます。
IT導入補助金を活用して業務能率の改善や労働生産性向上を果たした事業者様が数多くいらっしゃいますので、当法人の採択事例集も併せてご覧いただけますと幸いです。
まとめ
今回は宿泊業の方に向けて、IT導入補助金の概要と当該補助金を活用する様々なメリットをご紹介しました。
「業務を効率化して、労働生産性を上げるために、ぜひIT導入補助金を使ってみたい!」とお考えの事業者様や、ITベンダー・サービス事業者の方は、G1行政書士法人までお問い合わせください。
当法人では、宿泊業の方はもちろんのこと、多岐にわたる業種の方の申請サポートを行っており、これまでの累計採択実績は4,451件、2023年採択率は91.6%を記録しています。
さらに、採択決定後の実績報告や効果報告、各種手続きに関しても豊富な知識や経験があり、申請を行った後においても細やかなフォローが可能です。
IT導入補助金の申請をご検討中の事業者の方や、ITベンダー・サービス事業者の方は、G1行政書士法人までご連絡ください。