省力化投資補助金(一般型)は、省力化投資をしたい中小企業の方にとって有益な制度ですが、個人事業主の方の中には「法人ではなくても申請することはできるのか」という点が気になる方もいるかと思います。
そこで、今回は個人事業主でも省力化投資補助金(一般型)を利用できるのか、その詳細や注意点について解説していきます。
目次
省力化投資補助金(一般型)とは
省力化投資補助金は2024年から新しく創設された補助金制度で、中小企業等の売上増加や生産性向上を後押しするために、人手不足に直面している中小企業等を対象として、IoTやロボットといった省力化のための投資をサポートすることが目的の補助金です。
「一般型」は2025年から追加された類型で、従来の「カタログ注文型」にはないオーダーメイドのICT・IoT・AI・ロボット・センサーなども対象となり、事業者のニーズに合わせた自由度の高い省力化投資が対象になるという特徴があります。
省力化投資補助金(一般型)は個人事業主も利用できる?
結論から言うと、省力化投資補助金(一般型)は個人事業主でも利用することができます。
公募要領の「補助対象者」の欄にも「応募申請時点において日本国内で法人登記等がされ、日本国内で事業を営み、かつ日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業等(個人事業主を含む)が対象となります。」と記載があり、個人事業主でも利用できる旨が明記されています。
法人化していない場合でも利用可能ですので、個人事業主の方も安心して活用を検討してください。
省力化投資補助金(一般型)で個人事業主が補助対象となるためには
個人事業主が省力化投資補助金(一般型)で補助対象となるためには、次のいずれかの条件に該当していることが求められます。
なお、個人事業主で従業員がいない場合でも、代表自身の作業効率を高め、省力化に繋がるような設備投資も補助対象となるため、省力化投資補助金(一般型)を利用することが可能です。
逆に、個人事業主でも常勤の従業員数が以下の規定人数よりも多い場合、補助対象外となりますので注意が必要です。
①中小企業者(組合関連以外)の場合
業種によって、資本金又は常勤従業員数が次の表以下の個人事業主又は会社であることが求められます。
業種 |
資本金 |
常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業 |
3億円 |
300人 |
卸売業 |
1億円 |
100人 |
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
5,000万円 |
100人 |
小売業 |
5,000万円 |
50人 |
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 |
900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 |
3億円 |
300人 |
旅館業 |
5,000万円 |
200人 |
その他の業種(上記以外) |
3億円 |
300人 |
また、上記の要件に当てはまらない場合でも、資本金又は出資の総額が10億円未満で、かつ常勤従業員数が次の数字以下の場合は補助対象となります。
業種 |
常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業 |
500人 |
卸売業 |
400人 |
サービス業又は小売業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
300人 |
その他の業種(上記以外) |
500人 |
②小規模企業者・小規模事業者の場合
製造業その他、卸売業・小売業、サービス業のうち宿泊業・娯楽業で常勤従業員数がそれぞれ次の表以下の個人事業主又は会社の場合は、省力化投資補助金では小規模企業者・小規模事業者に該当し、補助率の優遇を受けられます。
業種 |
常勤従業員数 |
製造業その他 |
20人 |
卸売業・小売業・サービス業 |
5人 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 |
20人 |
補助上限額・補助率
補助上限額と補助率は次のとおりです。
補助上限額 |
従業員数5人以下:750 万円(1,000万円) ※大幅な賃上げ対応(「給与支給総額の年平均成長率6%以上増加」「事業場内最低賃金を都道府県の最低賃金+50円以上の水準にする」)を行う場合、補助金上限が括弧内の金額に引き上げられます。 |
補助率 |
<中小企業> ※指定する一定期間内で、「当該期間における地域別最低賃金以上~2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が、全従業員数の30%以上である月が3か月以上ある場合は、括弧内の補助率まで引き上げられます。 <小規模企業者・小規模事業者、再生事業者> |
補助上限額は、従業員数によって変動し、これは個人事業主の場合も同様です。
補助率に関しても事業形態で差が出るものではありませんが、中小企業と小規模企業者・小規模事業者では違いがありますので、業種や従業員数を確認し自分がどちらに該当するかをあらかじめ把握しておくようにしましょう。
省力化投資補助金(一般型)を申請する際の必要書類
省力化投資補助金(一般型)の申請は大きく分けて「応募申請」と「交付申請」の2種類があり、個人事業主の場合はそれぞれ以下の書類が必要となります。
※実際の申請時は、必ず最新の公募要領や手引き等もご確認ください。
応募申請の必要書類
①直近2期分の青色申告決算書か、収支内訳書
②直近2期分の貸借対照表 ※白色申告の場合は提出不要
③確定申告書の控え(第一表)
④直近の納税証明書(その2)
⑤【参考様式】事業計画書(その1・その2)
⑥【指定様式】事業計画書(その3)
①と②については、決算を終えているのが1期だけの場合は、1期分のみ提出すれば問題ありません。
また、状況や申請内容によって追加で必要な書類もあります。
交付申請の必要書類
①見積依頼書(全見積書の分)
②見積書(補助対象経費ごと基本2者分)
③【指定様式】賃金引き上げ計画の表明書
④研修動画の修了証
⑤交付申請の概要
交付申請においても、状況や申請内容によって追加で必要な書類があります。
省力化投資補助金(一般型)申請時の必要書類についてはこちらの記事でも解説しておりますので、併せてご覧ください。
注意事項
個人事業主でも省力化投資補助金(一般型)を利用することは可能ですが、いくつか注意事項があります。
直近1期分の納税証明書が必要
上述のとおり、応募申請時には直近1期分の納税証明書の提出が必要になります。
このため、事業開始初年度(初年度の納税前)は省力化投資補助金(一般型)に申請することができませんので、注意しましょう。
他の補助金履歴によっては対象外になる
他の補助金の利用履歴によっては省力化投資補助金(一般型)の申請対象外になる場合があり、具体的には以下のいずれかに該当する場合です。
①過去に「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「新事業進出補助金」いずれかで交付決定を受けて、応募申請時点で事務局からの補助金支払が完了していない事業者
②応募申請日を起点に、過去3年間に「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」の交付決定を2回以上受けた事業者
該当する場合は、申請しても採択を受けることはできませんので、ご注意ください。
発注・契約などに着手できるのは交付決定の後
個人・法人問わずですが、設備導入に向けた発注や契約、支払いなどは、交付決定を受けた後に着手する必要があります。
交付決定の前に発注や契約、支払いなどを行ってしまうと、補助対象外となり補助金を受け取れなくなりますので、注意しましょう。
また、補助金が実際に入金されるまでの資金繰りについても、事前に検討しておくことが大切です。
まとめ
本記事では、個人事業主でも省力化投資補助金(一般型)を利用できるのかについて解説しました。
個人事業主の場合でも省力化投資補助金(一般型)を利用することは可能ですが、自分が補助対象になるのか、また注意事項などについてはあらかじめきちんと確認しておくことが大切です。
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