2026年6月22日に、デジタル化・AI導入補助金2026の1次締切分の採択結果が公表され、1次締切分の採択率は全体で46.3%という結果でした。
これは、前回IT導入補助金2025全体の採択率よりは高かったものの、1次締切分だけで比較すると低い採択率でのスタートとなっています。
IT導入補助金2025では1次締切分の採択率が一番高かったため、同様の傾向となった場合は、2次締切分以降で採択率が下がっていく可能性もあります。
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は、申請すれば全員が補助金を受け取れるというわけではなく、申請内容に対して事務局・外部有識者が審査を行い、採択された事業者だけが補助金を受け取る権利を獲得できるものですので、採択率は非常に重要な指標です。
本記事では、デジタル化・AI導入補助金2026の採択結果・採択率の考察、採択を受けるためのポイントなどについて解説していきます。
目次
デジタル化・AI導入補助金2026の採択結果
デジタル化・AI導入補助金2026は合計5つの申請枠が用意されており、申請枠ごとに採択結果や採択率が変わってきます。
デジタル化・AI導入補助金2026の申請枠ごとの採択率は以下の通りです。
|
申請枠 |
申請数 |
採択率 |
(参考) |
|
通常枠 |
2,028 |
43.9% |
37.7% |
|
インボイス枠(インボイス対応類型) |
4,324 |
46.9% |
46.2% |
|
インボイス枠(電子取引類型) |
0 |
― |
― |
|
セキュリティ対策推進枠 |
88 |
72.7% |
49.3% |
|
複数社連携デジタル化・AI導入枠 |
― |
― |
75.0% |
|
合計 |
6,440 |
46.3% |
43.8% |
まず全体で見ると、前年のIT導入補助金2025から引き続いて50%を下回る採択率だったため、デジタル化・AI導入補助金2026もこの水準前後の採択率で進捗していく可能性が高い状況です。
[過去のIT導入補助金の採択率]
IT導入補助金2021 全体の採択率:59.2%
IT導入補助金2022 全体の採択率:73.9%
IT導入補助金2023 全体の採択率:75.9%
IT導入補助金2024 全体の採択率:69.9%
IT導入補助金2025 全体の採択率:43.8%
そのため、IT導入補助金2025で顕著になった「加点・減点項目が審査に非常に大きい影響を与える」という傾向も踏襲している可能性が高いと考えられます。
続いては申請枠ごとの採択結果を解説していきます。
※インボイス枠(電子取引類型)と複数者連携デジタル化・AI導入枠は申請0件です。
通常枠
|
募集回 |
申請数 |
採択数 |
採択率 |
|
1次締切分 |
2,028 |
891 |
43.9% |
通常枠の1次締切分の申請数が2,028件でしたが、前年IT導入補助金2025の1次締切分の申請数は2,979件だったので、1/3程度少ない申請数でスタートしている状況です。
また、採択率を比較しても、前年の1次締切分は50.7%だったのに対して43.9%と下がっています。
申請数に関しては、1次締切分のタイミングはIT導入支援事業者登録・ITツール登録が間に合っていないケースも多いため、2次締切分から増加していくものと予想されます。
ただし、採択率のほうは、デジタル化・AI導入補助金2026より新たに追加された「IT導入補助金2022~2025で交付決定した事業者は減点対象」という要件があるため、今回の採択結果と同程度の水準で推移する可能性が高いと考えられます。
インボイス枠(インボイス対応類型)
|
募集回 |
申請数 |
採択数 |
採択率 |
|
1次締切分 |
4,324 |
2,027 |
46.9% |
インボイス枠(インボイス対応類型)の1次締切分の申請数は4,324件でしたが、前年IT導入補助金2025の1次締切分の申請数は6,446件だったので、こちらも通常枠同様1/3程度減っている申請数となっています。
また、採択率は前年の1次締切分は57.6%だったのに対して46.9%と大きく下がっています。
採択率については、前年は1次締切分が一番高く、2次締切分から40%台に下落しており、IT導入補助金2025におけるインボイス枠(インボイス対応類型)全体の採択率は46.2%という着地だったため、審査の傾向は前年と大きくは変わっていないと考えられます。
申請数も通常枠同様に減っていますが、インボイス枠(インボイス対応類型)については、デジタル化・AI導入補助金2026から新たに追加された以下の要件によって、「申請したくでもできない事業者」が増えたことによる減少と考えられます。
[追加された要件]
以下のいずれかで交付決定を受けた事業者は申請の対象外
■IT導入補助金2022デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
■IT導入補助金2023デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
■IT導入補助金2023デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)
■IT導入補助金2024インボイス枠
■IT導入補助金2025インボイス枠
上記は、過去にデジタル化基盤導入枠またはインボイス枠を利用したことのある事業者がインボイス枠では申請ができないということであり、申請可能な事業者の分母が減る要件のため、2次締切以降の申請数を考えると微増はあるかもしれませんが、大きく増加する可能性は低いと考えられます。
セキュリティ対策推進枠
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募集回 |
申請数 |
採択数 |
採択率 |
|
1次締切分 |
88 |
64 |
72.7% |
セキュリティ対策推進枠については、通常枠・インボイス枠とは違って、前年のIT導入補助金2025より採択率が大きく上昇してのスタートとなっています。
IT導入補助金2025のセキュリティ対策推進枠全体の採択率は49.3%だったため、採択率が大きく上昇するような何かしらの審査基準の変更があった可能性が高い状況です。
デジタル化・AI導入補助金2026で採択を受けるためのポイント
デジタル化・AI導入補助金2026で採択を受けるためには、審査を通過する必要があります。
ここからは、採択を受けるために押さえるべきポイントを解説していきます。
申請要件を満たす
デジタル化・AI導入補助金に限らず、補助金は申請要件が定められていますので、申請要件を満たしていない申請内容であったり、申請の対象外の事業者であったりした場合は、申請しても採択を受けることはできません。
必ず、要件を満たした申請内容と申請対象者に該当していることを確認するようにしましょう。
例えば、以下のいずれかに該当する事業者は申請の対象外と定められています。
■日本国内で事業を営んでいない
■別の事業者として申請しており、携帯電話番号が同一の申請
■他の補助金等と重複する補助事業や経費を対象とした申請
■ソフトウェア以外(役務等)の占める経費割合が著しく高額な申請
■大企業の子会社や孫会社
■大企業の役員や職員が役員の過半数を占めている法人
■直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えている
■デジタル化・AI導入補助金における「みなし同一法人」による申請に該当している
■過去1年以内に労働関係法令違反により送検処分を受けている
■法人格のない任意団体(同窓会、PTA、サークル等)や宗教法人
上記は一例となり、その他申請枠ごとにそれぞれ要件が定められていますので、詳細は申請枠の公募要領で必ず確認するようにしましょう。
加点項目に取り組む
前年のIT導入補助金2025から加点項目に取り組んでいるか否かが審査に非常に大きい影響を与える傾向となっており、それは同程度の採択率水準となっているデジタル化・AI導入補助金2026でも継続している可能性が非常に高いです。
そのため、取り組める加点項目は最大限取り組むことが、採択を受けるために非常に重要なポイントとなっています。
加点項目は申請枠によって異なりますので、以下を参照して取り組める内容を見つけましょう。
※インボイス枠(電子取引類型)と複数社連携デジタル化・AI導入枠は一般的な申請枠ではないため割愛します。
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加点項目 |
通常枠 |
インボイス |
セキュリティ |
|
導入するITツールとしてクラウド製品を選定 |
加点 |
― |
― |
|
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」のITツールを選定 |
加点 |
加点 |
※必須要件 |
|
インボイス制度対応のITツールを選定 |
加点 |
※必須要件 |
― |
|
決済機能を有するクラウド製品のITツールを選定 |
― |
加点 |
― |
|
「スマートレジ」に該当するITツールを選定 |
― |
加点 |
― |
|
賃上げの事業計画の策定、従業員への表明、事業計画の達成 |
加点 |
加点 |
加点 |
|
「デジwith」における「IT戦略ナビwith」をおこない、指定資料を提出している |
加点 |
加点 |
加点 |
|
健康経営優良法人2026の認定を受けている |
加点 |
加点 |
加点 |
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えるぼし(1段階目~3段階目)またはプラチナえるぼしのいずれかの認定を受けている |
加点 |
加点 |
加点 |
|
くるみん、トライくるみん、プラチナくるみんのいずれかの認定を受けている |
加点 |
加点 |
加点 |
|
「成長加速マッチングサービス」で会員登録を行い、挑戦課題を登録・掲載中になっている |
加点 |
加点 |
加点 |
|
「省力化ナビ」を活用し「解決策」のPDFをダウンロードしている |
加点 |
加点 |
加点 |
|
令和6年10月から令和7年9月の間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用していた従業員数が全従業員の30%以上いた事業者 |
加点 |
加点 |
加点 |
|
交付申請の直近月における事業場内最低賃金を、令和7年7月の事業場内最低賃金+63円以上の水準にしている |
加点 |
加点 |
加点 |
|
デジタル化セカンドオピニオンの取組みを実施している |
加点 |
― |
― |
|
交付申請時点でインボイス登録を行っておらず、実績報告日までにインボイス登録を行うことを約束 |
― |
加点 |
― |
|
「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っている |
― |
― |
加点 |
加点項目の詳細についてはこちらの記事もご覧ください。
デジタル化・AI導入補助金【加点項目】とは?賃金引上げの注意点等も解説
ポイントを押さえた申請内容を作成する
採択を受けるためには、デジタル化・AI導入補助金や申請枠の目的に沿い、要件を満たした申請内容を作成する必要があります。
これは、いわゆるローンやクレジットカードなどの審査と違いデジタル化・AI導入補助金の審査では、個人の「信用情報」を照会することはないので、必然的に申請内容による判断が審査結果の大半を占めることになるためです。
申請内容のポイントとしては、要件を満たすこととともに「自社の現状や強み・弱みなどを理解したうえで経営課題を認識しており、導入するITツールはその課題解決につながって労働生産性が向上する」ことを押さえて、審査者に伝わるような申請内容にすることが重要です。
審査項目や審査事項の詳細は、各申請枠の公募要領に記載されていますので、それらを確認・整理したうえで申請内容を作成するようにしましょう。
また、昨今のデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は採択率が厳しい状況になっています。
そのため、知見やノウハウを積み重ねて申請内容作成やサポートをおこなっている専門家を活用することで、上記のようなポイントを押さえた申請内容で挑むことができるようになるので、専門家の活用は採択率向上の有効な手段になっています。
まとめ
今回は、デジタル化・AI導入補助金2026の採択結果・採択率の考察、採択を受けるためのポイントなどを解説しました。
前年のIT導入補助金2025から採択率は下落しており、デジタル化・AI導入補助金2026においても同程度の水準で推移することが予想されます。
今後も採択結果が公開され次第、順次こちらの記事に追加していきますので、申請事業者やIT導入支援事業者の方々の採択率向上の一助となれば幸いです。
G1行政書士法人では、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の開始当初から申請内容の作成や申請サポート、採択後の手続きサポートなどを提供しております。
認定経営革新等支援機関に認定されている専門家としての知見と、累計実績4,500件を超えるノウハウを活かして、より採択につながるサポートを提供しておりますので、申請に興味のある事業者の方やIT導入支援事業者として販売活動を行いたい販売店・ベンダーの方はお気軽にお問い合わせください。





