「労働生産性を向上させたいがどうしたら良いかわからない」
「無駄な作業工数や人的コストを削減したいが、うまくいっていない」
このような問題でお悩みの小売業の方はいらっしゃいませんか。
その課題、IT導入補助金を活用したITツールの導入で解決可能かもしれません。
この記事では、小売業がIT導入補助金を利用することでどのようなITツールが導入できるのか、またそれらのITツールを活用するメリット等をご紹介いたします。
目次
小売業の課題
まずは小売業の方がどのような課題を抱えているのかを見ていきましょう。
一口に小売業と言っても、スーパーマーケットや専門店などその事業形態は多岐にわたりますが、ここでは当法人が補助金の申請をサポートさせていただく中で、業界全体、または事業者様単位で共通して伺うことの多いお悩みをご紹介いたします。
人手不足
小売業の方が直面している課題としてまず挙げられるのが、人手不足です。
人員が足りていないというお悩みは様々な業界の方から伺いますが、小売業も例外ではありません。
小売業が何故人手不足に陥っているかに関しては一概には言えないものの、「待遇面が求職者や従業員の希望に合わない」「休みの融通が利きづらく、ワークライフバランスの実現が難しい」といった背景があることが原因になっています。
- 限られた人員で業務をこなしていくために、どのように業務を効率化するか
- 賃金引き上げや時間外労働の削減など、従業員の待遇面を改善し人材を定着させられるか
といった点が、人手不足解決のために取り組まれている課題になっています。
顧客ニーズの変化
顧客のニーズに大きな変化が生じているという点も、小売業の課題の一つです。
スマートフォンの普及やコロナ禍での生活様式の変化などによって、ECサイトの利用率が高まっており、実店舗への需要がECへと流れる傾向にあります。
また、服やバッグ、家電、自動車など、様々な商品においてサブスクリプションサービスが普及した結果、「物を買う」という選択をしなくなった消費者も増え始めています。
「顧客のニーズをリアルタイムで適切に把握し、新しい商品やサービスを提供することで売上を維持する」
「実店舗ならではの魅力を訴求する」
といった方法でこの状況を乗り切る取り組みをされていることを、事業者の方からお聞きします。
運営コストの高騰
運営コストの上昇も、小売業を悩ませています。
円安や物価高の影響で必然的に仕入れ値が高騰し、またエネルギー価格の上昇に伴い電気代も上がるなど、小売業の運営コストはかさむ一方となっています。
この問題に対しては、「無駄な経費を使っている部分は無いか、改めて見直してみる」「新たに売上を増やすための施策を立案・実施し、値上がりした分の経費を賄う」など、様々な対応を取られていることを、事業者の方からお伺いします。
ITツール導入でできること
ここまでで、小売業を取り巻く様々な問題をご紹介しました。
では、これらの課題に対し、ITツールを導入することでどのような対策が可能になるでしょうか。
ITツールを使い、業務のデジタル化を推進することで、
- それまで人的コストをかけていた部分を省人化し、人件費削減や人手不足解消を実現できる
- 顧客のニーズを正しく把握できるようになるため、適切な事業運営による売上向上を期待できる
- 業務効率化により生まれた時間を、新商品や新サービスの開発に向けた施策立案に充当することが可能になる
といった効果を見込むことができます。
導入するITツールの例
「ITツールを導入するメリットはわかったので、小売業の場合は具体的にどのようなITツールが活用されているのか知りたい」という方もいらっしゃるかと思います。
ここからは、小売業で使用され得るITツールの具体例をご説明いたします。
勤怠管理システム
ITツールの例としてまず挙げられるのが、勤怠管理システムです。
一般的に小売業の勤務形態はシフト制であることが多く、また多店舗展開をしている事業者様も少なくありません。
つまり従業員の勤務時間や出勤日、休暇等を各店舗分把握しなければならず、このため小売業の勤怠管理は煩雑化する傾向にあります。
そこで勤怠管理をシステム上で行えるツールを導入することで、全店舗の従業員の出退勤状況や勤務時間をリアルタイムかつ自動で把握できるようになるため、勤怠管理にかける工数を大幅に削減することが可能になります。
また給与計算システムと連携することで勤怠管理システムの出退勤データをもとにツール上で給与計算を行えるため、人事や労務担当者の作業効率化も見込むことができ、相乗的な労働生産性向上を期待できます。
勤怠管理システムの概要については別記事にも解説がありますので、ぜひこちらもご確認ください。
IT導入補助金で導入できる「勤怠管理システム」とは店舗管理システム
店舗管理システムとは、店舗管理に関わる様々な業務を効率化するためのシステムのことを言います。
在庫や仕入れ、売上のほか、従業員の勤怠や顧客情報など、様々な情報をシステム内で一元的に管理できるものが一般的です。
また、店舗が複数ある場合は全店舗分まとめて管理したり、本部や各店舗間の連絡・報告をシステム内で行うことできるため、現場である店舗の状況を即時把握することが可能です。
これにより人力での管理に要していた手間や時間を減らすことができ、また情報共有も容易になるため、労働生産性向上に役立てることができます。
販売管理システム
一般的に販売管理とは、小売業のメインとも言える販売活動における「商品」と「お金」の流れを管理することを言い、販売管理システムではこの作業をITツール上で行うことができます。
商品の受注から出荷、納品、請求、支払確認といった販売管理における一連の業務を一括で正確に管理できるため、進捗確認が簡素化されるだけではなく、各プロセスの対応漏れなどを防ぐことが可能です。
またどの商品がどれくらい売れてい るかという情報もデータで可視化されるため、販売状況の分析や顧客のニーズの把握も容易になり、新たな施策の立案に役立てることができます。
オンライン接客システム
オンライン接客システムとはインターネット上で顧客対応や接客ができるツールのことを指します。
システム内の通話機能(ビデオ通話・音声通話・テキストチャットなど)を使うことでどこにいてもお客様とやり取りができるようになるため、来店が難しい顧客に対しても実店舗で行うような接客が可能になり、新たな営業機会の創出に繋げることができます。
また複数者間で通話ができるものもあり、別部門や他の担当者の対応が必要になった場合も円滑に取り次ぐことができます。
オンライン接客システムについては別記事にも詳細の記載がありますので、ぜひ併せてご覧ください。
IT導入補助金で導入できる「オンライン接客システム」とは受発注システム
受発注システムでは、取引先から注文を受け付けたり、逆に注文を依頼したりする際の一連の工程を容易に把握することができるようになります。
受注業務で言えば、取引先が注文した内容をシステムが自動で受け取り、管理画面に反映する機能などがあるため、マニュアルでの注文内容の入力作業が不要となります。
これにより受注処理を効率化できるだけではなく、聞き間違いや書類の記入ミスなどのヒューマンエラーも減らすことができます。
また発注業務であれば在庫数に応じて自動で注文をかけられたり、システム上でいつでも注文を行ったりすることができるため、人的コストの削減や利便性向上に繋がります。
CRM
CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。
このCRM、すなわち顧客管理システムでは顧客情報をはじめ、お客様ひとりひとりの購入履歴や頻度、過去の問い合わせ状況などを一元管理することができます。
これにより、既存顧客のデータの抽出や分析を容易に行うことができ、販売促進や新規顧客獲得に向けた効果的なアプローチができるようになります。
【CRM・SFA】IT導入補助金で導入できる「Salesforce」とはその他
小売業の生産性向上に資するITツールとしては他にも、代理店やフランチャイズの管理を効率的に行えるシステムや、食品小売業の方が商品規格書を作成、管理する際に役立つツールなど、様々なものが存在します。
ぜひ自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を検討してみてください。
【店舗集客】IT導入補助金で導入できる「MEOツール」とは 【顧客対応・販売支援】IT導入補助金で導入できる「LINEマーケティングツール」とはITツールの導入にIT導入補助金の活用をおすすめする理由
ここまでで、労働生産性向上にITツールの活用が有効である旨をご理解いただけたかと思います。
しかし、「ITツールは便利そうだけど、費用面で導入する余裕が無い」「どのツールをどのように利用するべきなのかわからない」といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このような方におすすめしたいのが、IT導入補助金です。
ここからは、IT導入補助金の概略と、当該補助金を活用するメリットをご紹介していきます。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者の方が生産性向上を実現するに際して、業務効率化やDX化を図るためのITツール(ソフトウェアやサービス等)の導入サポートを行うべく設けられた補助金です。
申請枠や類型は、導入するITツールの種類や機能によって異なりますが、2024年度のIT導入補助金2024においては
- 通常枠
- インボイス枠(電子取引類型・インボイス対応類型)
- 複数社連携IT導入枠
- セキュリティ対策推進枠
が設けられています。
なお、申請対象となるITツールはIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局にあらかじめ登録されたもののみとなっており、申請作業はこのIT導入支援事業者と共同で行う必要があるというのも、IT導入補助金の特徴の一つです。
少ない自己負担でツールの導入が可能
当法人がIT導入補助金のご利用を推奨する大きな理由として、「ITツールを導入する際の自己負担額を減らすことができる」というものがあります。
補助額や補助率、対象となる経費(対象ITツール)はどの申請枠や類型で申請するかによって異なりますが、全体で最大補助額は450万円、補助率は1/2~4/5となっています。
補助金が交付されることで、予定よりも少ない自己負担額でITツールの導入をすることができますので、労働生産性の向上を図りたい事業者の方にぜひご活用いただきたい補助金となっています。
幅広い事業者が利用可能
IT導入補助金は、小売業はもちろん、一般的に補助金申請の対象外となることが多い医療法人、社会福祉法人、学校法人、財団法人、社団法人などの事業者の方も利用することが可能です。
また、IT導入補助金と並んでご相談の多い「小規模事業者持続化補助金」では小売業の方が申請する場合は常時使用する従業員数が5人以下でなければならないという制約があります。
一方IT導入補助金の場合は、小売業でも常勤の従業員が50人以下であれば良く、またもし従業員数が51人以上でも資本金が5,000万円以下であれば申請対象となるため、より多くの事業者様にご利用いただきやすいという特徴があります。
他の補助金より手続きがシンプル
「そうは言っても補助金の申請って、手続きが複雑で難しそう」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、IT導入補助金は他の補助金に比べると用意が必要な書類の数も少なく、基本的にオンライン入力で手続きが完了するようになっています。
また、入力事項もシンプルに設計されていることや、前述のとおり申請作業をIT導入支援事業者と行うため、何か困った際は適宜サポートを受けながら手続きを行えることから、「補助金申請ってハードルが高そう」とお考えの事業者様にも挑戦していただきやすい補助金となっています。
IT導入補助金を利用して業務の効率化、労働生産性の向上を実現した事業者様が数多くいらっしゃいますので、「どのような規模の、どういった事業者が申請しているのかな」と気になった方は、当法人の採択事例集もぜひ併せてご覧ください。
まとめ
今回は小売業の方に向けて、IT導入補助金を活用することでどういったITツールを導入できるのか、それらのITツールにどのようなメリットがあるのか、そしてIT導入補助金の利用を推奨する理由をご説明しました。
「ITツールを導入して業務効率化や、労働生産性向上を実現したい!」とお考えの小売業の方は、ぜひIT導入補助金のご利用をご検討ください。
当法人では、小売業の方はもちろん、様々な業種の方の申請サポートを行っており、累計採択実績は4,451件、2023年採択率は91.6%を達成しています。
各種申請前の注意点・手続き説明をはじめ、交付申請時の申請内容の作成支援、採択後の実績報告や効果報告など、多岐にわたる支援が可能ですので、IT導入補助金の申請を希望される事業者の方や、ITベンダー・サービス事業者の方は、ぜひ当法人までお気軽にご相談ください。