「限られた労働時間や人員で業務を回したいが、うまくいっていない」
「無駄な工数や人的コストを削減したいが、具体的に何をしたらいいかわからない」
このような問題を抱えている運送業の方はいらっしゃいませんか。
そのお悩み、ITツールの導入で解決できるかもしれません。
この記事では、運送業の方がIT導入補助金の利用をとおしてどのようなITツールを導入できるのか、またそれらのITツールを利用するメリット等をご紹介していきたいと思います。
目次
運送業の課題
IT導入補助金についてお伝えする前に、まずは運送業の方が抱える課題を見ていきましょう。
ここでは当法人が補助金申請のご支援をさせていただく中で、業界全体、また事業者単位で共通して伺うことが多いものをご紹介いたします。
時間外労働の上限規制
これまで運送業の時間外労働においては、いわゆる36協定の上限(月45時間・年360時間まで)規制は適用されていませんでした。
しかし2024年4月からは運送業においても当該規制の適用が開始されるようになり、特別な事情がある場合でも時間外労働は年間960時間までに抑えるよう義務付けられています。
これにより、
- 残業時間の減少に伴い収入が低下するため、従業員の離職してしまう
- 労働量が少なくなり、配送量や輸送人数が低減するため売上が下がる
- 労働時間が従来よりも短くなり、荷物の運送に時間がかかるようになる
といった影響を受けている事業者様も少なくありません。
このような問題に対しては、
- 予約システムの導入などによる荷待ち時間の改善
- 作業機器の導入による手作業の削減
- リードタイム(配達日数)の延長
- 物流コストの値上げ
- 労働環境の改善や働き方の柔軟化によるドライバーの確保
といった取り組みが必要になっています。
人手不足
人手が不足しているというのも運送業の問題の一つです。
前述のような「収入減による離職」といったものだけでなく、そもそもの就業者の不足の原因として、人口減少や女性進出の遅れ、拘束時間の長さなどといった労働条件の厳しさ、宅配需要の増加など、様々な背景が挙げられます。
賃金引上げや労働環境改善などを行い、就業者を増やして人材の定着を図るためにも、
「どのようにして人繰りを行い、生産性を上げ、そしてその結果を従業員に還元するか」
といったことが、人手不足解決のための鍵となっています。
エネルギー価格の高騰
昨今のエネルギー価格の高騰も、運送業を悩ませる要因の一つです。
運送の際に不可欠なガソリンの値段は上昇傾向にあり、これは事業運営における経費の増加、すなわち利益の減少にダイレクトに繋がります。
「コストカットできる部分は無いか、細かい見直しを行う」「新サービスを開始するなど新たな方法で売上増加を図り、減少した利益を補填する」など、様々な方法でこの状況を乗り切るための対応をされていることを、事業者の方からお聞きします。
ITツール導入でできること
ここまでで、運送業が直面している様々な課題をお伝えしましたが、ではそれらに対してどのようなITツールが導入できて、その結果どういった対応が可能になるでしょうか。
ITツールを活用して業務のデジタル化を図ることで、
- 残業や早出などを短縮することで、労働環境を改善できる
- それまで人的コストを割いていた部分を減らし、人手不足解消や無駄な人件費削減に繋げることができる
- 労働生産性向上により生まれた時間を、別の業務や新たなサービス開発に充当させることで売上増加を目指せる
といった効果を見込むことができます。
「運転」という部分でほぼ確実に人手が発生する業種だからこそ、デジタル化できる部分には上手にITツールを活用し、業務の効率化を進めていきたいですね。
導入するITツールの例
ここからは、運送業の場合に活用される具体的なITツールの例をご説明いたします。
運行管理システム
まず挙げられるのが運行管理システムです。
運行管理システムでは運行計画や運航指示といった、運行に関連する複雑な業務がシステム上で行えるため、省力化を図れます。
また文字どおり運行に関する様々な情報も管理でき、運行経路や走行履歴、運転日報などのデータも一元的に把握可能です。
これにより
- 走行ルートに無駄が無いかをデータで確認でき、より効率的な運行に活かせる
- 運転結果が可視化されるため、より安全な運転を行うにはどうしたら良いかの施策を講じやすくなり、従業員の労働環境改善や顧客満足度向上に繋げることができる
といった効果を期待できます。
乗務員・運転者台帳システム
運送業の経営においては、旅客自動車運送事業の場合は乗務員台帳を、貨物自動車運送事業の場合は運転者台帳をそれぞれ作成したうえで営業所に備え置くことが定められています。
また台帳に記載する事項についても様々な決まりがありますが、これらを全て考慮し人力で台帳の作成や管理を行うのは骨が折れます。
そこで乗務員・運転者の情報を一括で管理できる乗務員・運転者台帳システムを導入することで台帳の作成や管理を容易に行えるようになります。
また最新の法令や規則にも対応しているためナレッジが無い方も安心して使用することができ、法令を遵守しながら労働生産性向上を図ることが可能です。
配車・傭車管理システム
配車や傭車の管理ができるシステムも業務効率化に役立ちます。
※傭車(ようしゃ)とは、下請けの会社やフリーランスのドライバーに運送業務を依頼することをいいます。
配車管理システムにより「どの荷物を、どの車で、どういったルートで運ぶのか」という計画を簡単に作成することができます。
さらに実際の配車の状況もリアルタイムで確認できるため、ダブルブッキングのような人的ミスも防止でき生産性向上に繋がります。
また傭車管理システムでは依頼先への運行指示書の作成や支払額の管理など、傭車の手配に関する業務を効率化し、省人化を図ることが可能です。
運送業向け勤怠管理システム
勤怠管理システムは業界・業種問わず使用されることの多いITツールですが、その中でも運送業に特化した勤怠管理システムがあります。
運送業向け勤怠管理システムには
- 24時間体制・10分単位でのシフト作成が可能である
- 拘束時間やインターバルなどを集計できる
といった、運送業の勤務形態の特徴に合わせた機能が搭載されているため、長距離運送などで複雑化しがちな運送業の勤怠管理も効率的に行うことができ、人的コストの削減を期待できます。
ITツールの導入にIT導入補助金の利用をおすすめする理由
ここまでで、運送に関する業務にITツールを使用する様々なメリットをご紹介しました。
しかし、「日々の業務をこなすのに手一杯で、時間や金銭的な面でITツールを導入する余裕がない」という方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような事業者様にぜひご活用いただきたいのが、IT導入補助金です。
ここからはIT導入補助金の概要と、利用をおすすめする理由をご説明いたします。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者の方が生産性向上を図るにあたって、業務効率化やデジタル化を達成するためのITツール(ソフトウェアやサービス等)の導入をサポートするために設けられた制度です。
申請枠や類型は、どのようなITツールを導入するかによって異なりますが、2024年度のIT導入補助金においては下記のように設定されています。
- 通常枠
- インボイス枠(電子取引類型・インボイス対応類型)
- 複数社連携IT導入枠
- セキュリティ対策推進枠
自己負担を抑えたツールの導入が可能
当法人がIT導入補助金のご利用をおすすめする大きな理由の一つに、「少ない自己負担でITツールの導入をすることができる」というものがあります。
補助額・補助率・対象経費(対象ITツール)はどの申請枠や類型で応募するかによって異なりますが、全体で最大補助額はなんと450万円、補助率は1/2~4/5となっています。
これは、例えば200万円のITツールを導入する場合、補助率が一番低い1/2の申請枠を利用したとしても100万円まで補助を受けられるということになり、本来ITツールの投資に回す予定だった資金を、人件費など別の用途に充当することが可能となります。
補助金交付により少ない自己負担額でITツールの導入が可能となりますので、「リソースは限られているが、労働生産性の向上を実現したい」という事業者の方にぜひ挑戦していただきたい制度となっています。
申請作業はIT導入支援事業者がサポートするので安心
IT導入補助金の他の補助金との大きな相違点として、「IT導入支援事業者と共同で申請作業を行う」というものがあります。
IT導入支援事業者とは、IT導入補助金の事務局の事前審査を受け、登録されたITツールの販売を行うベンダー・サービス事業者のことを言い、IT導入補助金を利用したい申請者(中小企業・小規模事業者)に対して、ITツールの導入や運用方法の相談、及び実際の申請作業及び採択後の手続きなど、様々なフォローを行います。
IT導入補助金は申請者単独で応募することはできず、必ずIT導入支援事業者と連携して申請作業を行わなければいけません。
逆に言えば、どのようなITツールが自社に必要かなどを相談したり、適宜申請作業のサポートを受けたりしながら手続きを進められるため、補助金の申請を初めて行う事業者様にも安心してご利用いただける制度となっています。
注意点としては、前述のとおり「IT導入補助金で申請対象となるのは、事前にIT導入補助金事務局に登録されているIT導入支援事業者が提供するITツール(ソフトウェア、サービス等)のみである」という点です。
そのため、ITベンダー・サービス事業者、及びITツールの選定においては、IT導入補助金事務局に登録されているかを前もって確認する必要があります。
なお、G1行政書士法人ではIT導入支援事業者のご紹介も可能ですので、
「どのIT導入支援事業者に依頼すれば良いかわからない」という方は、是非当法人までお気軽にご相談ください。
他の補助金より手続きがシンプル
「補助金の申請は手続きが複雑そうなイメージがある」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかしIT導入補助金では、申請に必要な書類も少なく、基本的にオンライン入力で申請が完了する仕様となっており、さらに入力事項も非常にシンプルに設計されています。
運送業に限らず、IT導入補助金を活用して業務の効率化や労働生産性向上に成功した事業者が数多くいらっしゃいますので、ぜひ当法人の採択事例集も併せてご覧ください。
まとめ
今回は運送業の方に向けて、IT導入補助金の概要や、当該補助金を利用するメリットをご紹介しました。
「業務効率化に向けて、さっそくIT導入補助金を使ってみたい!」とお考えになった事業者の方や、ITベンダー・サービス事業者の方は、G1行政書士法人までお問い合わせください。
当法人では、運送業の方はもちろん、幅広い業種の方の申請サポートを行っており、累計採択実績は4,451件、2023年採択率は91.6%を達成しています。
また、申請後の実績報告や効果報告、各種手続きについても豊富なノウハウや経験があり、採択後においてもきめ細やかなアフターフォローが可能です。
IT導入補助金の申請を希望される事業者の方や、ITベンダー・サービス事業者の方は、G1行政書士法人までお気兼ねなくご連絡ください。