「煩雑な業務プロセスを改善し、生産性の向上を図りたい」
「無駄な人的コストを削減したいが、何から手を付けたら良いかわからない」
「生徒や保護者とのやり取りを効率化し、円滑な運営を行いたいと思っているが、上手くいっていない」
このようにお悩みの学習塾経営者の方はいらっしゃいませんか。
そのお悩み、ITツールを使えば解決できるかもしれません。
この記事では、塾業界の方がIT導入補助金を利用して導入できるITツールの例や、それらのITツールを導入するメリットをご紹介します。
目次
塾業界の課題
IT導入補助金について説明する前に、まずは塾業界が抱える問題を見ていきましょう。
ここでは当法人が補助金申請をサポートさせていただく中で、業界全体、また事業者単位で共通して伺うことの多い課題をご紹介いたします。
慢性的な人手不足
塾業界の抱える課題として第一に、「人材が不足している」という内容が挙げられます。
従業員の確保がうまくいっていないというお悩みは他業種の中小企業・小規模事業者の方からもよく伺いますが、塾業界も例外ではありません。
塾業界の人手が足りていない理由は多岐に渡りますが、
「限られた人材で運営をしていくために、どのように業務効率化を図るか」
「新たな施策を生み出し、売上を伸ばしていけるか」
そしてその結果、「賃金引上げや残業時間の短縮など、どれだけ待遇面を向上し人材の流出を防げるか」
といったことが、人手不足解決のためのポイントと言えます。
少子化に伴う生徒数の減少
日本で現在社会問題となっている少子化は、塾業界においても悩みの一つです。
2023(厚生労働省人口動態統計より)、今後も少子化は続く見込みです。
塾業界においては、少子化の影響でターゲットである子どもの数が減少し、それに比例して利用者数が低下した結果、事業の継続が難しくなる可能性があります。
このような現状に対して、「限られた顧客層に自社を選んでいただけるよう、適切なPRや新たな施策立案を行うために、バックオフィス業務にかける手間を省力化して新サービスの考案や実施に繋げる」といった方針や取り組みを事業者の方からお聞きします。
業界内外での競争激化
競合他社との競争が激しさを増している点も、塾業界で起こっている問題の一つです。
前述のように子どもの数は年々減少傾向にあり、塾業界ではこの母数の少ない生徒をめぐっていわば「争奪戦」が起こっています。
また、近年では学習アプリのような塾に行かなくても自学できる方法も確立されてきており、業界の垣根を超えて競争が厳しくなっているというのが現状です。
「競合他社にはない、自社ならではの優位性をどのように生み出すか」「生徒や保護者からのニーズをいかに適切に把握し、実現するか」「学習塾ならではの授業やサービスを実施していけるか」など、どのように競争力を強化していくかが事業継続への鍵となっています。
ITツール導入でできること
ではこれらの課題に対し、どのようなITツールが導入可能で、そしてどのような対策を取ることができるのかを見ていきましょう。
ITツールを使い業務のデジタル化を推進することで、
- 新たなサービスの提供ができるようになる
- 業務の効率化により、デジタル化前と比較して生徒のケア等に時間を充当することができるようになるため、生徒の満足度の向上につながる
- 残業時間の短縮を見込める
といった効果が期待できます。
通常の授業はもちろん、フォローアップなど子どもたちとの意思疎通が重要となる業界だからこそ、ITツールを上手に活用することで、業務を効率化し生産性や生徒の満足度の向上を図っていきたいですね。
導入するITツールの例
ITツールを導入すると色々なメリットがあるのはわかったけど、塾業界の場合はどのようなITツールが活用されているのか知りたい、という方もいらっしゃるかと思いますので、ここからは具体的なITツールの説明をしていきます。
生徒管理システム
まず挙げられるのが、生徒管理システムです。
生徒管理システムとは、その名のとおり生徒の様々な情報をデジタルで管理できるシステムのことを言います。
生徒の学習進捗や成績、出欠記録や保護者への連絡等を一元的に管理できるため、
- チェックしたいデータを見つけやすくなり、情報確認に要する時間を短縮できる
- 指導報告書記入の作業負担を軽減できる
- 生徒の学習状況を確認しやすいため、より一人一人にあった指導が可能になる
- 保護者との連絡が取りやすくなることで、決裁者である保護者の安心や信頼の向上に繋がる
- 講師間での情報共有が容易になり、業務効率化に繋がる
といった効果が期待できます。
教材ソフト
授業を行うにあたり欠かせることができない教材も、ITツールで管理することが可能です。
学習の進行に不可欠なテキストやドリルはもちろん、授業の動画など映像教材を取り扱えるソフトもあります。
教材ソフトによっては
- 学習スケジュールの自動作成
- 進捗度や理解度のデータ集計
- ドリルや問題集の自動採点
などが可能なものもあり、業務の効率化や生徒のレベルに応じた指導に役立てることができます。
また、授業の動画配信を行い、繰り返し授業や学習内容のチェックができる環境を整えることで、人手不足の解消や生徒の声の適切なキャッチアップ、及び満足度の向上が期待できます。
ただし、注意点として教育映像や教育コンテンツ、ドリル教材などのコンテンツ利用料を塾から生徒へ請求する場合は補助金の対象とすることはできませんのでご留意ください。
勤怠・労務管理ソフト
生産性向上には、従業員のシフトやスケジュール、休暇等を効率的に管理することができ、経理業務や会計ソフトと連携することもできる勤怠・労務管理ソフトも有効です。
煩雑になりがちな勤怠・労務の管理をITツールで集約することにより、それまでこれらの業務に充てていた時間の削減や省力化、ヒューマンエラーの抑止といった効果を見込むことができます。
当法人の別記事にも勤怠・労務管理ソフトの詳細に関しての記載がありますので、併せてご覧ください。
IT導入補助金で導入できる「勤怠管理システム」とは会計ソフト
マネーフォワードやfreeeといった会計ソフトも労働生産性向上に役立ちます。
会計業務をアナログで行っている事業者は今日においても少なくありません。
会計ソフトを導入すると単に記録が電子化されるだけでなく、帳簿やレポートの自動作成や会計事務所とのスムーズな連携が可能になり、経理業務・売上分析を効率的に行えるようになります。
また、家計簿のような形で入力ができることから、「簿記や会計の知識が無いので不安」「専門の経理担当を雇う余裕が無い」といった小規模事業者の方にもおすすめです。
「会計ソフトについて詳しく知りたい!」という方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
【経理・会計】IT導入補助金で導入できる「会計ソフト」とは学習塾経営の業務効率化にはIT導入補助金の利用がおすすめ
ここまで生産性向上のためにはITツールの導入が効果的であることをご説明しました。
しかし、「ITツールを利用するメリットがわかったので導入を検討してみたいけど、費用や時間などリソース面が心配」と感じる方もいらっしゃると思います。
そのような方に是非ご活用いただきたいのが、IT導入補助金です。
ここからは、IT導入補助金の概要とご利用をおすすめする理由をご紹介します。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者の方が生産性向上を目指すに際して、課題を解決するためのITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用の一部に支援を受けることができる制度です。
導入するITツールによって申請枠・類型が異なり、2024年度のIT導入補助金においては
- 通常枠
- インボイス枠(電子取引類型・インボイス対応類型)
- 複数社連携IT導入枠
- セキュリティ対策推進枠
が設けられています。
少ない自己負担でツールの導入が可能
当法人がIT導入補助金の利用をおすすめする大きな理由として、「ITツール導入時の自己負担額を抑えることができる」というものがあります。
補助額や補助率、対象経費(対象ツール)などの条件は申請枠・類型ごとに異なりますが、全体で補助額は最大450万円、補助率は1/2~4/5となっています。
申請が採択され補助金が交付されれば、自己負担額を軽減させながらIT投資することができますので、業務の効率化や労働生産性の向上をなるべく低負担で達成したい事業者の方にぜひご活用いただきたい補助金となっています。
申請作業はIT導入支援事業者がサポートするので安心
IT導入補助金の特徴の一つに「IT導入支援事業者と共同で申請を行う」というものがあります。
IT導入支援事業者とは、IT導入補助金の申請者(中小企業・小規模事業者)に対してITツールを販売する事業者のことで、予めIT導入補助金事務局の審査を経て登録された事業者のことを指します。
このIT導入支援事業者は、販売後も申請者が導入したITツールの運用相談やサポート、並びにIT導入補助金の申請や実績報告等、事務局に提出する各種申請・手続きのフォローを行います。
IT導入補助金は申請者が単独で申請することはできず、IT導入支援事業者と共同で申請作業を行う必要があり、この点が他の補助金と異なります。
逆に言えば、どのようなITツールを選択するべきか等を適宜相談したり、申請作業のサポートを受けたりしながら手続きを進めることができるので、「補助金申請は初めてだから、不備なく対応できるか心配」というお悩みを抱える事業者様にも心強い仕組みと言えます。
ただし、申請することができるITツールは事前にIT導入補助金事務局に登録されている、IT導入支援事業者が取り扱っているITツール(ソフトウェア、サービス等)のみとなっていることです。
そのため、ITベンダー・サービス事業者や導入するITツールの選定にあたっては、IT導入補助金事務局に登録があるかを、事前に確認する必要があります。
なお、G1行政書士法人ではIT導入支援事業者のご紹介も可能です。
「普段利用しているITサービス事業者がIT導入支援事業者には登録していない」「使ってみたいITツールがあるが、どのIT導入支援事業者に依頼すれば良いかわからない」
という方は、是非当法人までご相談ください。
導入関連費やハードウェアの購入費も補助される
IT導入補助金はITツール(ソフトウェアやサービス)だけではなく、導入関連費やクラウド利用料、ハードウェアの購入費も補助の対象となります。
例えば、2024年のIT導入補助金では以下のような経費に補助を受けることができます。
通常枠
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用料(最大2年分)
- 導入関連費
インボイス枠
<インボイス対応類型>
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用料(最大2年分)
- 導入関連費
- PC、タブレット、レジ、券売機等のハードウェア購入費用
<電子取引類型>
インボイス制度に対応した受発注ソフトのクラウド利用料(最大2年分)
複数社連携IT導入枠
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用料(最大2年分)
- 導入関連費
- 消費動向等分析経費のクラウド利用料(最大1年分)
- 事務費・専門家費
上記のように、ITツールの導入や利用に関連する様々な経費に対しても、補助を受け自己負担を抑えることが可能です。
ただし、ハードウェアの購入を検討する場合は「パソコンやタブレットなど、ハードウェアを単体で買うことは認められない」という点には注意が必要です。
申請するソフトウェアの利用に必要なものを、当該ソフトウェアと併せて導入する場合のみハードウェアの申請が可能となりますので、お気を付けください。
まとめ
今回は塾業界の方に向けて、IT導入補助金を利用して導入できるITツールの例や、それらのITツールを導入するメリットなどとともに、IT導入補助金おすすめする理由を解説しました。
塾業界の方は是非、IT導入補助金のご利用をご検討ください。
当法人では、塾業界の方はもちろん、多種多様な業種の方に向けて申請のサポートを提供しており、累計採択実績は4,451件、2023年採択率は91.6%を達成しています。
各種申請前の注意点・手続き説明から、交付申請時の申請内容の作成サポートはもちろん、採択後の実績報告や効果報告、各種手続きについても多数の経験があり、アフターフォローも充実しています。
IT導入補助金の申請を希望される事業者の方や、ITベンダー・サービス事業者の方は、ぜひ当法人までお問い合わせください。