「IT導入補助金を申請したい!不採択になる可能性はどのくらい?」
「IT導入補助金で不採択にならないポイントは?」
と気になっていませんか?
手間と時間が掛かる補助金申請、できるなら一度で採択されたいですね。
今回は、不採択になる3つの理由と対策、採択率を上げるポイントについても詳しくご紹介していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者が自社課題に合ったITツールを導入する際に活用できる補助金です。
IT導入補助金には、3種類あります。
- 自社課題を解決するITツールの導入によって、業務効率化・売上向上を図ることを目的にした「通常枠(A・B類型)」
- サイバー攻撃による被害のリスク軽減を目指す「セキュリティ対策推進枠」
- 会計・受発注・決済・ECに関するソフトの導入にかかる経費の一部を補助し、インボイス対応などのデジタル化を推進する「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入型)」
補助金の補助率・上限額は3つの枠組みによって異なります。
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通常枠 |
セキュリティ |
デジタル化基盤導入枠 |
||
A類型 |
B類型 |
デジタル化基盤導入類型 |
|||
補助対象経費区分 |
ソフトウェア購入費・ |
サービス利用料(最大2年分) |
ソフトウェア購入費・ |
||
補助率 |
1/2以内 |
1/2以内 |
3/4以内 |
2/3以内 |
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上限額・ |
5万円~150万円未満 |
150万円~450万円以下 |
5万円~ |
(下限なし)~50万円以下 |
50万円超~350万円 |
ハードウェア購入費 |
PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機: |
レジ・券売機等:補助率1/2以内、補助上限額20万円 |
引用:(一社)サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023 公式サイト
IT導入補助金の過去採択率は?
IT導入補助金2023公式サイトで公開されている2022年5月27日~2023年3月23日までの申請数・交付決定数を元に算出すると、採択率の平均は以下の通りです。
- 通常枠A類型:58.1%
- 通常枠B類型:50.5%
- セキュリティ対策推進枠:96.6%
- デジタル化基盤導入枠デジタル化基盤導入類型:82.1%
- デジタル化基盤導入枠複数社連携IT導入類型:66.6%*
*申請数0だった複数社連携IT導入類型4次締切分を除いて計算
各募集回の採択率について詳しくみていきましょう。(小数点第一を四捨五入)
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通常枠 |
セキュリティ対策推進枠 |
デジタル化基盤導入枠 |
||
A類型 |
B類型 |
デジタル化 |
複数社連携IT導入類型 |
||
交付決定日:2022年5月27日 |
– |
– |
– |
87% |
– |
交付決定日:2022年6月16日 |
56% |
41% |
– |
88% |
– |
交付決定日:2022年6月30日 |
– |
– |
– |
86% |
– |
交付決定日:2022年7月14日 |
55% |
43% |
– |
87% |
100% |
交付決定日:2022年7月28日 |
– |
– |
– |
83% |
– |
交付決定日:2022年8月12日 |
49% |
41% |
– |
82% |
– |
交付決定日:2022年8月25日 |
– |
– |
– |
82% |
– |
交付決定日:2022年9月8日 |
44% |
45% |
– |
86% |
– |
交付決定日:2022年9月22日 |
– |
– |
– |
79% |
– |
交付決定日:2022年10月6日 |
61% |
60% |
100% |
78% |
33% |
交付決定日:2022年10月20日 |
– |
– |
– |
80% |
– |
交付決定日:2022年11月4日 |
65% |
59% |
95% |
82% |
– |
交付決定日:2022年11月22日 |
– |
– |
– |
78% |
– |
交付決定日:2022年12月6日 |
70% |
62% |
96% |
81% |
– |
交付決定日:2022年12月20日 |
– |
– |
– |
84% |
66% |
交付決定日:2023年1月18日 |
67% |
64% |
100% |
82% |
0% |
交付決定日:2023年2月7日 |
68% |
63% |
95% |
82% |
– |
交付決定日:2023年3月3日 |
– |
– |
96% |
86% |
– |
交付決定日:2023年3月23日 |
– |
– |
96% |
77% |
– |
引用:(一社)サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023 公式サイトより算出
通常枠の採択率は約41%~約70%、セキュリティ対策推進枠は95%以上、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入型)は55~88%で推移していることが分かります。
IT導入補助金が不採択になる3つの理由
IT導入補助金で不採択になる理由について、大きく3つ考えられます。
1つずつ解説していきます。
理由1.そもそもIT導入補助金の対象外
最初に考えられる不採択の理由は、そもそもIT導入補助金が定める要件に該当していない場合です。
こちらは、「対象外の事業者」である場合と、「対象外の事業」である場合が考えられます。
申請の対象になる事業者
IT導入補助金で申請の対象になる事業者は、飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等を含む中小企業・小規模事業者です。
各業種・組織形態によって資本金・従業員数に定めがあるため、詳しくはIT導入補助金2023公式ページで確認しましょう。
また、上記の要件を満たしていても下記に該当する中小企業・小規模事業者等は対象外になります。
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している
- 大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額を①~③に該当する中小企業・小規模事業者等が所有している
- ①~③に該当する中小企業・小規模事業者等の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている
- 確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業・小規模事業者等
引用:(一社)サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023 公式サイト
さらに、IT導入補助金を申請する条件の1つに、「申請時点で設立している(個人の場合は開業している)」ことがあります。
将来的に設立(開業)を予定しているとしても、設立(開業)前の段階では補助金を申請することはできません。
この他にも細かい要件があるため、申請前に一度公募要領をご確認ください。
申請の対象になるツールおよび経費
申請の対象になるのは、ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費です。
ECサイト制作はスクラッチ開発のため、通常枠(A・B類型)では補助対象外になりますが、2023年から施行される適格請求書等保存方式(インボイス制度)への対応をサポートする目的でデジタル化基盤導入類型では新規作成のみ補助対象になります。
また、ハードウェア(PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機、またはPOSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)の購入費が補助対象になるのはデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)だけです。
この場合でも、リースは対象外となり、ハードウェアのみでの申請はできません。
このように、適切な枠組みで補助金申請を行えているかどうか、また、申請者の事業内容との関連性や経費内容なども不採択の判断基準に関わってきます。
理由2.申請内容の不備
申請内容に不備があって不採択になる案件は、意外と多いのが現状です。
「申請情報の入力ミス」「提出書類の不備」に分けて詳しくご紹介していきます。
申請情報の入力ミス
IT導入補助金の申請は入力項目が多く、また提出が必要な書類も複数あるためミスが起きやすくなります。
入力間違い・入力漏れ、提出書類の情報と入力情報が一致していない、など基本情報の入力ミスは不採択の原因になることがあります。
例えば、住所の番地の入力漏れ、また、入力した基本情報と履歴事項全部証明書に書かれている事業目的や役員情報が一致していない、などのミスには注意が必要です。
提出書類の不備
申請時には以下の書類を提出する必要があります。
<法人の場合>
- 履歴事項全部証明書(発行から 3ヶ月以内のもの)
- 税務署で発行された直近分の法人税の納税証明書(「その 1」若しく は「その 2」)
<個人事業主の場合>
- 運転経歴証明書若しくは住民票 (発行から3ヶ月以内のもの)
- 税務署で発行された直近分の所得税の納税証明書(「その 1」若し くは「その 2」)
・税務署が受領した直近分の確定申告書の控え
(一社)サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023 公式サイト
必要書類が足りていない、要件を満たしていない場合も不採択の原因になります。
証明書は申請日から3ヶ月以内に発行されたものかどうか、納税証明書は税務署が受領した直近のものかどうかなど、要件を満たしているか必ず確認しましょう。
また、提出のために電子化するにあたっては全ての用紙が正確にデータ化されているか、文字の読み取れない不鮮明な部分がないかもチェックしましょう。
理由3.申請内容が不十分
ミスなく申請ができていたとしても、申請する補助事業が補助金に見合うだけの価値があることを説明しきれていない場合は不採択になることが考えられます。
3つの項目に分けて詳しく解説していきます。
補助事業で生産性の向上が見込めない
IT導入補助金は、課題に合ったITツールの導入によって生産性を向上させることを目的にしています。
そのため、補助事業の実施によって生産性向上が見込めない場合は不採択の理由になります。
IT導入によって、自社として生産性向上が見込めるか、また、社会に対してどのようなメリットがあるのかを現状の自社課題と共に具体的に書く必要があります。
IT導入補助金2023では各枠組みの審査項目と加点項目が公表されているので、事前に確認しておきましょう。
事業計画に根拠がない
実現可能性の低い事業計画は不採択の理由になりかねません。
事業計画で示すのは、根拠に基づいた数字である必要があります。
大きすぎる売上高や利益率は、非現実的な印象を与えてしまうこともあるため、実現性が乏しいと判断されないように地に足の着いた事業計画書を作成しましょう。
効果的なITツールを選択できていない
自社課題に合ったITツールを選択できていない場合も不採択の理由になります。
また、過去にIT導入補助金を使って導入したITツールと機能が重複しているとみなされた場合も不採択になる可能性があります。
不採択になっても再申請ができる!
もし不採択になってしまっても、次回以降の募集で再申請が可能です。
不採択通知書を受け取った後、申請マイページを破棄することで再申請が可能になります。
不採択の理由を分析し、再申請にチャレンジしましょう!
IT導入補助金で採択されるポイント|採択率・採択事例・採択のコツ ベンダー様(IT導入支援事業者)向け登録・申請サポート採択率を上げるポイント
採択率を上げるためには、申請要件を確実に満たし、不備のない書類提出、ミスのない情報入力を徹底した上で、審査項目に沿った根拠と客観性のある内容で申請を行うことが大切です。
そのためには、ITツールの選定・効果的な申請書類の作成・実際の申請手続きまでの全てのフローにおいてIT導入補助金に関する知識と経験が豊富な専門業者からサポートを受けるのも1つの方法です。
当サイトを運営するG1行政書士法人では、IT導入補助金の申請を考えている事業者様とITベンダーであるIT導入支援事業者様を繋ぎ、申請書作成・実際の手続きをお手伝いいたします。
令和4年度は1,509件の申請をサポートし、1,378件について採択をいただきました。(採択率:90.9%)
質問・ご相談もお気軽にお問い合わせください。
まとめ
IT導入補助金が不採択になる3つの理由と対策について詳しくご紹介しました。
IT導入補助金の採択には、提出書類や入力のミスを限りなく減らし、生産性向上の実現をアピールできる申請書を作成する必要があります。
不採択の経験がある方や、初めての申請で不安が大きい方は専門家のサポートを受けることもぜひご検討ください。