「省力化投資補助金の一般型に申請したいけど、必要な書類が難しくてわからない」
という事業者の方はいらっしゃいませんか。
省力化投資補助金はオンライン申請のみとなっており、申請内容の入力や必要書類の添付をインターネット上で行う形式となるため、申請手続きを滞りなく進めるためには事前に必要書類などを確認し、準備しておくことが大切です。
そこでこの記事では、省力化投資補助金(一般型)の必要書類の詳細や注意点について、解説していきます。
なお、2025年9月19日に第4回の公募が開始されましたが、第4回分の応募申請の手引き等はまだ公開されておらず詳細が不明のため、本記事は2025年8月末に締め切られた第3回の情報がベースの記事となっています。
実際に申請する際は、必ず最新の公募要領や手引き等をご確認ください。
目次
省力化投資補助金(一般型)の申請について
省力化投資補助金一般型の申請については、大きく分けて「応募申請」と「交付申請」の2種類があり、それぞれ以下のタイミングでオンラインにて入力・提出を行う必要があります。
<応募申請>
「申請受付開始日から公募締切日」の間に、省力化投資補助金(一般型)の公式ホームページ「応募・交付申請はこちら」からログインする申請システムより作成する申請
<交付申請>
①応募申請の審査を経て「採択後」に、省力化投資補助金(一般型)の公式ホームページの「応募・交付申請はこちら」からログインする申請システムより作成する申請
②事務局が①の交付申請を審査し『交付申請の概要』が発行された後、jGrantsシステムより作成する申請
ここからは応募申請と交付申請それぞれの必要書類を解説します。
応募申請時に必要な書類
応募申請時に必要な書類の一覧は、以下のとおりです。
対象となる事業者 |
書類 |
ファイル形式 |
全事業者対象 |
直近2期分の損益計算書(製造原価報告書、販売費及び一般管理費明細、個別注記表を含む) ※製造原価報告書、販売費及び一般管理費明細は元々作成している場合のみ必要となります |
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直近2期分の貸借対照表 |
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【参考様式】事業計画書(その1・その2) |
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【指定様式】事業計画書(その3) |
Excel |
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法人の場合 |
履歴事項全部証明書 |
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直近3期分の納税証明書(その2) |
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法人事業概況説明書 |
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【指定様式】役員名簿 |
Excel |
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【指定様式】株主・出資者名簿 |
Excel |
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個人事業主の場合 |
確定申告書の控え(第一表) |
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直近1期分の納税証明書(その2) |
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所得税青色申告決算書または収支内訳書(白色申告) |
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事業実施場所が複数ある場合 |
【指定様式】事業実施場所リスト |
Excel |
最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例を適用する場合 |
【指定様式】最低賃金引き上げに係る要件確認書 |
Excel |
他の補助金・助成制度を過去に利用した、または利用している場合 |
【指定様式】他の助成制度の利用実績確認書 |
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金融機関から借り入れを受ける場合 |
【指定様式】金融機関確認書 |
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事業承継又はM&Aを実施した事業者で、加点を受ける場合 |
事業承継又はM&Aを実施したことがわかる確認資料 |
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イノベーション製品応援プログラムへ参加する事業者 |
・【指定様式】イノベーション製品応援プログラム製造事業者申請書 |
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以下、それぞれの書類の詳細や注意点等を解説します。
全事業者共通で必要な書類
①損益計算書
応募申請の時点で決算を終えている直近2期分を提出する必要があります(ただし、決算を1期しか終えていない場合は、1期分のみの提出で問題ありません)。
また、「個別注記表」もセットで提出が必要となり、「製造原価報告書」や「販売費及び一般管理費明細」も作成している場合はそれらも併せて提出必要です。
②貸借対照表
応募申請の時点で決算を終えている直近2期分を提出する必要があります(ただし、決算を1期しか終えていない場合は、1期分のみの提出で問題ありません)。
また、個人事業主で白色申告の場合は提出不要です。
法人の場合に必要な書類
①履歴事項全部証明書
履歴事項全部証明書は、法務局にて取得可能です。
省力化投資補助金で提出する際は次の点を注意しましょう。
●履歴事項全部証明書であること
※「現在事項全部証明書」や「登記情報サービス」は履歴事項全部証明書として認められませんので注意しましょう。
●応募申請日から遡って3か月以内に発行されたものであること
●応募申請時点における最新の情報が記載されていること
●全ページ揃っていること
②納税証明書(その2)
直近3期分の納税証明書(その2)を提出する必要があり、納税地を所轄する税務署にて取得可能です。
●その2所得金額用の納税証明書であること
※「納税証明データシート」等は納税証明書として認められません。
●発行元が税務署であること
※都税や県税事務所ではなく、税務署で発行されたものに限られます。
●税目は「法人税」であること
なお、決算を3期迎えていない場合は、最低1期以上の提出可能な決算期分の提出で問題ありません。
③法人事業概況説明書
直近期の「法人事業概況説明書」も提出が必要です。
また、資本金が1億円以上の事業者の場合は「会社事業概況説明書」を提出してください。
法人事業概況説明書の提出は、従業員数を確認する役割があるため、記載されている従業員数が現在は変動しており補助上限額が上がる場合や、従業員数が記載されていない場合は、追加で【指定様式】労働者名簿の提出が必要になります。
④【指定様式】役員名簿
役員名簿は指定様式をダウンロードの上、次の点を押さえて作成・提出してください。
●応募申請時点の履歴事項全部証明書上にある全ての役員名を記入する
●大企業に所属する役員、みなし大企業に所属している役員はチェックを入れる
こちらの名簿で「みなし大企業」の判定が出ている場合は、申請対象外となります。
⑤【指定様式】株主・出資者名簿
株主・出資者名簿も、役員名簿と同じく指定様式をダウンロードして記載します。
記載の際は次の点に気を付けるようにしましょう。
●応募申請時点の全ての株主・出資者の情報を記入する
●大企業または大企業に属している者、みなし大企業にはチェックを入れる。
なお、株主・出資者が21名以上の場合は、株保有数・出資価格が多い人のうち20名の情報を記入すれば良く、全員の情報を記入する必要はありません。
また、こちらの名簿でも「みなし大企業」の判定が出た場合は、申請対象外となります。
個人事業主の場合に必要な書類
①確定申告書の控え(第一表)
個人事業主の場合、事業者の実在を証明する書類として確定申告書第一表の控えを提出する必要があり、次のような注意点があります。
●令和6年分であること
●電子申告の受付日時の印字や収受印、またはe-Taxの受信通知にて、税務署が受領した事が確認できること
●個人番号(マイナンバー)が載っている場合は黒塗りすること
②納税証明書(その2)
個人事業主の場合は直近1年分の納税証明書(その2)の提出が必要となり、以下の点を満たしている必要があります。
●その2所得金額用の納税証明書であること
※納税証明データシート等は納税証明書として認められません。
●発行元が税務署であること
※都税や県税事務所ではなく、税務署で発行されたものに限られます。
●税目は所得税(申告所得税及復興特別所得税)であること
③直近の青色申告決算書または白色申告の収支内訳書
こちらは従業員数を確認する役割があるため、記載されている従業員数が変動し補助上限額が上がる場合や、従業員数が記載されていない場合は、追加で【指定様式】労働者名簿の提出が必要になります。
その他状況に応じて必要になる書類
最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例を適用する場合や、金融機関から借り入れを受ける場合など、条件に該当する場合は指定様式や書類の提出が必要になりますので、必ず条件に該当するかを確認し、忘れずに準備するようにしましょう。
また、上記以外にも任意資料として、導入予定の機器装置に関してカタログや説明資料などを併せて提出しておくことが推奨されています。
交付申請時に必要な書類
交付申請時に必要な書類の一覧は、以下のとおりです。
対象となる事業者 |
書類 |
ファイル形式 |
全事業者対象 |
見積依頼書(全見積書の分) |
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見積書(補助対象経費ごと基本2者分) ※2者分の相見積書を用意できない場合、後述する「選定理由書」が必要になります |
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システム構築費の詳細 |
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【指定様式】賃金引き上げ計画の表明書 |
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研修動画の修了証 |
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交付申請の概要 |
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特定非営利活動法人(NPO法人)の場合
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経営力向上計画の認定書 |
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再生事業者の場合
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再生事業者の確認書類 |
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補助事業の実施場所が自社の所有地でない事業者の場合 |
不動産登記事項証明書、賃貸借契約書等 |
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応募申請時から変更があった事業者 |
履歴事項全部証明書 |
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【指定様式】事業実施場所リスト |
Excel |
以下、それぞれの書類の詳細等について解説します。
全事業者共通で必要な書類
①見積依頼書
以下の条件を満たした見積もり先への見積依頼書の提出が必要です。
●補助金交付候補者から見積もり先宛ての依頼書であること
●見積もり対象の設備やサービスの条件、仕様などが詳しく明示されていること
●相見積もりが、同一条件で2者以上に依頼されていること
●提出期限、提出方法、見積書の有効期限といった依頼内容が明示されていること
参考様式も公開されていますので参考にしましょう。
②見積書
全ての対象経費につき、見積書を提出する必要があります。
契約先又は発注先1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の経費に関しては、同一条件での相見積もり2者分を提出するよう定められています。
原則、相見積もりが必要ですが、以下に該当する場合は別途「選定理由書」を作成・提出して、合理的な理由によるものと認められればその限りではありません。
●2者の見積書を取得できない理由がある場合(2者以上に見積もり依頼を行ったうえで取得できない場合に限る)
●同一条件で相見積もりを行った結果、最低価格を提示された事業者を選定しない理由がある場合
●随意契約とする理由がある場合
③システム構築費の詳細
補助対象経費に「システム構築費」が含まれている事業者は、その詳細資料の提出が必須となります。
費用の内訳がなるべく具体的かつ作業工程ごとに数量・単価・人数・金額・内容の説明が明記された明細や仕様書を提出するようにしましょう。
④【指定様式】賃金引き上げ計画の表明書
応募申請の際に設定した、給与支給総額と1人当たり給与支給総額の目標値を、交付申請までに全従業員または従業員代表、役員に向けて表明したことを示す書類です。
指定様式をダウンロードして作成・提出するようにしましょう。
⑤研修動画の修了証
応募申請で採択された事業者は、省力化投資補助金一般型の申請システム上で、研修動画を視聴のうえ確認テストを受ける必要があります。
このテストを受講した後「修了証」が発行されますので、ダウンロードして提出しましょう。
⑥交付申請の概要
省力化投資補助金一般型では、申請システムから交付申請を入力・提出した後に事務局が審査を行います。
審査が完了したら「交付申請の概要」が発行されますので、その後にjGrantsシステムから改めて交付申請を進め、当該資料を提出しましょう。
その他状況に応じて必要になる書類
特定非営利活動法人の場合や再生事業者の場合など、応募申請と同様状況に応じて別途書類が必要になることがありますので、それぞれの条件に該当する方は忘れずに準備するようにしましょう。
まとめ
今回は省力化投資補助金(一般型)の必要書類の詳細や注意点などについて解説しました。
省力化投資補助金(一般型)の申請では、必要な書類が多岐に渡り、取得や準備に時間が掛かるものもありますので、申請スケジュールから遡って計画的に準備を進めるようにしましょう。
当サイトを運営するG1行政書士法人は、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の認定を受けているため、省力化投資補助金(一般型)の事業計画書作成支援を提供しております。
これまで累計4,500件を超える創業融資の創業計画書・事業計画書作成代行やIT導入補助金をはじめとする各種補助金の申請サポートを提供しており、省力化投資補助金(一般型)においては事業計画書作成支援だけでなく、申請サポートや行政書士等に認められている代理申請にも対応しています。
積み重ねたノウハウと専門家としての知見を活かしたサポートが可能ですので、省力化投資補助金の申請を考えている中小事業者の方や、お客様へ販売する際に併せて省力化投資補助金を活用したい販売業者の方はお気軽にご相談ください。