ITベンダーの方の中には、複数のツールやソフトウェア、サービスを開発・販売されている事業者の方も多いと思います。
できることならより多くの顧客に、より多くのツール・ソフトウェア・サービスを提供したい…その手段のひとつとして、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の活用提案は、非常に魅力的で販促効果も高いものです。
しかし、一般的なイメージとして「同じ補助金は1社に1回」。
さあ、どのツールやソフトウェア、サービスでデジタル化・AI導入補助金の活用を提案すべきか…
その選択、「どちらも提案」「全部提案」とすることも可能かもしれません!
今回の記事は、複数のツール・ソフトウェア・サービスをお持ちのベンダーの方向けに、意外と知らないデジタル化・AI導入補助金「申請枠」の使い方について解説します。
目次
デジタル化・AI導入補助金は複数回申請できる
まずはじめに、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は、過去に採択・交付決定を受けて利用した事業者の方も再度申請が可能です。
これについては別途、下記ページでも詳しく掲載していますが、
・前回の交付決定から12か月以上あけて申請する
・別の申請枠で申請する
これらの方法により再度申請が可能なのです。
「前回の交付決定から12か月以上あけて申請する」については読んで字のごとくです。
クライアントが過去に採択実績ある事業者だとわかった場合は、交付決定の時期と「補助事業者」として申請した内容や申請枠を確認しましょう。
「別の申請枠で申請する」については、これまでデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)でITツール登録をしたことがない方やIT導入支援事業者になったことがない方にとって、ピンとこない内容かもしれません。
そこで、まずはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)に存在する「申請枠」について簡単に説明します。
「申請枠」とは?
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)には合計5つの申請枠が存在しており、どの申請枠で申請するかは主にITツールの機能によって決まります。
5つの申請枠の中で、「インボイス枠(電子取引類型)」と「複数者連携デジタル化・AI導入枠(旧複数社連携IT導入枠)」の2つは特殊な申請枠ですので、ここからはそれ以外の3つの申請枠を解説していきます。
通常枠
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の通常枠の対象となるITツールの機能としては、下記に挙げる様々なプロセスにおける労働生産性向上・効率化につながるものと定義されています。
業務プロセス(共通プロセス)
- 顧客対応・販売支援
- 決済・債権債務・資金回収
- 供給・在庫・物流
- 会計・財務・経営
- 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務
業務プロセス(業種特化型プロセス)
- 業種固有プロセス
※製造業、卸売業、小売業など、業種ごとに存在する固有のプロセスに対する機能が対象で、ITツール登録要領には該当する機能例も具体的に挙げられています
汎用プロセス
- 汎用・自動化・分析ツール
※業種・業務が限定されないが、生産性向上への寄与が認められる専用のソフトウェア
細かい要件は他にもありますが、大まかに機能の違いで言うと上記のような区分けがされています。
なお、通常枠の補助額は、プロセス数1~3つの場合は5万円以上150万円未満、プロセス数が4つ以上の場合は150万円以上450万円以下となっており、補助率はともに1/2です(特定の要件を満たすことで、補助率2/3になるケースあり)。
インボイス枠(インボイス対応類型)
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)のインボイス枠(インボイス対応類型)は、通常枠で挙げた業務プロセスの中で、インボイス制度に対応した「会計・受発注・決済」いずれかの機能を有するものが要件となっています。
つまり、より対象を絞り込んだ申請枠であるということです。
インボイス枠(インボイス対応類型)で申請を行うためには、ITツール登録の時点で上記に対応している申告しておくことが必要です。
なお、インボイス枠(インボイス対応類型)の補助額は、会計・受発注・決済のうち2機能以上を持つツールについては350万円以下(下限なし)、1機能の場合は50万円以下、補助率は約2/3以内です。
※補助額50万円までの部分については補助率3/4(小規模事業者は4/5、それ以上の金額部分については2/3のため、約2/3としています。
通常枠よりも補助率が高いため、3つの機能に該当するITツールであれば、こちらの申請枠で申請したいという方が多いでしょう。
セキュリティ対策推進枠
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)のセキュリティ対策推進枠で対象となるのは「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのみです。
セキュリティ対策推進枠の補助額は5万円~150万円以下、補助率は1/2(小規模事業者は2/3)となっています。
サイバーセキュリティお助け隊サービスリストに掲載されているITツールであればこちらの申請枠で申請するのが効果的です。
申請枠が違えば同時申請も可能
前述のとおり、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)には複数の申請枠があり、異なる申請枠であれば、同じ年度内で申請中または交付決定を受けていても、別途申請が可能です。
ベンダーの方の視点で言えば、自社のツール・ソフトウェア・サービスをデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)のITツールとして登録する際、同じクライアントに同時期に提案する可能性があるツールは、できれば別の申請枠で申請できるように登録しておくとよい、ということになりますね。
かといって、好きな申請枠を自由に選べるというものではありませんので、各申請枠の要件を踏まえて最適な登録を進めていきましょう。
同時申請・複数回申請時の注意点
既に他の申請枠で申請中の場合や、過去にデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の利用実績がある場合、新たな申請で採択されるハードルが上がる場合があります。
要件の目標値が引き上げられる(通常枠)
通常枠では、労働生産性の年平均成長率「3%以上」を目標値として計画・申請し、それに対して審査を受けます。
ただし、過去3年以内に交付を受けている場合は、この年平均成長率を「4%以上」の計画で申請する必要があります。
誤って年平均成長率3%で計画・申請すると、要件を満たさない申請となってしまいますので注意が必要です。
審査で減点される
過去2~3年以内にデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の利用実績がある場合は、審査において減点対象となります。
いつまでの利用実績だと目標値の引き上げが必要となるかや、減点対象になるかは、申請する申請枠の最新の公募要領を参照し、該当しているかを必ず確認するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は、複数のツール・ソフトウェア・サービスをお持ちのベンダーの方向けに、より多くのツール・ソフトウェア・サービスをデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の申請対象とする場合の考え方およびデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の「申請枠」の使い方について解説しました。
申請枠はITツール登録時点で決まります。
また、どの申請枠に該当するかは主にITツールの機能によって決まります。
G1行政書士法人では、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)のIT導入支援事業者・ITツール登録から、交付申請、採択後の実績・効果報告まで、累計4,500件を超える多数のサポート実績に基づいて対応しています。
各種申請前の注意点・手続き説明から、交付申請時の申請内容の作成サポートまで、きめ細やかな対応を心がけていますので、これからITツールを登録しようとお考えの方は、お気軽にG1行政書士法人にご相談ください。






