本記事は「IT導入補助金2023後期」の実績報告に関する記事です。
最新の「IT導入補助金2024」実績報告については下記ページを参照ください。
【IT導入補助金2024】実績報告と必要書類について詳しく解説IT導入補助金は、申請が採択された後~補助金を受け取るまでの間に「実績報告」の手続きが必要となり、期限内に実績報告の提出を行わないと補助金を受け取ることができません!
実績報告とは、補助金の交付を受け取る前の重要な手続きで、申請対象ツールの納品や支払いが完了したあとに、必要書類や情報などの提出を行う手続きです。
今回はIT導入補助金2023後期の実績報告について最新情報を解説していきます。
IT導入補助金2023後期 実績報告とその後の流れ
実績報告とその後の流れは以下となります。
<事業実施>
- ITツール契約、納品、支払い
- 実績報告の作成
- 実績報告の提出
- 補助金確定通知、補助金の交付
<補助金交付後>
- ITツール導入後のアフターフォロー
- 事業実施効果報告の作成
- 事業実施効果報告の提出
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
それでは、実績報告の前後を含む、<事業実施>内の詳細を解説していきます。
ITツール契約、納品、支払い
IT導入補助金事務局から採択(交付決定)を受けたら、まずは補助事業者(申請者)とIT導入支援事業者(ITツールの販売企業)との間で、交付決定を受けたITツールの契約・納品・支払いなどを進めます。
IT導入補助金は、採択(交付決定)後に契約などを着手する必要があると定められています。つまり、採択(交付決定)より前に対象ITツールの契約や支払いを進めてしまっていると、補助金が受け取れなくなってしまいますのでご注意ください。
実績報告の作成
上記の「ITツール契約、納品、支払い」が全て完了した後に、補助事業者(申請者)が申請マイページ上で「実績報告」の作成(入力・書類添付)を行います。
実績報告を提出するまでに、IT導入補助金の交付申請を行ったすべてのITツールの利用・運用が開始されている必要がありますので、ご注意ください。
実績報告は全ての申請枠共通で必要な非常に重要な手続きとなり、提出が必要な書類も複数ありますので、そちらについては後ほど解説します。
実績報告の提出
続いて作成した実績報告を事務局へ提出するステップです。
前述の補助事業者(申請者)が実績報告を作成(入力・書類添付)した後、IT導入支援事業者(ITツールの販売企業)が内容の確認および必要情報の入力手続きをした上で、最終的に補助事業者(申請者)から事務局へ提出する流れとなります。
実績報告は提出期限が設けられており、必ずその期限までに提出しなければなりませんので、注意しましょう。
補助金確定通知、補助金の交付
実績報告後は事務局によって、事業が申請に基づき実施され経費が適正に支出されたかどうか、必要書類が揃っているか、などの審査(確定検査)が行われます。
この確定検査が完了し問題がなければ、事務局から補助事業者(申請者)宛てに補助金確定内容の通知と承認依頼が届き、これを承認する事で、補助金の確定通知が発行され、補助金が順次交付(入金)されるという流れになっています。
また、事務局の審査によって書類不足や入力相違などが発覚した場合は、不備として差し戻されます。
差し戻された場合は事務局からの指摘事項に従って不備を解消し、実績報告の作成、実績報告の提出(再提出)を改めて行う必要があります。
この再提出に関しても別途で提出期限が設けられていますので、その期限までに再提出を行い、審査を通過する必要がありますので注意しましょう。
IT導入補助金2023後期 実績報告で提出が必要な書類
実績報告は、申請したITツールの契約・納品・支払いなどが全て完了した事の報告となりますので、事務局の指定する証拠書類を提出する必要があります。
IT導入補助金2023後期の実績報告で提出が必要な書類は以下の通りです。
- 請求書(請求明細書)
- 支払証憑
- ソフトウェア利用の証憑
- 補助金を受け取る口座の書類
- [ITツールがECサイトの場合①]制作したECサイトのキャプチャ
- [ITツールがECサイトの場合②]制作したECサイトのアクセス数が確認できる画面キャプチャ
- [セキュリティ対策推進枠の場合]契約書または利用申込書
- [ハードウェア導入の場合]納品書および導入後の写真
※デジタル化基盤導入枠の「商流一括インボイス対応類型」と「複数社連携IT導入類型」は特殊な類型のため本記事では割愛します。
実績報告に必要な書類①
請求書(請求明細書)
実績報告で提出が必要な書類の1つ目は、IT導入支援事業者(対象ITツールの販売業者)から、補助事業者(申請者)宛てに発行された請求書(請求明細書)です。
請求書(請求明細書)には以下の情報が記載されている必要があり、実績報告においては、書類の項目不足や記載不備などが無いようにする事がとても大切です。
請求書に記載が必要な項目 |
確認点・注意点 |
請求日 |
契約日以降、支払日以前であること |
請求元情報 |
IT導入支援事業者名(対象ITツールの販売業者)と完全一致していること |
請求先名 |
補助事業者名(申請者)と完全一致していること |
請求金額(合計) |
税抜、税込額が明確であること |
ITツール名 |
採択(交付決定)を受けた対象ITツールと同じことが読み取れること |
数量 |
複数のITツールを一式で表記しているものは認められません |
請求金額(単価) |
値引きを含む場合は値引き前後の単価が明確であること |
ITツールの利用期間 |
販売形態:サブスクリプションのITツールの場合 |
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
注意点として、請求書(請求明細書)に値引きが表示されている場合は、各ツール、製品ごとの単価と値引き額、値引き後の単価が記載されている必要があります。
合計金額に対して一括した値引き金額と、値引き後の合計金額しか記載のない、単価内訳が判別できない請求書(請求明細書)は認められません。
実績報告に必要な書類②
支払証憑
2つ目は、IT導入支援事業者(対象ITツールの販売業者)へ支払い済みである事の証拠書類です。
IT導入補助金2023は、「口座→口座への振込」か「クレジットカード払い(1回払いのみ)」のどちらかしか認められていません。
それぞれ実績報告で提出必要な書類は以下の通りとなります。
口座→口座への振込
以下の情報がわかる書類の提出が必要です。
支払証憑に記載が必要な項目 |
確認点・注意点 |
金融機関名 |
利用した金融機関名が読み取れること |
振込日 |
請求日以降、実績報告日以前であること |
振込元情報 |
振込元の口座情報(金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義人)が確認できること ※「振込依頼人」や「連絡先名」は口座名義ではありません |
振込先情報 |
IT導入支援事業者名(対象ITツールの販売業者)と一致していること |
振込金額 |
ITツールの請求金額以上の金額が支払われていること |
振込が完了していること |
振込の完了が確認できること |
口座→口座へ振込を行っていること |
補助事業者(申請者)名義の口座から振込が行われていること ※現金による振込は認められません |
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
前述の事務局指定情報を満たす書類としては、以下4点を準備・提出するのが最適です。
- IT導入支援事業者(対象ITツールの販売業者)へ支払った口座の通帳表紙
- 上記の通帳表紙をめくった1~2ページ
- 該当の振込が記帳されている通帳取引ページ
- 振込手続きした際の振込明細(以下のいずれか)
- ATMでの振込:ATMの利用明細控え
- 金融機関窓口振込:振込依頼書等の控え
- ネットバンキング振込:振込内容の詳細画面キャプチャ(スクリーンショット)
補足として、通帳発行の無いネット銀行などの場合は、通帳の代わりに該当情報が確認できる画面のキャプチャ(スクリーンショット)でも代用可能です。
また、情報を満たす他に以下のような注意点もあります。
- 補助事業者(申請者)本人の口座から、IT導入支援事業者(対象ITツールの販売業者)の口座へ振込が必要です。
例えば、申請は法人名義だが、振込は代表者個人名義の口座という支払いは認められません。 - 項目名などを含めて各書類全体が鮮明に見える必要がありますので、一部の切り取りや見切れた状態の書類を提出した場合は不備になる可能性が高くなります。
- 4つ目に記載した「振込手続きした際の振込明細書」について、ネットバンキング振込の場合は、振込画面が限られた期間または件数しか表示できない事が多いため、振込画面のキャプチャ(スクリーンショット)は振込後すぐに取得・保存しておく事をお勧めします。
クレジットカード払い
クレジットカード払いの場合は、クレジットカードの利用明細の提出となり、必要な情報は以下の通りです。
支払証憑に記載が必要な項目 |
確認点・注意点 |
クレジットカードの名義人情報 |
補助事業者名(申請者)と一致すること |
利用日 |
請求日以降であること |
利用金額・請求金額 |
ITツールの請求金額以上の金額が支払われていること |
引き落とし口座情報 |
個人事業主:事業主名義の口座であること 法人:法人名義の口座であること |
利用内容 |
導入したITツールの内容、IT導入支援事業者名(対象ITツールの販売業者)、1回払いであることが確認できること ※リボ払い、分割払いは認められません。 |
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
クレジットカードの利用明細についても、項目名含めて全体が鮮明に見える必要がありますので、一部切り取りや見切れた状態の書類を提出した場合は不備になる可能性が高くなります。
実績報告に必要な書類③
ソフトウェア利用の証憑
続いて必要となるのは、導入したITツールのソフトウェア管理画面のキャプチャ(スクリーンショット)です。
管理画面キャプチャ(スクリーンショット)上に必要な情報は以下の通りです。
画面キャプチャに記載が必要な項目 |
確認点・注意点 |
ソフトウェア名 |
ITツール名(ソフトウェア名)が読み取れること |
補助事業者名(申請者) |
利用者が補助事業者(申請者)であることが確認できること |
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
補助事業者名(申請者)が表示される画面のないソフトウェアの場合は、ソフトウェア画面キャプチャ(スクリーンショット)と、以下の情報が読み取れる契約書をセットで提出する事が認められています。
記載が必要な項目 |
確認点・注意点 |
ITツール名(ソフトウェア名) |
採択(交付決定)を受けた対象ITツールと同じことが読み取れること |
補助事業者名(申請者) |
補助事業者名(申請者)とIT導入支援事業者名(対象ITツールの販売業者)との契約である事が読み取れること |
IT導入支援事業者名(対象ITツールの販売業者) |
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
実績報告に必要な書類④
補助金を受け取る口座の書類
共通で提出必要な書類の最後は、補助金を受け取る口座の書類です。
記載が必要な情報は以下となりますが、基本的に以下2点の提出で問題ありません。
- 通帳の表紙
- 通帳表紙をめくった1~2ページ
口座情報に記載が必要な項目 |
確認点・注意点 |
金融機関名 |
補助事業者(申請者)名義の口座以外で補助金を受け取る事はできません。 また、法人における商号の変更や、個人事業主における姓の変更があった場合は、変更後の名義の口座である必要があります。 |
金融機関コード |
|
支店名 |
|
口座種別(普通・当座など) |
|
口座番号 |
|
口座名義 |
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
注意点として「補助事業者(申請者)名義の口座」とある通り、法人での申請の場合は法人名義の口座が必要となりますので、例えば法人の代表者個人名義の口座で補助金を受け取ることはできません。
実績報告に必要な書類⑤
[ITツールがECサイトの場合 -1]制作したECサイトのキャプチャ
IT導入補助金2023で対象ITツールがECサイトの場合は、制作したECサイトのキャプチャ(スクリーンショット)の提出が追加で必要です。
提出が必要な画面は決まっており、以下の各画面のURL表示(アドレスバー)が見えている状態のキャプチャ(スクリーンショット)を取得して提出する必要があります。
- 制作したECサイトの TOPページ
- 特定商取引法に基づく表記ページや会社案内ページなど
※補助事業者(申請者)の所有サイトとわかる画面 - 商品購入完了までの一連の各画面
※商品画面~商品をカートに入れたページ~電子決済~購入完了まで一連の流れ全画面 - ECツール(ショッピングカート)の管理画面
※この管理画面は前述「ソフトウェアの管理画面キャプチャ」と同じ画面のキャプチャになる事が多いです。
ECサイト追加書類の注意点は以下の通りです。
- 提出する全画面、URL表示(アドレスバー)も含めたキャプチャが必要です。
- 「③商品購入完了までの一連の画面」に記載した通り、制作したECサイト上の商品画面からはじまり、カートに商品を入れた状態~実際に電子決済を行ったうえで、購入完了まで一連の全ての画面キャプチャ(スクリーンショット)が必要です。
- 電子決済(クレジットカード決済等)を利用できるようにする必要があります。
電子決済が利用できない状態(銀行振込だけなど)だと制作が完了していないと判断されます。
実績報告に必要な書類⑥
[ITツールがECサイトの場合 -2]制作したECサイトのアクセス数が確認できる画面キャプチャ
対象ITツールがECサイトの場合はもう一つ、制作したECサイトのアクセス数が確認できる画面キャプチャ(スクリーンショット)の提出も必要となります。
この書類については、事務局から細かい情報の指定がされていない状況ですが、アクセス解析を実施しているツール(Google Analyticsなど)の画面のキャプチャでかまいません。
アクセス数に相当する数字(1週間程度の期間)と、補助事業者(申請者)のサイトである事がわかる情報(法人名やURLなど)が表示されていれば、特に不備や確認が入る事はなさそうです。
また、アクセス解析を実施していない場合は、書類提出の代わりに「アクセス解析を実施していない理由」を申告する事で、実績報告は進める事ができるようになっていますが、IT導入補助金やECサイトの趣旨を鑑みると、アクセス解析は実施したほうがよいでしょう。
実績報告に必要な書類⑦
[セキュリティ対策推進枠の場合]契約書または利用申込書
セキュリティ対策推進枠で採択された場合は、対象ITツールの契約書または利用申込書の提出が必要となり、記載が必要な情報は以下の通りです。
記載が必要な項目 |
確認点・注意点 |
契約日または申込日 |
採択日(交付決定日)以降であること |
契約者名 |
補助事業者名(申請者)とIT導入支援事業者名(対象ITツールの販売業者)との契約である事が読み取れることと、利用期間がわかること |
契約内容または申込内容 |
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
契約書または利用申込書は文字サイズが小さい部分もあるかもしれませんので、全体が鮮明に見えるものを準備するようにしましょう。
また、その他書類と同様に、一部の切り取りや見切れた状態、不鮮明などの書類を提出した場合は不備になる可能性が高くなります。
実績報告に必要な書類⑧
[ハードウェア導入の場合]納品書および導入後の写真
デジタル化基盤導入類枠で採択(交付決定)を受けた申請通りにハードウェアを導入した場合は、ハードウェアの納品書と写真の2点が追加で提出必要となります。
納品書に記載が必要な情報は以下の通りです。
納品書に記載が必要な項目 |
確認点・注意点 |
納品日 |
契約日以降であること |
納品元情報 |
IT導入支援事業者名(対象ITツールの販売業者)と一致すること |
納品先名 |
補助事業者名(申請者)と一致すること |
ITツール名(製品名) |
実績報告の内容と一致が読み取れること |
数量 |
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
続いて、ハードウェアの写真は、「設置した状態のハードウェアの写真」と「ラベルの貼付の確認ができる写真」の2種類の提出が必要です。
- 設置した状態のハードウェアの写真
導入した全てのハードウェアの写真提出が必要となりますので、複数台が対象となっている場合は1台ごと対象台数分の撮影が必要です。
また、PC・タブレット・POSレジは、ソフトウェアを起動した状態で撮影する必要があります。 - ラベル貼付の確認ができる写真
IT導入補助金で導入したハードウェアは、他の製品と区別できるようIT導入補助金の対象とわかるシール・ラベルを貼付するよう定められています。
そのハードウェアとラベルの写真を撮影して提出が必要です。
ハードウェアの写真と同様に、1台ごとの撮影が必要となり、設置した状態で文字が読み取れるサイズのラベルである必要があります。
ラベル貼付の写真は以下のようなイメージです。
参照:IT導入補助金2023後期事務局 事業実施・実績報告の手引き
まとめ
IT導入補助金2023後期の採択(交付決定)後の流れや実績報告の内容および実績報告で提出が必要となる書類について解説しました。
補助金は採択(交付決定)されれば受け取れるものではなく、採択後に対象ITツールの契約・導入・支払いなどを経て、各種必要書類や情報を提出する「実績報告」の手続きを行い、その内容の審査(確定検査)を通過してようやく、補助金を受け取れるという流れを理解いただけたかと思います。
実績報告で提出する必要書類やその内容は、申請した年度や申請枠などごとに発行されている「事業実施・実績報告の手引き」に定められた通りに用意する必要がありますが、難しいという声も多くあがりますので、事前把握やポイント把握に本記事を活用いただければ幸いです。
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