「IT導入補助金を申請したいけれど、入金のタイミングはいつ?」
「採択を受けた後、補助金を請求するにはどんな手順を踏めば良い?」
など、IT導入補助金の「交付(入金)」に関して疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
また、「補助金の請求に必要な諸々の手順を、どのタイミングで行えば良いか分からない」という方も中にはいらっしゃるかと思います。
この記事では、IT導入補助金の交付(入金)までの手順と、入金のタイミングをご紹介していきます。
目次
IT導入補助金交付(入金)までの8つの手順
IT導入補助金とは、
- 業務効率化や売上アップ
- セキュリティ対策
- インボイス対応などを見据えた企業間取引のデジタル化
など、中小企業・小規模事業者等が自社のニーズに合ったITツール導入のための経費を、一部補助してもらえる制度です。
活用する事で中小企業・小規模事業者等のみなさまには多大なメリットが生まれる補助金ですが、交付申請から受取までには、大きく分けて8つのステップを踏む必要がありますので、順を追って確認していきましょう。
①交付申請前にIT導入補助金の概要を確認
まずはIT導入補助金について理解を深め、申請類型を決定する必要があります。
どのような種類があり、対象となるツールはどういったものなのか、自社の導入したいツールが補助対象になるのか等、申請枠ごとの公募要領を熟読し、把握することが大切です。
以下に、主な申請枠・類型の概要を記載します。
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通常枠 |
セキュリティ対策推進枠 |
デジタル化基盤導入枠 |
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A類型 |
B類型 |
デジタル化基盤導入類型 |
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補助対象経費区分 |
ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 |
サービス利用料(最大2年分) |
ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 (対象ソフト:会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト) |
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補助率 |
1/2以内 |
1/2以内 |
3/4以内 |
2/3以内 |
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上限額・下限額 |
5万円~150万円未満 |
150万円~450万円以下 |
5万円~100万円 |
(下限なし)~50万円以下 |
50万円超~350万円 |
参考: IT導入補助金2023 公式サイトより抜粋・編集
②IT導入支援事業者を検討
IT導入補助金では、申請者とIT導入支援事業者(ITツールベンダー・サービス事業者)が協力して手続きを進めていくため、交付申請前にIT導入支援事業者を選定し、申請対象とするITツールや申請内容に関して、相互確認を行う必要があります。
IT導入支援事業者を選定する際は、IT導入補助金2023の公式サイトにある「IT導入支援事業者・ITツール検索」を活用してみてください。その際、自社で導入したいITツールを取り扱っているIT導入支援事業者を選ぶことが重要です。
なお、ECサイト制作や予約システム、会計ソフトなどをご希望の場合、G1-infoを運営するG1行政書士法人が外部支援者としてサポートしているIT導入支援事業者様もいらっしゃいますので、お気軽にお問い合わせください。
注意点として、この段階ではまだIT導入支援事業者からITツールを導入してはいけません。交付決定前にITツールを購入してしまうと補助金は交付されないので、十分にお気をつけください。
③交付申請前の事前準備
導入するITツールと、それを取り扱うIT導入支援事業者が決定したら、交付申請時に必要な情報や書類等を取得していきます。
「gBizIDプライムアカウント」の取得
GビズID(gBizID)とは、ひとつのIDとパスワードで、複数の行政サービスを利用できる認証システムの事で、IT導入補助金の交付申請にはこのGビズIDが必須です。
なかでも、IT導入補助金の申請が可能な「GビズIDプライムアカウント」は、申請から取得までに1~2週間ほど時間を要するため、自身が申請する募集回(申請締切日)のスケジュールを確認したうえで、早めに取得申請を行う必要があります。
「みらデジ」の登録と「経営チェック」の実施
2023年より新たに追加となったフローです。
「みらデジ」とは、中小企業・小規模事業者等の経営課題をデジタル化により解決することをサポートするポータルサイト(中小企業庁が実施)です。
オンライン上でのアンケートに回答することで、同業他社と比較した自社の経営課題やデジタル化の進捗状況等を確認することができます。
IT導入補助金の申請時には、申請者が、マイページ開設時に用いたgBizIDプライムを利用(連携)して「みらデジ経営チェック」利用者登録を行ったうえで、経営チェックを実施しなければなりません。
「SECURITY ACTION」を自己宣言
「SECURITY ACTION」を自己宣言し、自己宣言IDを取得することも必要です。
SECURITY ACTIONとは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、中小企業自らが情報セキュリティ対策へ取り組むことを宣言する制度です。その宣言を行うことで取得できるのが、「SECURITY ACTION 自己宣言ID」です。
手続きは「SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言」公式サイトより、オンラインで行います。
宣言内容によって「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかを選択し、IDを取得することができますが、IT導入補助金の申請にあたっては、どちらを選択しても構いません。
スケジュールを確認し必要書類を取得
IT導入補助金の申請に必要な書類は、申請者が法人か個人事業主かによって異なります。それぞれの場合で必要な書類は以下の通りです。
法人の必要書類
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書(その1またはその2)
個人事業主の必要書類
- 運転免許証または運転経歴証明書または住民票
- 所得税の納税証明書(その1または2)
- 確定申告書
下記に詳細を記載していますので、こちらもぜひご覧ください。
【申請者必見!】IT導入補助金の必要書類とその注意点④申請マイページの開設と交付申請内容の入力
IT導入補助金の申請手続は、申請者ごとに作成される「申請マイページ」で行います。申請マイページとは、IT導入補助金の申請や実績報告、効果報告等の各種手続を行ったり、事務局からの連絡を受けたりするポータルサイトです。
なお、申請マイページは、IT導入支援事業者が申請者を招待しなければ開設することができません。また、申請者は招待メールを受信したら72時間以内に申請マイページを開設する必要があります(72時間以内に開設できなかった場合は、再度IT導入支援事業者から招待を受けることができます)。
申請マイページ開設後、申請者は自社の基本情報や財務情報、経営状況等について入力し、必要書類の添付を行います。
その後IT導入支援事業者が、申請者の入力内容を確認したうえで、今回申請対象となるITツールの情報や、導入後の労働生産性に関する計画数値等の入力を行います(申請枠・類型ごとに、若干手続きが異なります)。そしてその後、再度申請者が申請要件等を確認し、これまでに入力を行ったすべての情報を最終確認したうえで、申請(事務局へ提出)します。
⑤採択・交付決定
申請マイページから交付申請後、募集回ごとに定められた「交付決定日」に「採否結果通知メール」が届きます。
ここで採択されると「交付決定通知書」がマイページからダウンロードできるようになります。
ここでの注意点は、「必ず交付決定通知書が届いてからITツールを導入する」ということです。
前述した通り交付決定前のツールの導入についてはIT導入補助金の交付がされないため、ご留意ください。
また、残念ながら不採択となった場合も次の回以降に交付申請を行うことができます。
書類や入力内容の不備で不採択に繋がる可能性も十分にあり得ますので、そういった点を踏まえて次の申請に向けて「今回何が足りなかったのか」「次回はどういった点に気を付けるか」等再考されると良いでしょう。
⑥事業実施・IT導入支援事業者からITツールの導入
無事交付決定通知書が届いたら、早速事業を実施(ITツール導入)していきましょう。
ここで気を付けなければならない点は「ITツールの導入は、必ず交付決定後に行い、事業実施期間内にITツールの導入と支払いを完了させる」ということです。
スケジュールをよく確認し、期間内に支払いまでを終わらせられるよう調整を行ってください。
なお、実績報告提出時において「契約、発注」よりも先に、「納品、導入」「支払い」若しくはIT導入支援事業者から補助事業者(申請者)への「請求」が行われていることが確認された場合や、「請求」よりも先に「支払い」が行われていることが確認された際は、補助金の交付が行えず、交付決定が取消しとなる場合があるので、それぞれの対応を行う日付にもご注意ください。
支払いにおいては、銀行振込及びクレジットカード払い(1回払いのみ)が対象です。分割払い等は認められませんのでお気をつけください。
⑦事業実績報告
ITツールの運用が開始されたら、実績報告を行う必要があります。
事業実績報告とは、文字通り事業を実施した実績を事務局へ報告することで、ITツール導入において、IT導入支援事業者とどのようなやり取りを経て、いくら支払いを行っているか等がその具体的な内容になります。
納品書、領収証、銀行の振り込み明細書など必要な書類が多々ありますので、詳しくはこちらをご覧ください。
IT導入補助金2023後期【実績報告】採択後補助金を受け取るための手続き⑧補助金交付(入金)
事業実績報告にて提出した証憑を元に、事務局が「確定検査」を行います。確定検査では、主に不正な金額での請求などが行われていないかが検査されます。
確定検査を通過すると、事務局より補助金額確定の承認の通知が届きます。申請者が申請マイページから補助金額を確認し、承認することで、補助金が入金されます。
ここでの注意点は「申請者が確定検査の承認を行う」という点です。承認を行わなかった場合、補助金の交付が受けられません。
せっかく採択されITツールを導入したにも関わらず、補助金が貰えないなんて悲しいですよね。ここまでの努力を水の泡にしないためにも、忘れずに承認をするようにしましょう。
IT導入補助金の入金
上記の 8つの手順を踏み、ようやく補助金が交付されます。
申請時期やITツールの導入にかかる時間、事務局の対応、事業実績報告の修正の有無等にもよりますが、大体交付決定日から4カ月~8カ月後あたりに入金されると想定しておくと良いでしょう。
補助金交付後は「事業実施効果報告」を忘れずに!
IT導入補助金は補助金交付をもって諸手続きが終わるわけではなく、その後も「事業実施効果報告」の対応が求められます。
これはITツールの利用状況や、申請類型ごとに決められた「生産性向上に係る数値目標」等の達成状況を報告するもので、交付を受けた補助事業者の義務です。
こちらも申請マイページより提出可能ですので、必ず対応しましょう。
まとめ
IT導入補助金は、申請回にもよりますが交付決定日から概ね4カ月~8カ月で補助金の交付が受けられます。
「申請して終わりではなく、入金してもらうためにも別途手続きをしなければいけない」と聞くと、手間がかかるものに感じられるかもしれませんが、手順を一つずつこなし、しっかり理解しながら対応することで、スムーズに補助金を受け取ることができます。
IT導入支援事業者のサポートを受けながら、それぞれの手続きを進めていくようにしましょう。
このほかにもG1-infoでは、IT導入補助金に関する様々な情報を発信しております。是非ご覧ください。