はじめに
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上のために業務効率化やデジタル化に特化したITツールを導入することを支援するための補助金制度です。
申請枠・類型ごとに異なる事業目的が設定されていますので、今回はその中でIT導入補助金開始当初より設置されている「通常枠」について紹介していきます。
通常枠とは
IT導入補助金2024では、「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」など複数の申請枠が用意されています。
その中で、「通常枠」は自社の課題やニーズに合った、業務効率化・売上アップをサポートするITツールの導入費用が対象となる申請枠で、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ることを目的としています。
補助率・補助額・賃上げ目標
通常枠は、導入するITツールが効率化できる業務上のプロセスをいくつ保有するかによって、補助額が2段階に分かれています。
また、賃金引上げに関する目標設定も、審査上の加点になるのか、必須要件になるのかが分かれます。
補助率 |
保有プロセス数 |
補助額 |
賃上げ目標 |
対象経費の1/2以内 |
1プロセス以上
|
5万円~ 150万円未満 |
加点項目 |
4プロセス以上 |
150万円~ 450万円以下 |
必須要件 |
対象のITツールとプロセス要件
通常枠で対象となるITツールは大分類Ⅰ「ソフトウェア」、大分類Ⅱ「オプション」、大分類Ⅲ「役務」の3種類に分類され、さらに各大分類内は下表の通りカテゴライズされます。
大分類Ⅰ「ソフトウェア」の申請要件を満たしている場合、大分類Ⅱ「オプション」と大分類Ⅲ「役務」の費用も対象となります。
大分類Ⅰ ソフトウェア |
カテゴリー1 |
ソフトウェア |
大分類Ⅱ オプション |
カテゴリー2 |
機能拡張 |
カテゴリー3 |
データ連携ツール |
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カテゴリー4 |
セキュリティ |
|
大分類Ⅲ 役務 |
カテゴリー5 |
導入コンサルティング |
カテゴリー6 |
導入設定・マニュアル作成・導入研修 |
|
カテゴリー7 |
保守サポート |
「大分類Ⅰ ソフトウェア」は下図の業務プロセス内の「共 P-01~各業種 P-06」のプロセスを1つ以上含んでいる必要があります。
種別 |
Pコード |
プロセス名 |
|
業務プロセス |
共通プロセス |
共P-01 |
顧客対応・販売支援 |
共P-02 |
決済・債権債務・資金回収 |
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共P-03 |
供給・在庫・物流 |
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共P-04 |
会計・財務・経営 |
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共P-05 |
総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス |
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業種特化型プロセス |
各業種P-06 |
業種固有プロセス |
|
汎用プロセス |
汎P-07 |
汎用・自動化・分析ツール (業種・業務が限定されないが生産性向上への寄与が認められる業務プロセスに付随しない専用のソフトウェア) |
「業務プロセス」とはソフトウェアを導入することにより、特定の業務の労働生産性が向上する、または効率化される工程のことを指します。
「汎用プロセス」は業種や業務に限定されず、業務プロセスと併せて導入することで更なる生産性の向上が可能になる工程のことを指し、業務プロセスを保有するツールと組み合わせて申請する必要があるため、「汎用プロセス」のITツールのみで申請することはできません。
上記の「プロセス」についてはIT導入補助金2024公募要領に詳しく記載があるため、申請しようとしているツールがどれに当てはまるのかは必ず確認しておく必要があります。
通常枠での採択事例
G1行政書士法人では、通常枠における申請サポートの依頼をいただいており、今まで多くの採択実績がありますので、その一部を紹介します。
採択事例①
- 業種:保育・教育
- 従業員数:20人
- 事業年数:30年
- 直近の収益状況:営業黒字
- 導入したITツール:保育業務支援システム
幼保連携型の保育施設を経営している事業者様でしたが、保育料の請求書・口座振替手続きをアナログ管理しているため、情報管理・共有及び請求手続きにおいて業務効率が悪いといったお悩みを抱えていました。
そのためIT導入補助金の対象となる保育業務支援システムを導入し、請求管理の自動連携を可能にすることで請求手続き・料金回収に関わる工数を大幅に削減し、生産性向上に向けて大きな一歩を踏み出しました。
採択事例②
- 業種:建設業・土木工事
- 従業員数:70人
- 事業年数:60年
- 直近の収益状況:営業赤字
- 導入したITツール:測量効率化システム
こちらの事業者様は、創業してから長年培ってきた技術や優秀な人材により、取引先の満足度も高く実績を積み上げてきていましたが、業務においてはデータの取得から取引先への共有までに多くの時間と人材を必要とすることが課題になっていました。
そこで、測量データの解析・処理・加工がスピーディーで分かりやすい測量システムを導入することで、業務効率化と生産性向上を目指しました。
まとめ
この記事では、IT導入補助金2024の通常枠についての概要をご紹介しました。
ITツールの登録や補助金申請に関しては、様々な要件や注意点があり、この記事だけではご紹介しきれないことがたくさんあります。
これからITツールの登録をお考えのITベンダー・サービス事業者の方や、補助金申請を希望の事業者様は、ぜひG1行政書士法人にご相談ください。
G1行政書士法人では、IT導入補助金のIT導入支援事業者・ITツール登録から、交付申請、採択後の実績・効果報告まで、多数の実績(採択件数4,451件、2023年度採択率91.6%)に基づきサポートを行っています。
各種申請前の注意点・手続き説明から、交付申請時の申請内容の作成サポートまで、きめ細やかな対応を心がけていますので、お気軽にご相談ください。