2024年4月1日から、IT導入補助金2023(前期事務局)の「事業実施効果報告」の対象期間に入りました。
どんなことを、いつ報告すれば良いのか、気になっている方も多いことと思います。
IT導入補助金の「事業実施効果報告」は、類型を問わず、補助事業者に義務付けられているもので、手続き自体はそれほど難しいものではありませんが、決められた期間内に行わないと、申請枠・類型の要件によっては「補助金の全額返還」となることもあります。
また、事業実施効果報告は基本、交付申請の年度ごとに、内容やルールを定めた手引きが発行されていますので、正しい手引きを参照し、手続きを行う必要があります。
この記事では「IT導入補助金2023(前期事務局)」の事業実施効果報告概要をご説明いたします。
目次
IT導入補助金の事業実施効果報告とは
事業実施効果報告(以下、「効果報告」といいます)とは、簡単に言うと、補助金を導入して効果が得られたかを国に報告する手続きです。
具体的には、申請枠・類型ごとに定められた「労働生産性向上に係る数値目標」等の達成状況を報告しますが、この大枠の考え方自体は、どの年度においても共通です。
手続きの流れとしては、定められた期間内に
- 補助事業者が『申請マイページ』より必要な情報を入力
- IT導入支援事業者が『IT事業者ポータル』から確認
- 補助事業者が『申請マイページ』より提出
を行うようになっています。
効果報告は申請の時と同様、IT導入支援事業者との連携が必要です。
各申請類型の効果報告の期日
IT導入補助金2023(前期事務局)は、通常枠(A・B類型)、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の3つの申請枠に分かれており、それぞれ効果報告の時期が異なります。
通常枠(A・B類型)の効果報告期日
1年度目、2年度目、3年度目の3回、報告が必要
対象類型 |
年度 |
効果報告対象期間 |
効果報告期間 |
A・B類型 |
1年度目 |
2024年4月1日~2025年3月31日 |
2025年4月1日~2025年7月31日 |
2年度目 |
2025年4月1日~2026年3月31日 |
2026年4月1日~2026年7月31日 |
|
3年度目 |
2026年4月1日~2027年3月31日 |
2027年4月1日~2027年7月31日 |
セキュリティ対策推進枠の効果報告期日
3年度目に1回のみ、報告が必要
対象 |
年度 |
効果報告対象期間 |
効果報告期間 |
セキュリティ対策推進枠 |
3年度目 |
2026年4月1日~2027年3月31日 |
2027年4月1日~2027年7月31日 |
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の効果報告期日
継続活用・インボイス対応:1年度目に1回のみ、報告が必要
対象 |
年度 |
効果報告対象期間 |
効果報告期間 |
デジタル化基盤導入類型 |
1年度目 |
ITツール導入後~ |
2024年4月1日~2024年4月30日 |
賃上げ実施状況:賃上げによる加点を受けている場合、3年度目に1回のみ、報告が必要
対象 |
年度 |
効果報告対象期間 |
効果報告期間 |
デジタル化基盤導入類型 |
3年度目 |
2026年4月1日~2027年3月31日 |
2027年4月1日~2027年7月31日 |
参照:IT導入補助金前期事務局公式サイト
2022年以前の報告対象期間や報告期間については、下記をご参照ください。
IT導入補助金の効果報告とは?しないとどうなるか、報告期限や流れを解説!各申請類型の効果報告の内容
効果報告の内容は各申請枠で異なる部分がありますので、それぞれの内容をご紹介します。
通常枠(A・B類型)の効果報告の内容
効果報告対象期間の「売上」「原価」「従業員数」「年間の平均労働時間」の実績値を入力し、入力した労働生産性の実績値が交付申請時の計画値に満たなかった場合、計画数値未達の要因が表示されますので、当てはまる要因を選択・入力します。
併せて、「計画数値未達改善方法」には、計画数値を達成するために必要だと思われる対策や改善方法について入力してください。
「給与支給総額」や「主たる事業所における従業員の事業所内最低賃金」の入力も行います。
この時、賃上げ目標が必須要件の申請で目標値を達成していない場合、賃金台帳の添付や補助金返還が必要になるケースがあるため、表示される画面に従い入力を進めてください。
【確認依頼】をクリックしてIT導入支援事業者に引き継ぎ、IT導入支援事業者の確認後は【事務局へ提出】をクリックすることで効果報告の提出が完了となります。
セキュリティ対策推進枠の効果報告の内容
効果報告対象期間の「売上」「原価」「従業員数」「年間の平均労働時間」の実績値を入力し、入力した労働生産性の実績値が交付申請時の計画値に満たなかった場合、計画数値未達の要因が表示されますので、当てはまる要因を選択・入力します。
併せて、「計画数値未達改善方法」には、計画数値を達成するために必要だと思われる対策、改善方法について入力してください。
「給与支給総額」や「主たる事業所における従業員の事業所内最低賃金」の入力も行い、セキュリティ対策状況について当てはまるものを選択、導入したITツールを継続利用しているかを選択します。
【確認依頼】をクリックしてIT導入支援事業者に引き継ぎ、IT導入支援事業者の確認後は【事務局へ提出】をクリックすることで効果報告の提出が完了となります。
デジタル化基盤導入枠(継続活用・インボイス対応)の効果報告の内容
IT導入補助金で導入したITツールを継続活用しているかチェック欄にチェックを入れます。
この時すでにITツールを解約済みの場合、辞退届の提出が必要になりますので、申請マイページの「辞退届」から辞退届を提出してください。
証憑添付欄には、導入したITツールを継続して使用していることが確認できる画面ソフトウェアの管理画面キャプチャ(スクリーンショット)を添付します。
管理画面キャプチャでは下記3点の注意点があります。
- ソフトウェア名が載っていること
- 補助事業者名が載っていること
- 2024年4月以降の日付が載っていること
参照:IT導入補助金前期事務局公式サイト
「継続利用宣誓」の内容を確認してすべてにチェックを入れ、「インボイス制度対応状況」は当てはまるものを選択し、【確認依頼】をクリックしてIT導入支援事業者に引き継ぎます。
IT導入支援事業者の確認後は【事務局へ提出する】をクリックすることで効果報告の提出が完了となります。
デジタル化基盤導入枠(賃上げ実施状況)の効果報告の内容
「給与支給総額」と「主たる事業所における従業員の事業所内最低賃金」の入力を行い、【確認依頼】をクリックしてIT導入支援事業者に引き継ぎます。
IT導入支援事業者の確認後は【事務局へ提出】をクリックすることで効果報告の提出が完了となります。
まとめ
いかがでしょうか。
文章にすると難しそうに感じる効果報告ですが、実際に申請マイページを確認すると手続き自体は難しいものではありません。
また、導入したITツールで仮に売上が上がらなかったとしても、今後どのように対策していくかを考えられる良い機会にもなります。
G1行政書士法人では、IT導入補助金のIT導入支援事業者・ITツール登録から、交付申請、採択後の実績・効果報告まで、多数の実績(採択件数4,451件、2023年採択率91.6%)に基づきサポートを行っています。各種申請前の注意点・手続き説明から、交付申請時の申請内容の作成サポートまで、きめ細やかな対応を心がけています。