2023年5月31日に、IT導入補助金2023の【1次締切分 通常枠(A・B類型)】【1次締切分 セキュリティ対策推進枠】【1次締切分 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)】交付決定事業者が公開されました。
今年度最新の採択率はどのようになっているでしょうか。また過去と比較してどう変化しているでしょうか。
この記事では、IT導入補助金2023【1次締切分】の採択率と過去の採択率推移、注目したいポイントについてご紹介していきます。
目次
IT導入補助金2023【1次締切分】採択率
まずは最新の申請数と交付決定(採択)数、採択率の結果を見ていきましょう。
採択率は申請枠・類型ごとに異なり、特に申請数の多い通常枠とデジタル化基盤導入枠では、下記の通りとなっています。
|
通常枠 |
デジタル化基盤導入枠 |
|
A類型 |
B類型 |
デジタル化基盤導入類型 |
|
申請数 |
1,871 |
44 |
2,744 |
交付決定数 |
1,363 |
28 |
1,735 |
採択率(交付決定率) |
72.8% |
63.6% |
63.2% |
申請数はデジタル化基盤導入類型が最多ですが、採択率はA類型が最も高く、次いでB類型、デジタル化基盤導入類型という順になりました。
それではこの数値が、過去や他の補助金と比較するとどう変化しているのか、見ていきたいと思います。
IT導入補助金2022の採択率
つづいて、2022年度の申請数と交付決定数、採択率の結果を、申請枠別・申請タイミング(締切)別に見ていきましょう。
通常枠(A・B類型)
通常枠A類型の採択率は43.8%~70.0%、B類型の採択率は41.3%~64.3%でした。A・B類型ともに後半のほうが前半に比べ、採択率が高くなっています。
これらとIT導入補助金2023【1次締切分】のA類型:72.8%、B類型:63.6%と比較すると、IT導入補助金2023【1次締切分】では特にA類型の採択率が高くなっています。
採択率は申請タイミング(締切)によっても差があるため、一概に比較評価はできませんが、今後の採択率の推移に注目したいところです。
A類型 |
B類型 |
||
2022年度計 |
申請数 |
23,426 |
669 |
交付決定数 |
13,621 |
338 |
|
採択率 |
58.1% |
50.5% |
1次締切 交付決定日:2022年6月16日 |
申請数 | 2,907 | 80 |
交付決定数 | 1,615 | 33 | |
採択率 | 55.6% | 41.3% | |
2次締切 交付決定日:2022年7月14日 |
申請数 | 3,344 | 103 |
交付決定数 | 1,843 | 44 | |
採択率 | 55.1% | 42.7% | |
3次締切 交付決定日:2022年8月12日 |
申請数 | 2,877 | 104 |
交付決定数 | 1,415 | 43 | |
採択率 | 49.2% | 41.3% | |
4次締切 交付決定日:2022年9月8日 |
申請数 | 3,347 | 107 |
交付決定数 | 1,465 | 48 | |
採択率 | 43.8% | 44.9% | |
5次締切 交付決定日:2022年10月6日 |
申請数 | 1,957 | 43 |
交付決定数 | 1,196 | 26 | |
採択率 | 61.1% | 60.5% | |
6次締切 交付決定日:2022年11月4日 |
申請数 | 2,337 | 64 |
交付決定数 | 1,521 | 38 | |
採択率 | 65.1% | 59.4% | |
7次締切 交付決定日:2022年12月6日 |
申請数 | 1,909 | 45 |
交付決定数 | 1,336 | 28 | |
採択率 | 70.0% | 62.2% | |
8次締切 交付決定日:2023年1月18日 |
申請数 | 1,855 | 56 |
交付決定数 | 1,249 | 36 | |
採択率 | 67.3% | 64.3% | |
9次締切 交付決定日:2023年2月7日 |
申請数 | 2,893 | 67 |
交付決定数 | 1,981 | 42 | |
採択率 | 68.5% | 62.7% |
(一社)サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023 公式サイトより抜粋・算出
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
デジタル化基盤導入類型の採択率は77.4%~88.3%で、年度を通して通常枠(A・B類型)より採択率が高くなっていました。
これらとIT導入補助金2023【1次締切分】のデジタル化基盤導入類型:63.2%と比較すると、IT導入補助金2023【1次締切分】では大きく採択率が下がったという結果になっています。
また、通常枠(A・B類型)と採択率の高低が逆転しているという点も、IT導入補助金2022との違いです。
2022年度計 |
申請数 |
45,836 |
交付決定数 |
37,639 |
|
採択率 |
82.1% |
1次締切 交付決定日:2022年5月27日 |
申請数 | 650 |
交付決定数 | 566 | |
採択率 | 87.1% | |
2次締切 交付決定日:2022年6月16日 |
申請数 | 1,662 |
交付決定数 | 1,467 | |
採択率 | 88.3% | |
3次締切 交付決定日:2022年6月30日 |
申請数 | 1,823 |
交付決定数 | 1,562 | |
採択率 | 85.7% | |
4次締切 交付決定日:2022年7月14日 |
申請数 | 2,131 |
交付決定数 | 1,855 | |
採択率 | 87.0% | |
5次締切 交付決定日:2022年7月28日 |
申請数 | 1,712 |
交付決定数 | 1,422 | |
採択率 | 83.1% | |
6次締切 交付決定日:2022年8月12日 |
申請数 | 1,944 |
交付決定数 | 1,601 | |
採択率 | 82.4% | |
7次締切 交付決定日:2022年8月25日 |
申請数 | 2,149 |
交付決定数 | 1,759 | |
採択率 | 81.9% | |
8次締切 交付決定日:2022年9月8日 |
申請数 | 3,075 |
交付決定数 | 2,648 | |
採択率 | 86.1% | |
9次締切 交付決定日:2022年9月22日 |
申請数 | 1,390 |
交付決定数 | 1,092 | |
採択率 | 78.6% | |
10次締切 交付決定日:2022年10月6日 |
申請数 | 1,666 |
交付決定数 | 1,299 | |
採択率 | 78.0% | |
11次締切 交付決定日:2022年10月20日 |
申請数 | 2,051 |
交付決定数 | 1,635 | |
採択率 | 79.7% | |
12次締切 交付決定日:2022年11月4日 |
申請数 | 1,832 |
交付決定数 | 1,503 | |
採択率 | 82.0% | |
13次締切 交付決定日:2022年11月22日 |
申請数 | 2,012 |
交付決定数 | 1,577 | |
採択率 | 78.4% | |
14次締切 交付決定日:2022年12月6日 |
申請数 | 2,239 |
交付決定数 | 1,812 | |
採択率 | 80.9% | |
15次締切 交付決定日:2022年12月20日 |
申請数 | 2,252 |
交付決定数 | 1,886 | |
採択率 | 83.7% | |
16次締切 交付決定日:2023年1月18日 |
申請数 | 2,618 |
交付決定数 | 2,146 | |
採択率 | 82.0% | |
17次締切 交付決定日:2023年2月7日 |
申請数 | 4,312 |
交付決定数 | 3,551 | |
採択率 | 82.4% | |
18次締切 交付決定日:2023年3月3日 |
申請数 | 3,281 |
交付決定数 | 2,810 | |
採択率 | 85.6% | |
19次締切 交付決定日:2023年3月23日 |
申請数 | 7,037 |
交付決定数 | 5,448 | |
採択率 | 77.4% |
(一社)サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023 公式サイトより抜粋・算出
IT導入補助金2021以前の採択率
参考として、2021年度以前の採択率をご紹介しますが、2021年度以前は枠・類型の区分が現在とは異なるため、IT導入補助金全体の採択率を記載します。
申請数 | 交付決定数 | 採択率 | ||
2019 | 25,669 | 7,386 | 28.7% | |
2020 | 未発表 | 27,840 | ー | |
2021 | 52,026 | 30,825 | 59.2% |
(一社)サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金 各年公式サイトより抜粋・算出
IT導入補助金以外の補助金採択率
更に参考として、中小企業・小規模事業者向けの補助金として比較されることも多い、小規模事業持続化補助金と事業再構築補助金の採択率をご紹介します。(ともに中小企業庁公式サイト発表より算出)
- 小規模事業者持続化補助金:44.2%~65.1%(90%を超えた初回を除く、第2~11回締切分)
- 事業再構築補助金:36.0%~51.3%(第1~8回)
IT導入補助金2022と2023の【審査ポイント】の違い
ここまでIT導入補助金の枠・類型ごとの採択率やその推移、その他の補助金の採択率についてご紹介してきましたが、IT導入補助金の採択率を調べていらっしゃる方にとっての最大の関心事は、採択率を左右する要因や、採択率を上げるための注意点ではないでしょうか。
前述の通り、IT導入補助金2023【1次締切分】の採択率は、前年度と傾向が異なりました。
現時点では1次締切分の結果しか公表されていないこともあり、原因を推定することは難しいですが、各年度での審査ポイントの違いを把握することは、採択率を少しでも上げるために重要です。
下記に要件面、加点項目面、減点項目面の違いの一部を紹介しますが、これらがより詳細に記載されている「公募要領」は随時更新されていますので、申請時点で必ずご確認ください。
要件
IT導入補助金2023の要件に追加されたものとして、「みらデジ経営チェックの事前実施」が挙げられます。
- 中小企業庁が実施するデジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」における「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行った事業者であること。(なお、本事業の申請に用いた gBizID プライムを利用して事業者登録を行ったうえで、経営チェックを実施すること。)
引用:IT導入補助金2023 公募要領
こちらが正しく実行されているかどうかの確認方法は、公募要領にも記載がありますので、申請前に必ず確認しておきましょう。
加点項目
IT導入補助金2023の1次締切時点で追加されていた項目で、幅広い企業の方々に関連するものとしては、下記に関する加点が挙げられます。
- 令和 4 年度に「健康経営優良法人2023」に認定された事業者であること
- 「地域 DX 促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムから支援を受けた事業者であること
また、2次締切分からは「えるぼし認定」「くるみん認定」に関する加点が追加されています。
- 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定(えるぼし1段階目~3段階目又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている者又は従業員数 100 人以下であって、「女性の活躍推進データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している者
- 次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん、トライくるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた者又は従業員数 100 人以下であって、「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している者
引用:IT導入補助金2023 公募要領
こちらは従業員数が101人以上の場合、IT導入補助金の申請に関わらず、「一般事業主行動計画」を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出ることが義務付けられていますので、申請時は注意が必要です。
減点項目
IT導入補助金2023の減点項目は、2022同様、過去のIT導入補助金の交付の有無や、同時に交付申請中のIT導入補助金の有無に関するものですが、年度によって細かな違いがありますので、詳細は公募要領をご確認ください。
IT導入補助金の採択率を少しでも上げるには
採択率を上げるためには、
- 申請要件を確実に満たすこと
- 不備のない書類提出
- ミスのない情報入力
を徹底した上で、
- IT導入補助金の事業目的を理解し、それに合った事業を申請すること
- 自社の現状をふまえた事業内容や目標を、分かりやすく記載すること
- 加点項目や減点項目などの審査項目をふまえて申請すること
- 計画数値などは、根拠と客観性のあるものにすること
が大切です。
その基準となるのは、まずは「公募要領」であり、その他の公式サイト上の資料です。
IT導入補助金を申請される事業者の方や、それをサポートされるIT導入支援事業者の方は、必ず申請タイミング(締切)ごとに、上記資料を確認するようにしましょう。
まとめ
この記事では、IT導入補助金2023【1次締切分】の採択率と過去の採択率推移を振り返り、注目点についてご紹介しました。
採否のポイントとなる項目や採択率は、年度や申請タイミング(締切)、申請枠・類型によっても異なるため、それぞれの違いを資料や実績から把握して申請に活かすことが、採択率を上げることにつながります。
ただし、それらを全て申請者やIT導入支援事業者だけで行うのは難しい、という場合もあると思います。
そのような場合は、ITツールの選定・効果的な申請書類の作成・実際の申請手続きまでの全てのフローにおいて、IT導入補助金に関する知識と経験が豊富な専門業者からサポートを受けるのも1つの方法です。
当サイトを運営するG1行政書士法人では、IT導入補助金の申請を考えている事業者様とITベンダーであるIT導入支援事業者様を繋ぎ、申請書作成・実際の手続きをお手伝いしています。(令和4年度実績:申請1,509件、採択1,378件、採択率:90.9%)
IT導入補助金は2023年度が初めてという方も、これまでの経験から外部専門家のサポートを受けることを検討したいという方も、是非お気軽に、こちらからご相談ください。