IT導入補助金2024は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を目的として、ITツール(ソフトウェアやサービスなど)の導入を支援する制度で、申請には審査が入ります。
この記事では、本日11月22日に発表された最終募集回までのIT導入補助金2024採択結果と採択率を上げるためのポイントを解説していきます。
IT導入支援事業者としてIT導入補助金2024に取り組んでいる方やIT導入支援事業者への登録を検討している方、IT導入補助金2024の申請を検討されている方はぜひご覧ください。
IT導入補助金2024の採択率
IT導入補助金は申請枠によって申請数や採択結果の傾向が異なっており、IT導入補助金2024の採択率は以下の着地となりました。
各申請枠で最終募集回のみ、軒並み低い採択率となりましたので、参考に最終募集回の結果が出る前までの採択率も掲載します。
申請枠 |
申請数合計 |
採択率 |
(参考) |
通常枠 |
25,140 |
65.8% |
77.1% |
インボイス枠(インボイス対応類型) |
46,394 |
72.1% |
92.8% |
インボイス枠(電子取引類型) |
1 |
100% |
100% |
セキュリティ対策推進枠 |
225 |
85.3% |
92.6% |
複数社連携IT導入枠 |
7 |
57.1% |
60.0% |
合計 |
71,767 |
69.9% |
87.2% |
通常枠は、IT導入補助金の開始当初からある最も対象が広いスタンダードな申請枠となっており、ここ数年の通常枠の採択率は以下の状況でした。IT導入補助金2024では、最終募集回前までは前年と同程度の採択率で推移していましたが、着地は65.8%と前年を下回る採択率になりました。
・IT導入補助金2021:59.2%
・IT導入補助金2022:57.9%
・IT導入補助金2023:75.3%
・IT導入補助金2024:65.8%
インボイス枠(インボイス対応類型)とセキュリティ対策推進枠は、旬な課題に対する申請枠となっており範囲や目的がある程度限定されていることからも90%を超える高い採択率で推移していましたが、最終募集回が非常に低い採択率となり、着地としてはインボイス枠(インボイス対応類型):72.1%、セキュリティ対策推進枠:85.3%という採択率になりました。
インボイス枠(電子取引類型)と複数社連携IT導入枠は、対象がかなり限定された申請枠となっているため、申請数自体がかなり少ない状況です。
続いて、申請枠ごとの各募集回の採択結果は以下の通りとなっています。
通常枠
募集回 |
申請数 |
採択数 |
採択率 |
1次締切分 |
1,576 |
1,189 |
75.4% |
2次締切分 |
2,335 |
1,760 |
75.4% |
3次締切分 |
2,912 |
2,206 |
75.8% |
4次締切分 |
3,286 |
2,521 |
76.7% |
5次締切分 |
3,577 |
2,762 |
77.2% |
6次締切分 |
5,881 |
4,648 |
79.0% |
7次締切分(最終募集回) |
5,573 |
1,454 |
26.1% |
合計 |
25,140 |
16,540 |
65.8% |
インボイス枠(インボイス対応類型)
募集回 |
申請数 |
採択数 |
採択率 |
1次締切分 |
1,607 |
1,531 |
95.3% |
2次締切分 |
1,548 |
1,457 |
94.1% |
3次締切分 |
2,061 |
1,944 |
94.3% |
4次締切分 |
2,061 |
1,957 |
95.0% |
5次締切分 |
2,830 |
2,666 |
94.2% |
6次締切分 |
2,196 |
2,076 |
94.5% |
7次締切分 |
3,151 |
2,924 |
92.8% |
8次締切分 |
2,408 |
2,269 |
94.2% |
9次締切分 |
2,978 |
2,766 |
92.9% |
10次締切分 |
3,797 |
3,567 |
93.9% |
11次締切分 |
10,043 |
9,036 |
90.0% |
12次締切分(最終募集回) |
11,714 |
1,245 |
10.6% |
合計 |
46,394 |
33,438 |
72.1% |
インボイス枠(電子取引類型)
募集回 |
申請数 |
採択数 |
採択率 |
1次締切分 |
0 |
0 |
0.0% |
2次締切分 |
1 |
1 |
100.0% |
3次締切分 |
0 |
0 |
0.0% |
4次締切分 |
0 |
0 |
0.0% |
5次締切分 |
0 |
0 |
0.0% |
6次締切分 |
0 |
0 |
0.0% |
7次締切分(最終募集回) |
0 |
0 |
0.0% |
合計 |
1 |
1 |
100.0% |
セキュリティ対策推進枠
募集回 |
申請数 |
採択数 |
採択率 |
1次締切分 |
18 |
14 |
77.8% |
2次締切分 |
24 |
23 |
95.8% |
3次締切分 |
33 |
30 |
90.9% |
4次締切分 |
20 |
20 |
100.0% |
5次締切分 |
35 |
32 |
91.4% |
6次締切分 |
46 |
44 |
95.7% |
7次締切分(最終募集回) |
49 |
29 |
59.2% |
合計 |
225 |
192 |
85.3% |
複数社連携IT導入枠
募集回 |
申請数 |
採択数 |
採択率 |
1次締切分 |
2 |
1 |
50.0% |
2次締切分 |
0 |
0 |
0.0% |
3次締切分 |
3 |
2 |
66.7% |
4次締切分(最終募集回) |
2 |
1 |
50.0% |
合計 |
7 |
4 |
57.1% |
参照: IT導入補助金2024公式サイト
採択率を上げるためには?
採択率を上げるためには、まずは事業計画をしっかり立てることが大切です。
必要となるのは自社の強みや課題などを分析し、導入するITツールをどのように活用して、どのような目標を実現していくかなどの具体的な計画です。
また、IT導入補助金2024の申請では入力欄に文字数制限があるため、短い文章で自社の強みや現状、そしてどうやってITツール導入で業務効率化や成果を向上させるかを簡潔にまとめる必要があります。
我々G1行政書士法人のようなIT導入補助金申請のサポートを行っている専門家を有効活用すると、より採択につながる申請内容を作成することができるため、専門家の活用も採択率を上げるための有効な施策のひとつとなっています。
ベンダー様(IT導入支援事業者)向け登録・申請サポート加点項目への取り組み
IT導入補助金2024では審査上加点される項目が公表されています。
申請枠によって対象となる項目が違いますので、対象となっている項目に積極的に取り組むことで採択される可能性が上がっていきます。
加点項目 |
通常枠 |
インボイス枠(インボイス対応類型) |
インボイス枠(電子取引類型) |
セキュリティ対策推進枠 |
地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認取得 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
地域未来牽引企業に選定 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
賃上げの事業計画3年策定、従業員への表明、実行 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
健康経営優良法人2024の認定 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
「地域DX促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムから支援を受けた事業者 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
介護職員等特定処遇改善加算を取得 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
くるみん・えるぼし認定を取得 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
「みらデジ経営チェック」の実施 |
※ |
〇 |
〇 |
〇 |
クラウドを利用したITツール |
〇 |
– |
– |
– |
インボイス対応のITツール |
〇 |
※ |
※ |
– |
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」に選定されたITツール |
〇 |
〇 |
– |
※ |
SECURITY ACTIONで「★★ 二つ星」の宣言 |
– |
– |
– |
〇 |
「事業継続力強化計画」または「連携事業継続力強化計画」の認定を取得 |
– |
– |
– |
〇 |
※は加点項目ではなく必須要件
複数社連携IT導入枠 加点項目 |
複数社・地域の生産性の向上のためにより新規性のある取組 |
本事業を通じて得られた知見やノウハウ、データマーケティングの手法などを地域で普及啓発し、地域の生産性の向上に繋げる取組 |
本事業を通じて得られたデータを可能な範囲でオープン化し、地域の課題解決に繋げていく取組 |
地域の自治体、金融機関、公共機関、ITベンダー、観光団体、医療、介護、福祉、教育、防災、防犯関係者などと連携し、地域課題の解決を目指す取組 |
本事業を実施する以前に、デジタル化の取組を実施しており、既存の取組と合わせて本事業を行うことで、事業の加速化を図る取組 |
注意点として、申請時に賃金引上げ(賃上げの事業計画3年策定、従業員への表明、実行)の加点を受けたうえで採択されたにも関わらず、申請した加点要件を達成できなかった場合、効果報告でその未達成が報告されてから18か月の間、中小企業庁が所管する補助金への申請において大幅に減点される(※)というペナルティがありますので、賃金引上げに取り組むかはしっかりとした検討が必要となります。
※災害等の正当な理由でやむを得ず達成できなかったと中小企業庁が認めた場合を除く
※2024年7月現在、中小企業庁が所管する補助金の例は以下
- IT導入補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業承継・引継ぎ補助金
- 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)
- 事業再構築補助金
- 中小企業省力化投資補助事業
加点項目の詳細についてはこちらの記事もご覧ください。
IT導入補助金2024【加点項目】とは?賃引げ時の注意点等も解説まとめ
今回はIT導入補助金2024の採択結果と採択率を上げるためのポイントを解説しました。
IT導入補助金は必ず採択されるというわけではなく、採択されるためにはしっかりと準備した申請内容が必要です。
当サイトを運営するG1行政書士法人は、専門家としての知見とIT導入補助金の開始当初から蓄積している実績やノウハウを活かして、申請書作成から実際の申請業務まで包括的なサポートを提供しており、累計採択数4,451件、2023年採択率は91.6%となっています。
IT導入補助金の採択事例もご紹介していますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。
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