令和7年度補正予算が2025年12月16日に成立し、経済産業省から補助金関連の予算概要および事業概要資料も公表されています。
IT導入補助金は毎年度、経済産業省「中小企業生産性革命推進事業」のうちの一つとして実施されており、来年度も引き続き中小企業生産性革命推進事業の予算組みはありますが、その中に「IT導入補助金」の名称はありませんでした。
しかし、これまでのIT導入補助金と同じ目的の事業として「中小企業デジタル化・AI導入支援事業(デジタル化・AI導入補助金)」という記載がありますので、来年度からはこれまでのIT導入補助金がデジタル化・AI導入補助金へ名称変更される可能性が高いと考えられます。
本記事では現段階で判明しているデジタル化・AI導入補助金について解説していきます。
デジタル化・AI導入補助金とは
経済産業省の事業概要資料ではデジタル化・AI導入補助金の目的は以下となっています。
(2)中小企業デジタル化・AI導入支援事業(デジタル化・AI導入補助金)
中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援。
※引用:経済産業省関係令和7年度補正予算の事業概要(PR資料)
中小企業等の労働生産性向上のために、目的に沿ったITツール導入費用の一部を国が補助するという制度です。
これにより、中小企業等は自己負担額を抑えてITツールの導入と生産性向上に取り組むことができるようになります。
また、昨年度のIT導入補助金の目的は以下の記載で、今回のデジタル化・AI導入補助金と全く同じ記載になっているため、来年度からは「デジタル化・AI導入補助金」へ補助金名称が変更されると考えられます。
(3)サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)
中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援する。
※引用:経済産業省関係令和6年度補正予算の事業概要(PR資料)
2017年の開始以来、IT導入補助金の名称はかなり定着し認知されているため、名称変更は少々残念に感じますが、ITという表現は少しばかり古くなっているとともに、現政府はAIの研究開発や利活用を国家戦略として推進する「AI基本計画」案をとりまとめ、AI活用拡大を目指しているという方針を鑑みると、このタイミングでAIを盛り込んだ名称へ変更するのはある意味時代の流れに沿った動きであると思います。
デジタル化・AI導入補助金の概要
2025年12月23日に、中小企業庁のWEBサイト上で「デジタル化・AI導入補助金」のチラシが公開されています。

このチラシによると、デジタル化・AI導入補助金はIT導入補助金2025と同じ申請枠・要件になっているため、補助金名称は変わるものの大枠は変わらない方向性のようです。
ただし、IT導入補助金2025においても、公募要領等が正式に公開されたタイミングでチラシ内容に変更が入った部分もあったので、このチラシ内容はあくまで2025年12月時点の内容であり、今後変更される可能性も大いにあるということは念頭に置いておく必要があります。
デジタル化・AI導入補助金の申請枠ごとの条件
デジタル化・AI導入補助金は5つの申請枠が用意されており、申請枠ごとに条件が異なっています。
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枠/類型 |
通常枠 |
複数社連携IT導入枠 |
インボイス枠 |
セキュリティ対策推進枠 |
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インボイス対応類型 |
電子取引類型 |
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補助対象経費 |
・ソフトウェア購入費 |
・ソフトウェア購入費 |
・ソフトウェア購入費 |
・クラウド利用料(最大2年分) |
・サイバーセキュリティお助け隊サービス利用料(最大2年分) |
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補助額 |
・プロセス3つまでのITツール:5万円~150万円 ・プロセス4つ以上のITツール150万円~450万円 |
・1機能のITツール:~50万円 ・2機能以上のITツール:~350万円 ・PC・タブレット等: ~10万円 ・レジ・券売機等:~20万円 ・消費動向等分析経費:50万円×グループ構成員数 ・事務費・専門家経費:200万円 |
・1機能のITツール:~50万円 ・2機能以上のITツール:~350万円 ・PC・タブレット等: ~10万円 ・レジ・券売機等:~20万円 |
・~350万円 |
・5万円~150万円 |
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補助率 |
・中小企業:1/2 ・最低賃金近傍の事業者:2/3 |
・~50万円以下:3/4 (小規模事業者: 4/5) ・50万円~350万円:2/3 ・ハードウェア購入費:1/2 ・消費動向等分析経費:2/3 ・事務費・専門家経費:2/3 |
・~50万円以下:3/4 (小規模事業者: 4/5) ・50万円~350万円:2/3 ・ハードウェア購入費:1/2 |
・大企業:1/2 ・中小企業: 2/3 |
・中小企業:1/2 ・小規模事業者: 2/3 |
※最低賃金近傍の事業者:令和6年10月から令和7年9月の間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用していた従業員数が全従業員の30%以上であることを示した事業者
デジタル化・AI導入補助金の特徴
これまでのIT導入補助金では、販売業者(IT導入支援事業者)と補助対象経費(ITツール)は事前登録制となっており、申請者は登録されたIT導入支援事業者・ITツールから選択するという運用でした。
これは他の補助金にはない特徴であり、申請枠や条件なども大枠同じということを鑑みると、デジタル化・AI導入補助金になっても同じ運用を踏襲する可能性が高いと考えられます。
ここからはIT導入補助金をベースに、IT導入支援事業者とITツールについて解説していきます。
IT導入支援事業者とは
IT導入支援事業者とは、以下の事業者です。
IT導入支援事業者とは、生産性向上を目指す中小企業・小規模事業者等に対してITツールを導入し、補助事業を円滑に遂行するための支援を行う事業者を指す。事務局に登録申請を行い、事務局にてその適格性が審査された結果、採択された者をいう。
※引用:IT導入補助金2025公募要領
また、IT導入支援事業者の役割の詳細は以下の通り定義されています。
・中小企業・小規模事業者等の生産性向上に資するITツールを事務局に登録する
・申請者または補助事業者に対し、適切なITツールの提案・導入・アフターサポートを行う
・補助事業に係る申請者または補助事業者からの問合せ・疑問等について、事務局に代わって対応を行い、円滑な補助事業推進のサポートを行う
・申請者または補助事業者への事務局からの指示、指導の仲介を行い、適切な補助事業の遂行をサポートする
・補助事業者による補助金不正受給等の不正行為を防止し、適切に補助金が交付されるよう、補助事業の管理・監督を行う
・補助事業者の生産性向上のために、ITツールの効果を最大限引き出すよう補助事業のサポートを行う
※引用:IT導入補助金2025公式サイト
簡単に言えば、ITツールの販売・サポートおよび申請者と連携して補助金申請や各種手続きを実施する事業者です。
そのため、この補助金は申請者単独での申請はできませんので、予め事務局に登録されているIT導入支援事業者を選択し、IT導入支援事業者からITツールを導入する必要があります。
また、IT導入支援事業者と連携して進めるということは、経験値のあるIT導入支援事業者のサポートを受けながら申請手続きに臨めるということですので、補助金申請は初めて、という事業者の方にも挑戦しやすい補助金となっています。
ITツールとは
ITツールとは、以下の通りになっています。
ITツールとは、本事業においてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録された中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上に資するソフトウェア・オプション・役務・ハードウェアの総称を指す。
補助対象経費は、IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用とする。補助事業者は、登録されたIT導入支援事業者への相談を行い、自社の生産性向上に寄与する適切なITツールを選択し、申請すること。
※引用:IT導入補助金2025公募要領
ITツールは審査を経て事前登録されており、機能などによってどの申請枠で申請できるITツールであるかは予め決まっています。
申請者自身が登録されているIT導入支援事業者を選び、同じく登録されているITツールを選択して申請を希望することもできますが、たいていのIT導入支援事業者は自社サービスの説明とともに、デジタル化・AI導入補助金(IT導入補助金)の対象になっていることも伝えてくれることが多い状況です。
まとめ
本記事では、現在判明しているデジタル化・AI導入補助金について解説しました。
まだ正式に公募が開始されておらず公募要領等も公表されていないため、本記事に記載していない細かい条件などは不明ではありますが、おそらくはIT導入補助金2025とほとんど変わらない条件なのではないかと予想しています。
G1行政書士法人は、IT導入補助金が開始された2017年当初から、様々な事業者の申請をサポートしてきており、累計実績は4,500件を超えています。
長年積み重ねたノウハウと専門家としての知見を活かし、より多くの採択につながるサポートを提供していますので、デジタル化・AI導入補助金を活用したい中小企業・小規模事業者の方、ITベンダー・サービス事業者の方は、お気軽に当法人までご連絡ください。





